いかりや爆氏の毒独日記

最近の世相、政治経済について「あれっ?と思うこと」を庶民の目線から述べていきたい。

他がために金はなる?(続き) 財務省のデフレ維持策の真実、

2015-01-31 08:23:48 | 日記

本記事は、ASREAD社に寄稿したものです。

 

前回記述の最後の部分を再掲します。

“1997年~2014年の17年間に国が使った巨額のお金(財政出動分:522兆円)と乗数効果分(GDP増分)は、ドブにでも捨ててなくさない限り、貸借対照表で言えば資産の部に必ず存在するはずですが誰もこれについて追及するものはいない。1997年~2014年の巨額の使途不明金の解明がなされない限り、日本の経済成長は見込めないと思うのだがどうだろうか。”

財政出動とは、何を以て「財政出動」というか、混乱することを避けるため簡単に説明を付け加えておきます。

財務省の資料に基づいて言えば次の三つの視点からみることができると思う、

イ)      公債残高から見る場合、ロ)年度毎の実際の国債発行額、ハ)国(政府)の借金残高から見る場合、

イ)の場合、2014年から1997年を差し引いた残りの17年間を指す、本件の場合522兆円(本稿ではこれ)を指す。

ロ)の場合、1998年度から2014年度までの毎年度の国債発行額の17年間分を集計した金額626.8兆円になる。

ハ)の場合、3か月毎に公表される「国債及び借入金及び政府保証債務」の残高合計・・・本件の場合、1997年9月分から2014年9月残高分から1997年9月残高を差し引いた金額、676.3兆円になる。

 本論に戻ります、

A)政府が初めて財政出動したのは1965年度、その年から1980年の16年間では70.5兆円の財政出動をして→名目GDPは213.3兆円増加している。

B)1981~1997年では187兆円の財政出動で→280兆円GDPが増加している。

C)1998年以降は522兆円の巨額の財政出動をしたが→GDPは40兆円マイナスになっている、巨額の財政出動をしてマイナスGDPとは摩訶不思議です。

上記(A)、(B)では、乗数効果が働いている・・・これが正常であって(C)は何らかの異常(不正?)な作用が働いたとしか考えざるを得ない。

ちなみに、アメリカはなんと1997~2014年の17年間の年平均成長率は約4.2%(8兆6085億ドル→17兆5449億ドル・・・2014年の値はOECD Economic Outlook Volume 2014 Issue 1データより筆者の試算値)。

何故日本だけが一人負け? 

アメリカ以外例えば、先進23カ国1995~2012年の17年間で年平均成長率は約3.5%(23兆3504億ドル→42兆2070億ドル:財団法人、国際貿易投資研究所資料 世界各国のGDPより)になっています。

話を本題に戻すと、天下の財務省に向かって「使途不明金」とはおだやかではありませんが、財務省の「日本の財政を考える」というHPの中に、

目を疑うような超巨額の使途不明金が存在することを示唆する情報が含まれています。  

財務省の「日本の財政を考える」というHPの中に、        

2-(3) 一般会計・特別会計の主要経費別純計

というコーナーがあります。

平成26年度一般会計歳出総額95.9兆円ですが、特別会計では411.4兆円で、会計間の入り繰りを控除した純計は237.4兆円となっています。

つまり、表(おもて)の帳簿(一般会計)よりも裏帳簿(特別会計)のほうが4倍以上もデカイ、そんなのってありか?と思うところだが、それが現実なのである。

一般会計予算については、毎年国会の審議と採決を経て決められるが、特別会計は国会議員の審議も採決もなく財務官僚のさじ加減で、闇から闇に葬られている。

現在、平成27年度一般会計予算審議が始まっていますが、国会審議は財務省案にほんの僅かばかりの手直しが行われるだけです、国会審議は形骸化して通過儀礼みたいなものです。

この資料(一般会計・特別会計の主要経費別純計)では、

驚くべきことに国債費(借金の返済と利払い費)は、に91.4兆円と表記されています。一般会計では国債費(借金の返済と利払い費)は23.3兆円ですので、91.4兆円-23.3兆円=68.1兆円が裏帳簿上の隠れた借金に対する「返済金と利払い費」ということになります。

現在の表向きの国(政府)の借金総額は、

一般会計上の借金は、2014年9月末の時点で1038.9兆円ですので、このほかに約3千兆円以上の借金があり、一般会計と合わせて4千兆円以上の借金が存在することになります。

安倍内閣が当初目指すと言っていた10年間名目成長率3%程度の場合を例にとると、その場合の国債の金利は3%+αにならざるを得ないことは以前に記述しました。

仮に成長率3%だとすると利払い費(3%+α)だけで年間120兆円を超える、それが新たな借金として元利合計して行けば、10年後にはこの借金の5千兆円を遙かに超える金額に膨れ上がる。

これでは経済対策どころじゃない、財務省と日銀黒田総裁がつるんで?「0~マイナス金利」に励む事情がわかろうというものである。安倍内閣の経済最優先とは念仏にすぎないことがおわかりいただけるだろう。ましてや、消費税増税で解決できるような問題でもない。

