北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」04月号(2012)

2012-05-02 | 未来

白湯だけが親しい夜の入り口でいいよあなたの六腑になろう

よこしまな心しかない 空の朱をかきまぜながら飛ぶ鳥を見る

濃紺のいのちを空に弛ませて鳶が見せつける冬の所作

ゆきはらに雪腐らせてこの冬のかみさまは胡乱でいらっしゃる

播くものを持たない暮らし粛々と喉にこなぐすりを貼りつけて

春待ちの枝という枝いたましく尖る どなたから曲げようか

いざやいざやと詰め寄りながら一献で済まぬ宴と相成りましょう

(ゆるすとかゆるさないとか)恥ずかしい釜揚げうどんぞるぞるすする

獣には獣の寝言 迷わずについてゆくからぎんなんおくれ

せりなずなごぎょうあたりで躓いてやわらかすぎるバスまいります