1/28、29日にかけて、読売、朝日、毎日、日経、産経、東京新聞の各社の社説は、判で押したように雁首を並べて、""米民間格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本国債の格付けを引き下げ""に反応して警鐘(笑)を鳴らしている。
S&Pの発表がどれだけ権威のあるものかどうか知らない。筆者の邪推だが、背後でFRBとその手先のハゲタカ・ファンドと結びついた情報機関(悪智恵?)集団だと思われる、少なくとも善意の集団ではないことだけは確かだろう。先ずは次の表を見ていただきたい。
1/28の東京新聞記事から抜粋
S&Pによる国債格付け
AAA 米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、シンガポール
AA+ ベルギー
AA スペイン
AA- 日本、中国、台湾
A+ イタリヤ
A アイルランド
A- ポルトガル
・・・
BB+ ギリシャ
巨額の貿易赤字と財政赤字に悩まされているアメリカ、しかも、その債権(米国債)を大量に抱える日本と中国および台湾が揃いも揃って上から4番目のAA-で、これらの国に借金を背負わせている借金大国アメリカがトップクラスのAAAだというのだから、笑わせる。この通りだとすれば、米国債を大量保有することは「危ないぞ!」と警告しているのであれば納得がいく(笑)。
米国債はいずれ遠くない将来に「紙屑」になる日がくるぞと警告を発しているのかも知れない。アメリカは新通貨アメロ?又は金本位制に切り替える?と言い出しかねない国です。そうすることがアメリカが膨大な借金から逃れられる唯一の合法的な?棒引き手段(屁理屈)もしくは借金の帳消しができる方法だろう。アメリカが中国の人民元の切り上げを強く主張しても、中国は頑として応じていない。中国の人民元はアメリカにとって目の上のたんこぶ、だからアメリカは、それくらいのことは考えているに違いない。ドルを紙屑にすることでしかアメリカが抱える膨大な借金をチャラにすることは出来ない。
だったら、「なーんだ、一番危ないのはアメリカじゃないか、アメリカの格付けはギリシャ並じゃないか」、そうなんです、危ないのは日本よりアメリカです。だが、単純に考えてはならない。なにしろ、米国は機軸通貨ドルの発行元なんだから、金(マネー)が不足すれば、いつでも打ち出の小槌を振ってみせることが出来る、事実これまでそうしてきたからこそ円高・ドル安なのである。だから、そこがジンバブエや中南米の諸国で起きたハイパーインフレと異なるところでもある。これらの国々は、偽ドルなら別ですが、自国でUSドルを発行することはできません、あくまでも全く価値のなくなった自国の通貨しか発行できない(ギリシャの場合は単一通貨ユーロ圏ですから、自国の通貨の発行もは許されていない、ギリシャができるのは借金の証文としての国債の発行だけである)。
以上が筆者の認識である。
朝日、読売、毎日の各社説は一様に消費税アップの必要性に言及しているが、なかでも朝日の社説がひどい。
1/28の、朝日新聞社説、
""格付け会社は世界金融危機に適切な警告を発せられず、批判を浴びた。だが残念ながらこの格下げに異論をはさむ余地は少ない。
・・・日本の消費税率は先進国で最も低く、まだ引き上げ余地がある。日本政府はいずれ増税に踏み切るだろう。市場にはそういう期待と確信があった。だが日本の政治は重い腰を上げられないでいる。いまや市場から不信感が突きつけられたのだ。""
結局、この社説の言いたかったことは、消費税アップへの提言(笑)でしょう?
