猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

日米安全保障協議委員会(2+2)最終合意に関する補足的記事

2006-05-04 17:03:10 | 日米同盟
 5月1日に日米安全保障協議委員会(2+2)が開催され、在日米軍再編に関する最終合意がなされた。この点に関しては、今までにも何度も取り上げてきたとおりであるが、朝鮮日報電子版(日本語版)の解説記事が、その概要と意義について簡潔明瞭にまとめているので、下に引用して紹介しておく。一瞥するのに実に有用だと思うので、是非目を通してみてください。日本のマスコミもこのぐらい本質に迫りかつ分かりやすい記事を電子版でも書いてくれればよいのにと残念に思う。
 次の焦点は、現行の「ガイドライン」の内容を改定すべく、新しい共同文書を策定するか否かという点に移った。これに積極的なのは防衛庁であり、消極的あるいは慎重なのは外務省及び米国側当局である。米国側の主張は「現在協議している日米間の具体的な防衛協力を着実に実施することも重要だ」ということであり、なまじ新しい指針、悪く言い換えれば「お題目」を掲げて、現行ガイドライン下ですら積み残しのある諸課題への着実な取り組みを阻害することを懸念するということである。私の考えは『日米防衛指針見直しへ―国際平和協力を拡充』で詳しく述べたとおり、何らかの新たな指針は必要だろうが、憲法解釈を改めて集団的自衛権の行使を容認しない限りは、本質的な改定にはならないと思う。



(参考記事1)
【在日米軍再編】韓半島有事の際は米日統合作戦

 在日米軍再配置計画は3年余りにわたる論議のあげく米日軍事協力と自衛隊の役割を一層強化する方向へ結論が出た。米日両国は1日、ワシントンで外務・国防担当が出席する日米安全保障協議委員会(2+2)を開き、在日米軍再配置計画を確定した。両国は合意文の発表後「米日同盟は新しい段階に入った」と宣言した。

◆米日‘軍事一体化’

 米西部ワシントン州の米陸軍第1軍団司令部を改編した統合作戦司令部は2008年までに神奈川県座間基地に移転する。太平洋地域の緊急作戦が主な任務の米陸軍第1軍団は、第1特殊戦軍・第2歩兵師団・第1旅団などで構成されている。今後、座間基地は韓半島(朝鮮半島)有事の際は陸海空統合作戦を指揮する拠点になる。日本の陸上自衛隊がテロなどに備えるため新設中の‘中央即応集団司令部’(韓国の特戦司令部に相当)も2014年まで同じ基地に設置される。こうなると米陸軍と日本の陸上自衛隊は指揮系統が一元化される。通常の訓練も共同で実施する。

 空軍の場合、日本の航空自衛隊航空総隊司令部(空軍司令部)は米第5空軍司令部がある横田基地に入る。この基地で両国軍はミサイル防御のための‘共同統合運用調整所’を創設する。また、青森の航空自衛隊基地には米軍のミサイル防御(MD)のためのXバンドレーダーが配置される。

◆自衛隊の役割拡大

 自衛隊の米軍後方支援任務も大幅に強化される。憲法上の制約のため自衛隊は日本本土有事の際以外は加担できないが、米軍の要請により補給・整備・輸送などの分野で支援を行なう。米軍支援法など国内法整備は完了している状況だ。

 自衛隊が導入を決めた高速輸送船は沖縄からグアムに移転する米海兵隊の有事支援用装備だ。これまで沖縄の米軍嘉手納基地などで実施してきた米軍機訓練は、今秋から日本本土の航空自衛隊基地6か所に分散して実施される。航空自衛隊幹部は「米軍機が平素から航空自衛隊基地で訓練を繰り返えし、滑走路の特性などを把握できるので、米日間の共同対応はさらに円滑になるだろう」と見ている。また九州の自衛隊基地2か所には沖縄の普天間基地が果たしてきた緊急滑走路機能が移転される。これまた韓半島と台湾海峡有事の際の戦略拠点にするとの意図と見られる。

◆世界の中の米日同盟

 在日米軍再編は‘冷戦期’と‘冷戦終息後の過渡期’に続き今回が3回目。再編のたびに米日軍事協力は強固になっている。これは韓米同盟の軍事的意味が相対的に弱体化する可能性を示唆する。在韓米軍削減と、これを補う大規模兵力展開の根拠地・在日米軍の強化は表裏一体だ。防衛庁関係者は「在韓米軍再編がいかなる方向で行なわれても、米は日本を北東アジア戦略拠点とすることを明確にしたもの」と説明する。今年3月に発表されたブッシュ政権の新しい‘国家安全保障戦略’では、日本がアジアだけでなく世界で主導的役割を果たすことを米は望んでいる、とはっきり述べている。

 今回の合意では‘中国包囲網’という印象を与えないため直接中国を名指ししなかったが、「軍事力近代化に対し一層透明性を要求する」という表現で中国の軍事力増大に懸念を表明している。しかし‘世界の中の米日同盟’も日本の国内法的な裏付がなければ紙切れに過ぎない。自衛隊イラク派遣の根拠になった特別措置法もまもなく期限を迎える。日本はいつでも米が主導する多国籍軍に自衛隊を参加させることができる‘自衛隊派遣恒久法’制定論議を加速化させるものと見られる。

東京=鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)特派員
(朝鮮日報)--2006/05/03 10:53更新

(参考記事2)
[日米安保で新文書策定提起 防衛首脳会談]
 【ワシントン3日共同】額賀福志郎防衛庁長官は3日午前(日本時間同日深夜)、ワシントン郊外の国防総省で、ラムズフェルド米国防長官と会談、在日米軍再編の最終報告を踏まえ、日米安保の意義についての新文書策定を提起した。
 額賀氏は会談後、記者団に「日米同盟は深化した。新しい目標、理念を国民に示し、アジア諸国にメッセージを出す方がいい」と強調した。
 これに対し国防長官は会談で「重要性は分かる」と一定の理解を示したが、「現在協議している日米間の具体的な防衛協力を着実に実施することも重要だ」と述べるにとどまった。
(共同通信) - 5月4日0時58分更新


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>日本はいつでも米が主導する多国籍軍に自衛隊を参加させることができる (PJ)
2006-05-05 09:38:51
脅威が大きくなっているにも拘らず、自衛隊がいつまで経っても日本国内で自由の身になれない、そんなところからの動きなのかもしれないけど、もしこれで落ち着いてしまったら日本はまんま植民地のような気もするし・・・。

日本軍が体裁を整えるまでの緊急避難で済むんでしょうか・・。
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PJさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-05-05 14:57:49
「いつでも…参加させることができる」は「いつでも…参加させる」とは違いますよ。参加するかしないかの決定権は日本政府にあります。あっちは日本防衛を確約しているわけですから、こっちも国益に反しない限りできるだけ協力するというのが同盟というものです。日本なりの安全保障に関するグランドデザインを持つ必要性はいうまでもありません。それと米国の世界戦略の相同相違を明らかにしていく作業も同盟維持の本質でしょう。最終的には、集団的自衛権の行使を認めて、普通の同盟国にならねばなりません。
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