猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

安倍総理施政方針演説

2007-01-27 01:24:35 | 政界・政治全般
 安倍総理大臣は、26日午後の衆参両院本会議において施政方針演説を行った。「戦後レジームを大胆に見直し、『美しい国、日本』の実現に向けて、次の50年、100年の時代の荒波に耐え得る新たな国家像を描くことが私の使命だ。国の姿、形を語る憲法改正の議論を深めるべきだ」と述べて、憲法改正に具体的に踏み込んで我が国のグランドデザインを描くための方向性を示すための第一歩となったと言ってよい。
 施政方針演説で「集団的自衛権の行使に関して個別事例を研究する」と明確に述べたのは、実に画期的なことである。一昔前ならば、間違いなく内閣が潰れていただろう。集団的自衛権の行使に関しては、もう一歩踏み込んで、速やかに従前の「保有すれども行使できない」という政府解釈を改めるのが望ましい。
 また、教育改革を「美しい国」作りの一つの柱と位置づけて徹底的にこれに取り組む決意を表明している。ただ、教育は政治がコントロールできる余地はある程度限られてくる。この点は、財政や外交・防衛などの政治の「専権事項」とは趣を異にすると思う。目に見える成果が急に出る性質のものではないので、長期的視点に立って見守るべきである。
 ASEANなどとの経済連携協定の推進にも大いに注目したい。グローバル化した国際市場において生き残っていくには経済連携が欠かせないし、ASEAN諸国と連携することは対中国の観点からも必須である。さらに、経済連携協定の推進は、硬直化した業種を再構築し活性化するためのよい機会となろう。
 安倍総理の施政方針演説を「中身がない」と評する報道が多いが、賛成しかねる。「施政方針」を示すのが目的なのだから、大目標さえ示せれば十分である。また、抵抗の多い道路特定財源改革もきちんと盛り込まれているし、消費税を含む税制改革も明確化された。確かに、色々盛り込みすぎて大味になったと言えなくもないが、盛り込むべき内容は盛り込まれているのだから、評価しないのは片手落ちであろう。
 読売新聞1月26日夕刊出典の演説要旨を以下に示しておく。

【はじめに】憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが時代の変化についていけなくなっている。戦後レジームを大胆に見直し、新たな船出をするべきだ。次の50年、100年の時代の荒波に耐え得る新たな国家像を描く。

【成長力強化】生産性を向上させ、成長力の強化が必要だ。新成長戦略を進める。「イノベーション25」を5月までに策定する。「アジア・ゲートウェー構想」を5月までに取りまとめる。ASEANなどとの経済連携協定の早期締結に取り組む。

【チャンスにあふれ何度でもチャレンジが可能な社会の構築】パートタイム労働法の改正で、正社員との均衡のとれた待遇が得られるようにする。高齢者や団塊の世代の活躍の場を拡大する。

【魅力ある地方の創出】「新分権一括法」の3年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担、国の関与を見直す。地方独自の取り組みを推進し、「頑張る地方応援プログラム」を4月からスタートする。

【国と地方の行財政改革の推進】歳出削減を計画的に実施する。道路特定財源は揮発油税を含め仕組みを改め、来年の通常国会に法案を提出する。対応しきれない負担増には安定的な財源を確保しなければならない。2007年度をめどに、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる。

【教育再生】教育再生は内閣の最重要課題である。「教育新時代」を開く。教育改革関連法案を今国会に提出する。ゆとり教育を見直し、公教育再生に取り組む。教員免許更新制を導入する。教育委員会は機能を十分果たしておらず、信頼される教育行政体制を構築する。

【健全で安心できる社会の実現】「日本型の社会保障制度」の構築に向け、制度の一体的な改革を進める。社会保険庁は「廃止・解体6分割」を断行する。少子化に対し、さらに本格的な戦略を打ち立てる。

【主張する外交】日米同盟を一層強化する。時代にあった安全保障の法的基盤を再構築する。いかなる場合が憲法で禁止される集団的自衛権の行使に該当するのか、研究を進める。在日米軍の再編は着実に進める。
 北朝鮮の核開発は断じて認めない。「対話と圧力」のもと、関係国と連携し、北朝鮮に具体的な対応を求める。北朝鮮に拉致被害者の安全確保と帰国を強く求める。外交や安全保障に関する官邸の司令塔機能強化の体制整備に取り組む。国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す。

【政治資金制度】政治資金制度について、各党・各会派で十分議論されることを期待する。

【むすび】憲法の改正の議論を深めるべきである。「憲法の改正手続きに関する法律案」の今国会成立を強く期待する。
 今年を「美しい国創り元年」と位置づけ、様々な改革の実現に進んでいく覚悟だ。福沢諭吉は、士(さむらい)の気風とは、「出来難き事を好んで之を勤むるの心」と述べた。困難なことをひるまずに、前向きに取り組む心こそ、近代日本を作った。ともに未来を切り拓いていこう。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-01-27 09:30:13
アベなんて、キチガイだぞ!
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復活おめでとうございます (ダイ・グ)
2007-01-27 14:41:34
色々な意味で「小泉純一郎」という人は壊し屋だった。
そして安倍政権は壊れた世界の再構築が役目。

それを象徴する言葉として「美しい国日本」は的外れでは無いと思います。
東アジア外交の正常化、アメリカ一辺倒だった外交政策の見直し、それらを就任してまず行った事をもう一度思い出してもらいたい。
その上で、内政面で再構築しないといけないところを、今国会で行えばいいと思います。敢えて注文を付けるのであれば、周りの人間が悪すぎる。派閥の論理とか考えずに、クリーンで能力のある人を登用しないと、支持率はまだ下がると思います。
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お久しぶりです (舎 亜歴)
2007-01-28 23:24:17
久しぶりに二つ、ほんの少し関連があるものをTBしました。日本とアジアを考えるうえで役立つか???

気晴らしにこちらのブログのリンクで「音楽鑑賞?」でも。それにしてもスパムTBが目立ちますね。私がブログで議論するものとは違う性質のショッカーに狙われているようで。
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コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2007-01-29 01:22:53
>ダイ・グさん
お久しぶりであります。
壊し屋は鮮やかだし格好よく映るものですが、その後を作り上げる方は地味で目立たなかったりします。
確かに、閣僚の不祥事や不適切発言が相次いでいるのは手痛いところです。せっかく立派な理念を掲げているのに足下から崩れてしまってはもったいない限りです。

>舎 亜歴さん
ご無沙汰しております。早速興味深いTBを二本ありがとうございました。
長い間目を離していたら、いつの間にかスパムTBに占拠されていました。そろそろ退治していかねば…。
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