木綿:
知人に、司法関係の官僚がいる。もう10年くらいあっていないけど。
最後にあったときの彼の顔を思い浮かべ、彼のグチを思い出すとき、この期に及んで小沢一郎有罪に固執するほど「愚か」「筋ワル」とは思えない。権力闘争はあるし、往々にしてこの国では踏み込み過ぎるところはあるけれど、最後の一線は守られると、私は知人の顔を思い浮かべながら思う。甘いのかも知れないが。
いかりや:
「最後の一線は守られる」と、私もそう思いたい。しかし現実は違う。ヒラメ裁判官が多いと言われるなかで、果たして大善裁判長が、自分の将来を投げ打ってでも裁判官としての職責を果たす覚悟があるかどうか。
検察ー裁判ー最高裁とその背後で操る黒幕、最高裁事務総局が造ったブレーキなき小沢排除の悪の動力装置(組織)ができあがっている。その動力装置の歯車を壊すことは極めて困難と言わざるを得ない。組織というのは、或る方向性をもって走り出すと止らない習性がある(慣性の法則が働く)、つまり抑止力も自浄力も働かない。ブレーキ装置のない車が坂道を転がるみたいなものじゃないでしょうか?しかも、大手マスメディアがタッグを組んで、この悪の動力装置の潤滑油の役割をはたしている。
「小沢無罪」の判決となる場合は、次の二つのケースが考えられる。
今回の小沢排除のドラマは09年3月の大久保秘書逮捕にはじまる。もう間もなく丸3年になる。この間、政治情勢も大きく変わった。小沢氏らが掲げた「国民生活が第一」の民主党の姿は、今はすっかり変質してしまった。国民の民主党を見る目も、厳しく冷めたものになっている。失った信頼を取り戻すのは難しい。従って「小沢氏が懸命に巻き返しを計ったとしても、次回選挙で彼が率いるグループが圧勝することは考えにくいので、最早彼が実権を握るチャンスも無くなった」と、つまり小沢氏の出る幕がなくなったと判断される場合。
もう一つは、小沢氏に残された時間は少ない。彼の年令と健康問題がある。誰も年には勝てない。戦後首相になった人は、50数人いるけれど総理大臣としての寿命は73歳当りが限度、74歳以上の総理大臣は吉田茂氏ただ一人(76歳で辞職)しかいない。小沢さんは、今年70歳古希(古稀)を迎える、急速に気力体力が落ちる年頃(筆者の実体験から)。年令からみると総理大臣の激務に耐えられる年令はここ1,2年あたりが限界、時間との戦いですが、そのチャンスはあるでしょうか。彼の場合はストレスの多い政治生活で体を酷使しているので健康上の問題もある。
この国を真に支配しているのは誰か、
日本を動かしているのは、政治家ではなく官僚(特に財務官僚と司法官僚)であると前々から巷間言われていた、政治家は官僚たちにいいようにあしらわれて来たと。そして今回の一連の事件は、小沢氏排除が露骨に行われるようになったことで我々の目の前に鮮明にその姿を現したことがせめてもの僥倖と言えるかもしれない。
なかでも最も重要な事は、小沢氏排除は単なる権力争いであると矮小化することはできない点である。何故なら、「検察ー裁判ー最高裁と、検察審査会という一連の組織がそれぞれ単独に動いているのではなく、かくも見事に小沢排除のために一体化した駆動装置として動いているからである。しかもこのでっち上げ組織集団は最高裁事務総局が枠組みを作りあげているらしいことが明らかになっている。更に言えば、大手マスメディアまで巻き込んでいる。
これだけ組織と組織を繋ぎ一体化した集団に纏め上げ、或る方向へ動かすためには、個人の力では不可能である。「国民国家のため」という何らかの「大義名分」が必要である。もし、『大義名分』なき組織集団を駆動するとすればそれは、「暴力団の掟」もしくは、「親分の命令」しかないと思うがどうだろうか。
背後にもう一つ、日本を支配している巨大な黒幕:アメリカが隠然と存在していることを意識せざるを得ないのである。はっきり言えば、アメリカは財務官僚、司法官僚と大手マスコミを手先としてこの国を動かしている。アメリカからの意図をうけてこの国は動かされている。日本はアメリカからの自立・独立がないかぎり、本当の主権在民の国家になりえない。20年間も続く途方もない長期不況からの経済回復も望めないと思う。
