猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

看過できない久間防衛相の「不規則発言」

2007-01-29 00:58:47 | 日米同盟
 さる1月9日の防衛庁の防衛省昇格に伴い初代防衛相となった久間章生氏であるが、最近の一連の彼の「不規則発言」を見ていると、そろそろ出処進退を明らかにしていただかなくてはいけないと思う。
 まず、24日の日本記者クラブでの会見で、イラク開戦について「核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ大統領は踏み切ったのだろうが、その判断が間違っていたと思う」と発言した件。事実関係としては確かに久間氏の認識の通りと言えなくもない。しかし、防衛相の立場にあるものが口にすべき内容ではない。自衛隊のイラク派遣は要するに日米同盟の強化が第一目的であった。現在も航空自衛隊がイラクに残って輸送業務に従事している。隊員たちが命を賭して日米同盟強化という政治目的に貢献しているというのに、司令官たる防衛相がそれを帳消しにするような発言をするとは不適切極まりない。「米国のイラク開戦が誤りであった」などという主張は、目新しいものでもなんでもなく、三流の評論家でも出来るコメントである。そんなことを言ったからといって防衛相としての見識が高いなどと賞賛されるわけがない。しかも、安倍内閣は小泉内閣の自衛隊イラク派遣を是としてそれを継承している。「米国のイラク開戦が誤りであった」とどうしても表明したいのならば、安倍内閣の方針に反対であるとして防衛相の職を辞するべきであるし、そもそも防衛庁長官を受けるべきではなかった。
 上記発言に対して米国から抗議があったことを受けて官房長官らが自重するよう促しているまさにその折に飛び出したのが次の「普天間問題、偉そうに言うな」発言である。27日の諫早市における講演で、普天間移設問題に関して「米国は政府同士が決めたのだからそれをやったらいいというが、沖縄県知事がうんと言わないとできない」「知事の意見を聞き入れながらやっていかなければならないのに、米国は分かっていない」「あまり偉そうなことを言ってくれるな。日本のことは日本に任せてくれ」などと述べた。沖縄県から出ている修正提案を米国政府が一顧だにしないことへの批判である。せっかく基地問題に理解のある仲井真弘多氏が沖縄県知事に就任して間もないことでもあり、修正提案をとりあげるべきだと主張したくなるのも分からないでもない。しかし、米国側は我が国が修正するのしないのと散々悶着した挙句空中分解してしまった辺野古沖移設計画の「前科」を念頭に不信感を抱いているのである。もし県側の確固たる担保をとった上で米国と協議に臨むのだとしても、こんなに大々的に、しかも米国批判の形で発言したのであれば、まとまるものもまとまらない。これは決して沖縄県民のためにもならない。交渉術としても極めて辛く評価せざるを得ない。
 何よりも国防相として肝に銘ずべきは、日米同盟に不信感が生じて喜ぶのは中国だということである。米国は2+2の開催にすら難色を示し始めている。安倍総理もそろそろ腹を括る時ではなかろうか。



(参考記事)
[「普天間問題、偉そうに言うな」 久間氏、また米批判]
(1月28日8時0分配信 産経新聞)
 久間章生防衛相は27日、長崎県諫早市での講演で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設問題をめぐり「米国は政府同士が決めたのだからそれをやったらいいというが、沖縄県知事がうんと言わないとできない」と、あらためて米政府の対応を批判した。
 久間氏はイラク戦争をめぐる米大統領批判を含む一連の対米発言を繰り返したあと、26日に発言自粛を宣言したが、すでに米側からは不快感も伝えられており、日米同盟関係に現実の悪影響を与えかねない情勢。政府内では「安倍晋三首相も心配しており、対応を考えなければならない」(政府高官)と危機感が広がっている。
 講演で久間氏は、移設先の埋め立てに知事の許可が必要なことに触れ、「知事の意見を聞き入れながらやっていかなければならないのに、米国は分かっていない」と主張した上で「あまり偉そうなことを言ってくれるな。日本のことは日本に任せてくれ」と米側に伝えたと解説した。
 また、久間氏は24日の日本記者クラブでの会見で、イラク開戦について「核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ大統領は踏み切ったのだろうが、その判断が間違っていたと思う」と発言したが、外務省筋によると、米側は直ちに外交ルートを通じて不快感を表明し、日本側は大統領批判ではないと釈明した。
 国内でも、内閣不一致との指摘を受けた塩崎恭久官房長官ら官邸サイドが「政治家個人としての発言」と擁護する一方、久間氏に「誤ったメッセージを伝えることになりかねない」と注意を促していた。
 イラク戦争批判はそれ以前にもあったが、ブッシュ大統領の一般教書演説直後とあって、米国のAP通信は演説への反応の一つとして配信。「久間発言」はイラン大統領の「米国の新イラク戦略は今までの計画と同様、失敗に終わる」といった談話と同列に扱われ、米主要紙にも掲載された。
 米側は久間氏の一連の発言を、米国向けの弾道ミサイルを日本が迎撃することに慎重な姿勢を示した発言と併せ、問題視している。日本側が今月開催を模索していた日米安全保障協議委員会(2プラス2)も日程のメドが立っていない。

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