「直感に従って生きなさい」というようなメッセージは、自己啓発の本などでは良く書いてあります。
しかし、これは結構危険な面もあります。
というのは、普通の人にとって、直感と、過去に受けたトラウマや、インプットされた偏見などから来る異常な感情とを区別するのが難しいからです。
例えば、ある女性がある男性に過去にひどい目に合わされてトラウマを負っていた場合、同じような外見の男性に出会ったときに、もし上記のメッセージを信奉していた場合、「あたし、ああいう人、苦手なの。直感を信じるわ。」などと言って最初からその初対面の男性を避けてしまう過剰な防御行動を取ることになりやすいです。こういうことを続けていると、どんどん心が閉じやすくなってしまい、世界とつながることが難しくなっていくでしょう。
上の例では、自分の直感と、過去のトラウマから来る恐怖感情の区別ができていないわけです。
こういう場合にはむしろ、自らの「直感」を信じず、同じような顔をしているけど全く違う人である、という客観的な立場になっておいた方が、自分の周りに自作のハードルを作らずに、自由な人生を歩むことができると思うのです。
その意味で、直感については、雑念との区別をしなければならず、それはそんなに簡単ではないということを常に頭においておく必要があると思われます。
「直感を信じる」タイプの人が、若いときはすごく無邪気で精神的にもはつらつとしているが、年を取っていくとむしろ他の人よりも早く疑い深くなり、精神的に老いるのが早い傾向にあると私は以前から思っているのですが、上記の理論から言えば、
「年を取るほどにトラウマや思い込みが増えて、恐怖感情などの雑念が増えるがそういう人はそれに素直に従ってしまうからだ。」
ということになりそうです。