先日(2/16)紹介した「今アメリカで何が起きているのか?伊藤貫氏xザリバティ編集長」のなかから、アメリカの日本支配の源泉「日本封じ込め政策」について、伊藤貫氏の主張の主要な部分を書きおこしてみました。
1942年に日本封じ込め政策について、ルーズベルト大統領は、旧ソ連のモロトフ外相と会ったときに、戦争に勝ったら、日本に二度と国防能力を持たせない、二度と外交政策と国防政策をもたせない・・・(太平洋戦争勃発の翌年には既に、米ソ間で日本封じ込め政策を語っている)。
1945年、マッカーサーが乗り込んできたときも、最初に出した方針が世界もしくはアメリカにとって二度と脅威になるような国にしない。一番都合のよいのは、二度と国防力を持たせないことが都合がいい。そういう意味で憲法9条というのもそれからきている。
当時アメリカはスターリンのソ連と対峙していますから、アメリカはソ連も封じ込めておきたい。でも、戦争に負けた日本が又独立国になるのもいやだった。だからアメリカは日本の軍事基地をずーっと占拠しておきたい、それと同時に、日本に警察予備隊、後の自衛隊を「つくらせて、アメリカの補助部隊としては機能するけれど、独立国としての軍隊としては機能できない軍事組織を作ろうとした。
はっきり言いますと現在の自衛隊もそうで、ニッポン独自で戦争できる状態にさせない。アメリカ政府の政策は日本が独立して国防政策をもつようなことは決してさせたくない。勿論、アメリカの助けがないと国防体制が成り立たないとなると、例えば経済問題政策、通商問題とか金融政策問題でも、アメリカ政府から、何らか命令されたら、アメリカの言いなりにならざるを得ないと。
何故ならば、安全保障政策と国防政策の一番重要なものをアメリカに握られている。それが「二重封じ込め政策」なわけですね。
その後の1972年の2月にできたのが、アメリカと中国による共同封じ込めで、それはどういうことかというと、日本が核抑止力を持てないようにする、自主防衛能力を持てないようにする。それから、朝鮮半島や台湾問題で独自の発言権を持てないようにする。こいうことを決めておくと、アメリカと中国の両方の利益になるということで、アメリカにとっても中国にとっても、日本が独立した国防政策や独立した外交政策をもてないことが都合がいいということで、新しく「米中共同で日本封じ込め政策」ができたわけです。
具体的に言うと、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン政権の初期までは、二重封じ込め政策ができたんですけども、ニクソン政権の1971年の秋以降は、「米中共同封じ込め」政策ができた。
それがフォード、カーターと続いて、レーガン政権になってからもう一回「二重封じ込め政策」に戻ったんですが、ブッシュのお父さんの世代になってから、ブッシュの父ははっきり言って、日本は嫌いで、日本相手に海軍の爆撃機のパイロットで、日本と戦いましたし、初代の在中国北京大使もブッシュのお父さんですから、もう完全に中国よりで、ブッシュのお父さんになってから、レーガン時代の「二重封じ込め」から、「共同封じ込め政策」に戻って、クリントンもそうで、ブッシュの息子は最初の1年半だけは、レーガン政権と同じように「二重封じ込め」をやろうとした、ようするに日本を押さえつけておいて日本を利用して、しかも、ロシアとか中国と「二重封じ込め」をやっていたんですけども、2002年の秋頃から、お父さんと同じように米中「共同封じ込め」になった。
で、オバマ政権になりますと、オバマ政権がどっちなのかと言うと、基本的にはニクソンとフォード、カーター、クリントン、それからブッシュ親子とおなじように、アメリカと中国が、共同で封じ込めておこうと。そしてヒラリークリントンもそうで。
