北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」1月号(2017)

2017-02-06 | 未来

ギュスターヴ、ギモーヴ、ギルド 濁音をとなえてあるく秋のきわみを

鯛焼きの美しき鱗を見ておりぬ父と呼びうるひとを失い

呼び捨てる声のわずかなこわばりを生のまま呷る酒がほどいて

馬を売る話のなかで寒がりのアオはたちまち死んでしまいぬ

彼我として寒くさびしく保たれたからだであれば冬へと運ぶ