猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

在日米軍再編、協力に応じ自治体へ交付金―「在日米軍再編推進特別措置法案」提出へ

2007-02-06 01:36:24 | 日米同盟
 政府は、在日米軍再編で施設の建設や部隊の移駐を受け入れる関係自治体に対して、再編事業の進捗度に応じて段階的に配分する形式の「再編交付金」制度の導入を柱とする「在日米軍再編推進特別措置法案」を今国会に提出し成立を目指す。これは、10年間の時限立法である。
 再編交付金の仕組みは、原子力発電所の受け入れ先に対する「電源立地地域対策交付金」にならったものである。現在検討されている案では、再編によって負担が増加する自治体に対して交付金の提示額に対する受給率が10%から100%までの4段階に設定されることになっている。例えば、〈1〉再編案の受け入れ→10%、〈2〉環境影響評価に着手→30%、〈3〉施設整備の着工→60%、〈4〉再編完了→100%というイメージである。従来は受け入れ自治体に対しては一律に交付していたが、それでは、言葉は悪いが「交付金のもらい逃げ」になる場合がありうるということで、着実に再編を進めるべく本制度が設けられるのである。
 制度の正当化根拠は次のような理屈である。まず、米軍再編は日本防衛に資する国民的利益である。したがって、施設や部隊を新たに受け入れることにより負担が増加する自治体には、全国民が交付金という形でその分の負担を分担する。ただし、交付金は受け入れに伴う負担増に対応するものであるから、実際に再編関連事業が実施されないのに全額交付されてしまっては他地域の国民から不当に利得を得ていることになり不公平になるので、それは認めない。
 理想論を言えば、交付金のような制度は利権の温床になりやすいのでできれば避けたいところではある。また、国防は中央政府の専権事項であることに鑑み、最終的には自治体の同意なしでも施策を進めることができるというのが理に適っている。ただ、これは政治的リスクが高くなりなかなか実施できないのであろう。しかし、再編交付金の制度をもってしても「交付金も要らないから負担は御免だ」という自治体に対しては効果がない。もし、軍事的合理性から見てそれが死活的に重要な地域であった場合にどういう対応をすることができるか、やはり考えておく必要はある。そうすると、結局「理想論」「原則論」に立ち戻るしかないのではないかと個人的には考えている。
 在日米軍再編推進特別措置法案では、「駐留軍等再編関連振興会議」を防衛省に設置することも定めている。これは、再編に関する計画などを議決する機関という位置づけで、防衛相を議長とし、総務相や外相、官房長官らの関係閣僚によって構成される。防衛相が議長となるのは主管官庁が防衛省であることを明確化するためである。
 折りしも久間防衛相の発言で、米国側は2+2(外務相・国防相会議)の開催を拒否してきているところである。米国にとりたてて媚び諂う必要は全くないが、特措法の制定は信頼回復に繋がるものと期待される。



(参考記事)
[在日米軍再編、協力に応じ自治体へ交付金]
 政府が今国会成立を目指す在日米軍再編推進特別措置法案の全容が5日、明らかになった。
 在日米軍の施設建設や部隊の移駐などを受け入れる関係市町村に対し、事業の進ちょくに応じて段階的に配分する「再編交付金」の新設を明記した。自治体の反対が根強い再編を促すのが狙いだ。
 防衛相が交付先の自治体を指定し、関係閣僚による会議の議長も防衛相が務めるなど、防衛省が主導する仕組みとした。政府は与党の了承を取り付けた上で、9日に法案を閣議決定し、国会に提出する考えだ。
 法案は2017年3月31日までの10年間の時限立法となっている。防衛相は、再編で負担が増える自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、再編交付金を交付する。法案は「再編実施に向けた措置の進ちょく状況及び経過期間に応じ、再編関連特定市町村に再編交付金を交付する」としている。
 再編交付金は、原子力発電所の受け入れ先に対する「電源立地地域対策交付金」を踏襲したものだ。交付金の対象となるのは、米軍の部隊が新たに配置されたり、米軍の訓練が移転されたりする基地の周辺市町村だ。
 新たな施設が整備される場合、〈1〉再編案の受け入れ〈2〉環境影響評価に着手〈3〉施設整備の着工〈4〉再編完了――の4段階に応じて、交付金の受給割合を上げていく。事業が滞れば、交付を凍結する。
 こうした市町村に対し、再編に絡む大型公共事業などに関する特例を設け、補助率引き上げを行う内容も盛り込んだ。
 再編に関する計画などを議決する機関として、防衛相を議長とし、総務相や外相、官房長官ら関係閣僚による「駐留軍等再編関連振興会議」を防衛省に設置する。当初は、首相を議長とし内閣府に置くことが検討されたが、防衛省を主管官庁として明確に位置づけた。
 在沖縄海兵隊のグアム移転に伴う日本側負担の一環として、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を作り、日本政府の出資を受けた同銀行と民間企業との事業主体が家族住宅を建設できる民活の仕組みも設ける。
 沖縄県の米海兵隊普天間飛行場移設の完了予定は2014年だが、移設が難航する事態も想定し、移設完了から5年間は交付を継続できる例外措置を設けた。
(2007年2月5日14時32分 読売新聞)

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