いままではアメリカと一緒に中国が協力すれば、東アジアの安定は保てると、東アジアの問題児はニッポンだから、アメリカと中国でニッポンを押さえつけておけば東アジアの国際政治はうまくいくはずだと。
ところが、アメリカの海軍と海兵隊はずーっと不満をもっていたんですよ、それはおかしいぞと。中国のあの海軍の増強振りをみていると、東アジアの問題児は日本ではなくて中国だろうがと。で、海軍のリーダーシップ・グループはずーっと文句を言っていたんです。
例えば、国務省のアジア担当官とCIAのアジア担当官の過半数はやはり中国びいきなんですね。中国とうまくやればアメリカの東アジア政策はうまくいくと。政治家も共和党の一部の右派の政治家を除いては、やはりブッシュのお父さんと同じように、もしくはニクソンと同じように、中国と「うまくやればいい」と。
それで、アメリカの財界も圧倒的にそうですね。民主党はもともと、ウイルソン時代から、親中的ですから、だから、アメリカの政治家と政治家の周りで働いている外交スタッフ、外交アドバイザーも、米中共同によるニッポン封じ込めを支持していたんでけれども。
ところが中国海軍の増強と、それから中国のアメリカの軍事衛星を撃ち落とすミサイルを開発して、それとは別にアメリカの軍事衛星を全部めくらにするレーザー兵器をいっぱい持っている。これは、アメリカ軍にとって凄く脅威なんです。アメリカの軍事衛星をすべてめくらにしてしまう、もしくは撃ち落とすようなミサイルとレーザー兵器を中国がいっぱい作っていることを知っていますから。これは物凄く怖いんですよ、アメリカにとっては。
というのはアメリカの軍事システムというのは全部軍事衛星でやっていますから、軍事衛星つぶされたら、飛行機も飛ばないし、人工ミサイルも飛ばせない。要するに全部ダメになるわけですよ。最近は陸上、陸軍の兵隊も、全部ディジタル・システムでやっていますから。だから軍事衛星潰されたら、たまったもんじゃない。中国はそんなこと全部わかっている、それから勿論、核兵器も増やしている。それからアメリカ軍の、ご存知の駆逐艦、イージス艦とか、航空母艦を沈没できる弾道ミサイルと長距離の巡航ミサイルを何百、何千と作っているんですよ。いくらイージス艦が優秀だと言っても、一隻のイージス艦に十数発もしくは二十数発をバーッと一挙にやられると、これを全部打ち落とすということは不可能なわけですよ。
中国が毎年つくっているミサイルの数は世界一なんです、勿論アメリカより多い。世界一のミサイル大国なんですよ。もしアメリカと対峙するつもりがなければ、なんでこんなことばかりやるのか、どう考えたって、中国は自分の勢力圏をつくって、アメリカを東アジアから押し出そうという意図がなければ、こんなに猛烈な軍事費を、例えば、最近21年間で22倍になっています。4,5年毎に倍になっている。
中国の軍事予算は、公表は900億ドルですが、じっさいにはアメリカCIAやアメリカの国防大学の推定では2200~2300億ドル使っている。アメリカはいまのところ、公表7000億ドルですが、そのうちほんとうの国防予算は5500億ドルで、残りの1500億ドルはイラクとアフガニスタン、パキスタンへの臨時の出費なんです、これはそのうち減っていきます。その5500というのは、次の10年間殆ど増えないんです、減るという話もある。・・・次の10年間、アメリカの軍事予算、中国の軍事予算は2200、2300ですね、これが数年毎に倍になって、10年後に4倍になると、8800億ドルでしょ?一方アメリカの軍事予算は5500でしょ?そうすると、いまから10年後には中国の軍事予算のほうが、アメリカの軍事予算よりも大きいわけですよ。
そうすると、中国と協力すれば、東アジアの安定が保てるのかというと、そうは行かないんではないか。昨年あたりから、中国に対する疑惑、猜疑心と、はっきりいうとライバル意識がぐーっと出てきた。以下省略。