北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」5月号(2016)

2016-06-04 | 未来

稜線に火をたくわえて立っているつよくて脆い山だあなたは

海鳥があんなに遠い 触れられぬものを数えて逃す二月の

重心を右にうつして書き直すあかるい虚偽をふたつ加えて     

断ち落とすために塗り足す墨ベタの三粍ほどのわかりやすさは

塩壺の底に渇いているような声でゆっくり母になるひと

 

 

※三首目、誌面では「虚偽」が「虚像」になっていますが誤植です。
※4月号は欠詠