猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

普天間移設協議機関、北部市町村が8月中の設置で合意

2006-08-20 06:58:41 | 日米同盟
 沖縄県の稲嶺恵一知事と額賀福志郎防衛庁長官が18日に会談し、在日米軍再編に伴う普天間飛行場移設の協議機関の早期設置に向け調整することで合意した。政府案は何度も紹介している通りキャンプ・シュワブ沿岸にV稲字型の滑走路を設けるというものである。これに対して、稲嶺知事側は独自の暫定ヘリポート案を提案し、これを取り上げなければ協議機関の設置には応じられないとしていた。このたび、額賀長官が「暫定ヘリポート案も論議する」と示唆したことにより、沖縄県側も協議機関の設置に応じた形である。
 また、額賀防衛長官は19日には、東村の宮城茂村長宅で県北部の10市町村長と会談し、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設に関する協議機関について、8月中の設置を目指すことで合意した。県北部の10市町村長は、政府の振興策に相次いで期待を表明しており、5月に閣議決定した米軍再編の基本方針で、10年間で1000億円規模の北部振興策が廃止されたことに不満を示し、協議機関の中で振興策の復活などを働き書かける場として協議機関を利用したい意向であると思われる。県側は、市町村の意向を無視できず、協議機関の設置に同意した側面も大きいのだろう。
 筋論から言えば、国防は国の専権事項であるから、極論すれば地元の意見に左右されるべきではないのだが、実際の政治ではそういう原理主義的な考え方は通用せず、利害関係の調整が政治の本質ともいえる。とはいえ、日米同盟を堅持して在日米軍を今後とも我が国においていく以上は、在日米軍基地に関する基本法を制定して、最終的には国の強権発動もやむなしという選択肢も明確にしておくべきであろう。これは、我が国全体の安全保障を考える上で必要な観点である。それにしても毎度のことながら不満なのは、米軍再編問題が基地再編と地元振興策に矮小化された形でしか伝わってこない点である。地政学的・戦略的議論の喚起を期待するのは夢物語なのだろうか…。



(参考記事1)
[機関設置調整で合意 普天間代替協議]
 稲嶺恵一知事と額賀福志郎防衛庁長官は18日午前、県庁内で会談し、在日米軍再編に伴う普天間飛行場移設の協議機関の早期設置に向け調整することで合意した。額賀長官は、県の求める暫定ヘリポート案も「危険性除去策として県が提案するのは結構だ」と述べ、協議機関への参加を促したのに対し、稲嶺知事は「協議できる環境を早期に整えてほしい」と述べ、暫定ヘリポート案の本格討議を求めた。防衛庁は9月初旬の設置を求めている。
 額賀長官は午後から島袋吉和名護市長や名護漁協を訪問するほか、普天間飛行場移設先の名護市辺野古の地元区長らと懇談する。
 普天間飛行場移設に関する協議機関をめぐっては、17日に防衛施設庁の渡部厚施設部長が来県して牧野浩隆副知事と会談。県提示の暫定ヘリポート案も論議していく考えを伝えた。県は従来、「政府案(V字沿岸案)のみの協議機関には参加できない」と主張、政府との間でこう着状態が続いていた。だが政府が「暫定ヘリポート案も論議する」と「譲歩」の姿勢を示したことを受け、協議機関に参加する方針を固めている。
 額賀長官は19日にも北部市町村長らと懇談する。20日は嘉手納飛行場に関する3市町連絡協議会(三連協、会長・宮城篤実嘉手納町長)の首長と会談し、中南部の市町村長とも懇談する予定。小泉純一郎首相の9月退陣をにらみ、自身の任期中に再編計画の道筋をつける狙いがあるとみられる。
 額賀長官の県への訪問は、昨年10月末の在日米軍再編の日米合意後、合意内容を稲嶺知事に説明するために11月に来て以来。ことし5月の日米間の最終合意後では初めて。
(琉球新報) - 8月18日16時6分更新

(参考記事2)
[普天間移設協議機関、北部市町村が8月中の設置で合意]
 沖縄県を訪問中の額賀防衛長官は19日昼、東村の宮城茂村長宅で県北部の10市町村長と会談し、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設に関する協議機関について、8月中の設置を目指すことで合意した。
 政府と地元市町村が早期設置で足並みをそろえたことで、設置時期について明言していない県側の対応が焦点となる。
 額賀長官と会談したのは、北部振興策の対象となっている名護市など12市町村のうちの10市町村長。
 額賀長官と稲嶺恵一知事の18日の会談では、額賀長官は9月初旬までに協議機関を設置する意向を伝えたが、稲嶺知事は協議機関の設置時期では合意しなかった。これに対し、19日の会談で、市町村長側は、「概算要求が行われるし、予算編成をスムーズに行っていくためには、出来るだけ早い方がいい」と要望し、8月中の設置を県に働きかけることを約束した。
 12市町村は、普天間飛行場の代替施設については政府案を基本的に受け入れている。5月に閣議決定した米軍再編の基本方針で、10年間で1000億円規模の北部振興策が廃止されたことに不満を示し、協議機関の中で振興策の復活などを働きかけたい考えだ。額賀長官にも、「振興策の復活、継続を政府一丸でやっていただきたい」と要請した。
 防衛庁は、「政府と市町村が歩調を合わせたことで、県も協議機関の早期設置に応じざるを得ないのではないか」(幹部)と見ている。
(2006年8月19日21時2分 読売新聞)

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です! (tsubamerailstar)
2006-08-26 00:05:48
>それにしても毎度のことながら不満なのは、米軍再編問題が基地再編と地元振興策に矮小化された形でしか伝わってこない点である。



グアムに行ってそこら辺の彼我の違いは感じた部分がありました。政府の説明責任も住民の意識のありようも何かお互い適当なところでお茶を濁している感はありますね。

沖タイが台湾軍の演習でぎゃぁぎゃぁ喚いているようですが、確かに漁業関係者には影響があったにせよ、台湾軍が人民解放軍に化けたらどうなるかというところまでは考えが及ばないようですね。
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田舎 (PJ)
2006-08-28 11:38:04
やっぱり沖縄も田舎なんですよね。

目先のことしか見えないんですよね。

田舎育ちの私としては状況が目に浮かぶようです。

どこかで沖縄のタクシーの運転手さんが日本やアメリカよりも中国に期待しているという話を聞きました。

それに沖縄のマスコミは反日なワケだし。

情報の地域格差はまだまだ大きいですね。

米軍の人が沖縄でのバッシングに恨み言を言ってるのを聞いて同情してしまいました。

こんな状態で、アメリカの大統領が民主党に変わったら・・・。

米軍再編での日本の負担金は聞いていたより大きくなるそうですが、金の切れ目が縁の切れ目にならないように、日米間の信頼醸成に努めて欲しいです。
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コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-09-06 01:16:45
返事が遅くなり申し訳ありません。



tsubamerailstarさんへ:

台湾軍の演習なんて、日台の緊密化に一役買うわけで、それこそ「台湾軍が人民解放軍に化けたらどうなるか」ですね。

先日自民党のブロック大会で総裁候補の討論を聞いていたら、麻生さんが日米同盟強化の重要性を一番熱心に説いていたようです。



PJさんへ:

「こんな状態で、アメリカの大統領が民主党に変わったら」と危惧する人が多ければ、日米同盟を小泉・ブッシュの良好な個人的関係に多くを依存している状態から、構造的に深化したものへ再構築していかねばならないという議論になるはずなのですが…。なかなかそうなりませんね。

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