「国外、最低でも県外」は言うは安く実現は難しと思いつつも秘かな期待もあった。結果として、「やっぱりな」というのが偽らざるところである。基地費用の70パーセントは日本側が負担している現実、国民は貧しくとも米軍に気前よい日本政府、アメリカにとって美味しい利権を簡単に手放すわけがない。
本日の東京新聞一面トップは、””米、辺野古拡大を要求””となっている。米側の図々しさにはあきれるしかないが、地元沖縄が県民あげて猛反対するなかで、また環境面(絶滅危惧種ジュゴンの生息地)からみても、辺野古案が実現する可能性は少ないと思う。米側もそのことは百も承知しながら、ぬけぬけと高く売りつけている理由はなにか? 将来の日本国外移設費用を考慮してのことだろうと思わざるをえない。
本日の東京新聞には、これに関連してもう一つ重要な記事がある。””迷走の深層・普天間問題 政策一元化の落とし穴””である。政策決定の一元化は、”外交はもちろん、基本的な政策方針は党ではなく、内閣で考える。無用な「しがらみ」や雑音を排除するための鳩山政権の基本方針だ。”
小沢幹事長は、今回の問題については、何らの干渉も関わりもしていない。
小沢氏は日米同盟というからには、「日米対等でなければならない」と主張し、「第七艦隊で充分」という発言にみられるように、小沢氏からみれば単に政策の一元化の問題だけでなく、この問題が抱える「日米同盟」や米軍の抑止力にかかわる日米安保の深刻な問題が浮かびあがってくることを承知の上で、更には小沢氏に対する厳しい批判の嵐が予想されるなかでは、この問題に深く関わりたくない、関われないというのが本音ではなかったかと思う。小沢氏からみれば、首相の言う『国外 最低でも県外』は余りに甘く、しかも5月末決着という自らを縛る総理の軽々しさを苦々しく思っていたに違いない。
それにしても、今回問題に直接関係する閣僚、岡田外務相、北沢防衛相、前原国交相(沖縄・北方特命)この三名は一体何をやっていたのだろうか。
上記東京新聞の記事の最後は次のようになっている。
””逆に首相が本来、頼みとすべき担当閣僚はどうだったか。岡田克也外相も北沢俊美防衛相も県外、国外移設は極めて困難と早い段階で判断。首相に近い平野博文官房長官でさえ、県内移設で動いていた。
にもかかわらず、県外移設にこだわる首相に方針転換を最終局面まで説得することはなく、無理と知りつつ、アリバイ的に動いていたのが実情だ。こうした空気は首相にも伝わる。
首相は特に岡田外相に対し「官僚の言いなりになっている」と不信感を持ち、遠ざけた。首相はいよいよ孤独になり、柔軟な判断を難しくさせた。
安全地帯に身を置いた小沢氏ら党側。首相を「裸の王様」にした閣僚。首相の判断ミスは首相だけが原因ではない。””
鳩山首相の「国外 最低でも県外」という「案」に、上記4氏は非協力もしくは閣内不一致だった。鳩山首相に協力した福島大臣が罷免されるいわれはなかった。
だがしかし、鳩山首相の甘さはあったが、今回の最大の功績は基地問題を沖縄だけの問題とせず、国民に広く基地問題をアッピールした功績は大きかった。
蛇足:韓国軍哨戒艦沈没事件が発生したのは3月末。その原因をわざわざ5月20日というタイミング、沖縄の米軍基地移設問題が大きな広がりをみせる中で、韓国軍哨戒艦沈没原因を北朝鮮と発表。当然北朝鮮は戦争も辞さないといきりまいて緊張感を高めている。米側は北朝鮮に「緊張高めてもらってありがとう」というところではないだろうか。
回収した魚雷の画像をみた感じでは、魚雷の錆付き具合、ふじつぼが付着した痕跡などからみて、3月末に発生したものを5月18~20日公開写真から判断して僅か約一ヶ月半くらいでこんなにひどく、ふじつぼ(白くなっている部分:下記写真)が付着するものだろうか。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=129435&servcode=400§code=400