東京新聞の社説は、""与謝野経済財政相は「消費増税を早くやりなさい、という催促」と解説し、増税論議の追風にしようという意図を吐露した。だが、先の金融危機では格付け会社の営利優先姿勢が厳しく批判されたばかりだ。民間会社の格付けを頼りに増税を宣伝するのは、かえって逆効果ではないか。お粗末さがにじみ出たのは、菅直人首相の「いま初めて聞いた。そういうことには疎いので」という発言だ。首相は国債の格下げがどういう意味を持つのか、理解していないのだろうか。・・・・""
このようなお粗末な首相が、平成開国の大口をたたき、TPP推進を説くのだから(米国向けのおべんちゃら)、国民はたまったものではありません。
さらに、最も悪質なのはテレビ朝日1/28報道ステーションである。怪しげな外人ヘッジファンド、 ヘイマン・アドバイザーズ カイル・バズ氏とかいう人物を登場させて、キャスターの古館氏がこの男のご託宣を聞いて、いちいちうなずいて納得するのだから、笑った。
彼のご託宣(趣旨)は、
「あとは時間の問題です3~4年もつかどうか。日本は2年以内に行き詰まると我々は予想しています」・・・・
ハゲタカの連中は相場が上がって儲け、下がって儲ける、とにかく相場が動くことが、彼らの狙い。どのように動かすかは彼らの手の内にある。こんな儲けることしか頭にないハゲタカの意見を聞いてどうするのだろうか?
古館氏はハゲタカ氏の意見を参考に、慶応義塾大学 土居丈朗教授の意見を聞いている。土居教授は「まだ乗り切れるチャンスはこの1~2年はあると思います。ただ、その1~2年を逃すと、あとはなかなかチャンスがないかもしれない」とまじめに答えている(笑)。
「ニコブログ」は、
「報道ステーション」 S&Pによる日本国債格下げ翌日の特集メモの最後ところで次のように述べています。
””・・・正確に言うと「(金持ちと大企業を除く国民に)痛みを伴った改革」「(金持ちと大企業を除く国民に)みんなで小さな痛みを少しずつ分け合いながら」、財源を消費税だけに求める、となります。社会保障費を抑制すれば、低所得者層ほど痛みは強くなりますし、公務員の人件費をこのデフレ下で行えば、消費に大打撃を与え、不況からもデフレからも抜け出せないばかりか、公務員の人権費削減を理由に民間企業の賃金も削減されます。悪循環も悪循環、デフレスパイラルを加速させるだけです。財政再建のためとうそぶき、財政再建から遠ざかります。
サブプライムローンにAAAの格付けをしてリーマンショックを予見できなかったS&Pについて疑問は持たず、よりによって自分の金儲けのことしか考えていないヘッジファンドの人間を登場させ、日本国債を格下げされた翌日に喜んでこんなアホみたいな特集を組む「報道ステーション」なんか消えてしまえばいいのに。
ただ、「数年以内に国債が国内で消化できなくなる」という主張は分かりやすいのでやっかいです。マスコミは今後、この理屈を多用して消費税引き上げによる財政再建を主張していくでしょう。””
参考:ニコブログ、
「報道ステーション」 S&Pによる日本国債格下げ翌日の特集 メモ http://nikonikositaine.blog49.fc2.com/blog-entry-1689.html
蛇足:
トッペイ:
アメリカ国債を大量に保有している日本の国債が格付けがアメリカより低いとはおかしな話ですね。消費税アップの布石でしょうが、あまりに手口はみえみえであほ丸出しですね。
このS&Pなる会社はリーマンブラザースにトリプルAを付けていたのではないですか。こんな信用の置けない仕手筋のような連中のいうことなど眉に唾して聞いておけばよいのです。S&Pの意味は平均より頭がプアーということなんでしょう(笑)
いかりや:
程度の悪い「格付け会社」(だから自ら S & poors?笑)と言っていることは、わかっていながらそれに乗せられてか、それとも、それを敢えて利用している新聞、TV局のアホさ加減、特に朝日新聞とテレビ朝日はひどいですね。
同TV局の報道ステーションは、先週金曜日(1/28)「借金大国日本の現状を伝え、再生への道を提言するシリーズ第1弾。」と言っていますから、近々第2弾を楽しみにいたしましょう(苦笑)。
古館先生が、
「おやぶん、てーへんだ ていへんだよ!」、「こりゃー、消費税上げなきゃー ニッポン丸は 沈没だべさ!」とプロレス中継?してくれることでしょう。