いっさいを疎むこころが満ちてくる てのひらで遮る海の色
ゆびをさす先に小さな波頭いくつもうまれ きりがなかった
生きている種子を選りわけ晩年の父によく似たひとに手渡す
あまやかに終の母音をにじませてあなたが読みあげる花の名よ
曇り日の手足をしるく曲げながら土の深みを鋤いているひと
片仮名で事足りる日を水玉のシャツでしのいで、戦前にいる
くどくどと散り敷くまでの結構を見とどけている春の体は
※7月号は欠詠。
いっさいを疎むこころが満ちてくる てのひらで遮る海の色
ゆびをさす先に小さな波頭いくつもうまれ きりがなかった
生きている種子を選りわけ晩年の父によく似たひとに手渡す
あまやかに終の母音をにじませてあなたが読みあげる花の名よ
曇り日の手足をしるく曲げながら土の深みを鋤いているひと
片仮名で事足りる日を水玉のシャツでしのいで、戦前にいる
くどくどと散り敷くまでの結構を見とどけている春の体は
※7月号は欠詠。