海に来てうみですと言う青年は喉のおくまで夜を添わせて
なみがしらしか見えなくておしよせる音に躓く くるしいですか
こういうのなんて呼ぶのかつま先で掘れば砂浜がなまぐさい
波音に負けないように声を張ることはしなくていい、あなたとは
春の、夜の、ひろいあげれば欠けている貝ばかり 白を選んで残す
どのように閉じてもいいと思うまで待たせておいた海だと思う
色彩を取り戻すまで見守ればあのあたりから来る 明けますね
波の気が済むまですっかり削られてこんなかたちになって入り江は
どうやってここに来たのか鳥がいてわたくしがいてひどい朝焼け
海風に胸泡立てる鳥たちよ万象なればその嘴もまた