北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」09月号(2013)

2013-10-02 | 未来

たんぽぽのひどくさびしい踏み心地(誰の未来をくだってきたの?)

言い直すたびにくぐもる声がある ひがしあじあ、と何遍も言う

落ちてゆくときにもっともつよくなる雲雀のようなむすめさんたち

川魚をきれいにほぐす箸の朱を今日のわずかな色彩として

火に近いこころのままで耕せばあなたの国土あとかたもない

昼深い花舗の暗みに切り口という切り口はなまぐさいまま

肉体に政治を招きいれながらつむじを清く保つ少女よ

ひとしきり泣いてねむって葦原に手足がなじむまで待ちなさい

漉し取ったあとのきれいなくるしみを果実のように実らせる人

てのひらが熱いこどもは眠らせておやり 六月の雨が降る