北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」09月号(2015)

2015-10-03 | 未来

藤棚にしたたりやまぬ花房をみている今日のきわまりとして

ぎちぎちと房の密度をあげながら気がふれるまで咲きついでいる

じきに死ぬいきものなればむらさきの呼気をかさねる花とわたしと

  I氏の紙ひこうき講座へ
折り方の秘訣を問えば簡潔な「紙にとどめをささないように」

重心をひばり結びで留めながらアルソミトラの翼果を語る

わたくしのつけた折り目の頑迷をなだめるように直すゆびさき

強すぎる線をゆるめて放ちやれば空としたしみながら遠くへ      ※ルビ「空」くう

サーマルをとらえてあそぶ週末はつばさの縁をすこし撓めて

薄紙を折りながら聞く晴明のもとを離れし式神のゆくえ