“もう、むちゃくちゃ! こりゃー、なんちゅうこっちゃ!”と言わざるをえない。

蛇足ですが、この問題に深入りすることは、財務省の聖域を侵すことになるのかもしれない。

正論を主張する植草氏は痴漢事件をでっち上げられてキャラクターアサシネーション(人格破壊)されて大学教授の職を追われた。

特別会計の「闇」を探ろうとした石井紘基氏は殺害された。

小沢一郎氏は公務員改革を主張し、地方への財源移動と小さな政府構想を掲げていたが、「政治とカネ問題」をでっちあげられて実質的に彼の政治生命も終わらされた・・・彼に対する「政治とカネ問題」の裁判には大手マスコミを巻き込んだ検察、最高裁の犯罪行為(?)も疑わざるを得ない。

日本の民主主義も経済も、根本から壊れていると言わざるを得ない。しかし、知識人といわれる人たちも含めて、ほとんどの日本人はその認識も自覚もない。

そもそも、財務省はなぜこのような形で超巨額の裏金が存在することを示唆することになったのだろうか。ひょっとして、財務省自身も追い詰められているのかもしれない。


失われた20年:1997年以降の巨額の財政出動の行方、

2015-01-07 12:59:47 | 日記

財務省の統計資料によると、

日本の借金(国債及び借入金並びに政府保証債務現在高)は、平成26年9月末時点で1038.9兆円”ですが、

”平成26年度末(本年3月末)には、1143.6兆円になる見込みである。”

と財務省は補足説明を付け加えています。

消費税増税による税収増を見込んでも、半年後には借金はさらに100兆円以上も増えるというのである。

国の借金の大きさを国際比較する場合しばしばGDP比で比較します、


1997年末は国の借金のGDP比は約70%程度だったものが、H26年度末(本年3月末)には、日本の借金はGDP比で約238%(1143.6/480)になります。1997年以降の17年間にGDP比は3倍以上に膨らませたことになります。

財務省のHP「日本の財政を考える」の中に、債務残高の国際比較(対GDP比)というコーナーでOECD主要7カ国の対GDP比(OECDのデータ)を紹介しています。それによると、2014年における日本の債務残高の対GDP比は断トツ229.6%となっています。

前回の記述(最後部分)でおわかりの通り、今後経済成長率が高くなったとしても経済成長(名目GDP)分以上に借金は増え続け、また経済成長率が悪くなっても借金は増え続ける、どっちに転んでも借金は増え続ける構図ができあがって、対GDP比は拡大する一方である。

国(政府)は当たり前のことですが、営利事業をやっていないので借金の返済手段を持っていないので、

今後とも借金は増え続けるばかり(対GDP比も増大するばかり)・・・日本の財政と経済は、「借金」というレベルで見る限り、にっちもさっちもいかないどんづまり状態になっているのです。

蛇足ですが、名目GDP(国内総生産)とは何のことや?と聞かれることがあります。国内で新たに生産されたサービスや商品の付加価値の総額と言われても、いまいちピンとこない。筆者は、厳密な言い方ではないけれど、「企業で言えば総売上、家庭の場合で言えば、一家の総収入と思ってください」ということにしています。

国の借金について別の見方をしてみます、

日本の借金の対GDP比は、諸外国に比較してダントツに高く今後も増大し続ける仕組みになっています。だが、そもそもGDP比が極めて高いことを以って、危険性を煽るのは見当違いだと思うがどうだろうか。

この国の借金を家計に例えると、家計を共にするお父ちゃん(政府)がお母ちゃん(国民)からカネを借りて、期限がきたら金利をつけて返済しているので、この家庭全体で考えれば、資産が増えている・・・個人金融資産は1997年約1300兆円だったが300兆円以上増えて1645兆円(H25年末)となっている。

つまり、借金が国内で消化されているかぎり、その金は国内で金利分を含めて循環する仕組みになっているので、そういう意味では財政破綻はあり得ない。

又、日本の借金を対GDP比でみるよりも、借金の財源になっている個人金融資産比で見る方が妥当性がある。2013年末の借金1018兆円に対する個人金融資産1645兆円でみれば62%程度であり、全く心配する必要はない(但し格差拡大の要因になっている)。

蛇足ですが、世間では借金の増大に対してハイパーインフレを懸念する人たちがいる。ハイパーインフレが起きるのは、対外債務の支払い不能(デフォルト)を起こした時、もしくはデフォルトを起こしそうなときである。例えば日本の対外純資産残高はH25年末の時点で、過去最大の325兆円である。当面、対外債務支払いに支障を来たす恐れは全くない。

問題は、今後このままグローバル化が進むと同時に貧富の格差が益々大きくなることだろう。

格差拡大による社会不安、特に財務省が主導していると思われる経済成長抑制策(国民所得、特に若年層の所得を抑えながら、消費税増税圧力)をこのまま長引かせることにより社会が疲弊(荒んだ社会化)して、犯罪が多くなる・・・真面目に働くことがバカバカしくなり、犯罪でカネを稼ぐ方へ走る、その典型はオレオレ詐欺である、いつまでもなくならないどころか悪質化している。

話を元に戻します、

この世の中は資本主義経済ですよね。資本主義経済は基本的にゼロサム構造になっています。わかりやすく言えば、どんなバランス・シート(貸借対照表)でも左側(資産の部)と右側(負債の部)は、必ずイクオール(同額)です。つまり、プラ・マイゼロ構造になっています。

 したがって、1997年~2014年の17年間に国が使った巨額のお金(財政出動分:522兆円)と乗数効果分(GDP増分)は、ドブにでも捨ててなくさない限り、貸借対照表で言えば資産の部に必ず存在するはずですが誰もこれについて追及するものはいない。1997年~2014年の巨額の使途不明金の解明がなされない限り、日本の経済成長は見込めないと思うのだがどうだろうか。

次回もこの続きです。