猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

相模補給廠・キャンプ座間、一部返還で合意―米軍再編

2006-03-13 20:42:26 | 日米同盟
 在日米軍再編の動きのうち、神奈川県の相模原市関連で大きな動きがあったのでお伝えする。7日からハワイで開かれている日米外交・防衛当局の審議官級協議で、神奈川県の米軍相模総合補給廠(しょう)(相模原市、約214ヘクタール)とキャンプ座間(座間市、相模原市。約235ヘクタール)を一部返還するということで大筋合意したようである。相模総合補給廠のうち約15ヘクタールが返還されることにより、地元が要望していたJR相模原駅への鉄道と県道の延伸が可能になる。これは、図(読売新聞3月11日付)を見ていただければ一目瞭然だと思う。約15ヘクタールの返還で地元住民の利便性が向上するとすれば、大変結構なことである。
 さて、相模総合補給廠の軍事的意義はといえば、横田基地・横浜ノースドックとの密接な関連のもと、不安定の弧を見据えた極東の重要な大規模兵站施設である。相模総合補給廠は陸軍に属する。これらは米軍が有事に展開する際に必要なものであって、平時には半ば遊休施設化する性格のものである。それゆえ、使われていないように見えるからといって、全面返還を求めても、合理的代替案でも示さない限り無理な相談ということになろう。
 キャンプ座間は、これも陸軍の施設なのだが、米側はここに陸軍第Ⅰ軍団司令部(ワシントン州フォート・ルイス)を移転したいという強い意向を持っているようだ。理由は、一つには、先に述べた相模総合補給廠をはじめとする兵站施設の存在である。もう一つの大きな理由は、作戦の適切な指示をするためには、やはり戦場(この場合は不安定の弧や極東)に近くなければ、誤った指令を出す危険性が高いという点である。日本側は、米陸軍第Ⅰ軍団司令部の座間への移転に、日米安保条約のいわゆる「極東条項」を盾に大反対しているらしいが、極東条項の解釈の見直しも含めて検討すべきである。「在日米軍は日本防衛と極東の安全の確保の目的以外で在日米軍基地から出撃してはならない」などという解釈は、そもそも空文化しており、どう考えてもおかしなものである。米側の要請どおり米陸軍第Ⅰ軍団司令部の座間への移転を実施するのがよいのか、もっとよい案があるのか、検討する必要はあるだろうが、そのためには「集団的自衛権は保有しているが行使できない」などと言っているようでは相手にされない。
 以上見たとおり、キャンプ座間の問題は最高度に戦略的な性格を帯びているので、「座間市が米陸軍新司令部の設置を容認しない」というのは全くもって筋違いな話である。中央政府と地方の役割分担のけじめはきっちり付けなければならない。


(参考記事)
[相模補給廠・キャンプ座間、一部返還で合意…米軍再編]
 在日米軍再編を巡り、7日からハワイで開かれている日米外交・防衛当局の審議官級協議で、神奈川県の米軍相模総合補給廠(しょう)(相模原市、約214ヘクタール)とキャンプ座間(座間市、相模原市。約235ヘクタール)の一部返還で大筋合意したことが10日、分かった。
 複数の政府関係者が明らかにした。
 今月末に取りまとめる予定の米軍再編の最終報告に盛り込まれる見通しだ。
 相模総合補給廠の返還は約15ヘクタールの見通しで、これにより、地元が要望していたJR相模原駅への鉄道と県道の延伸が可能になると見られる。
 相模総合補給廠とキャンプ座間の一部返還は、昨年10月に日米両政府が発表した在日米軍再編の中間報告には盛り込まれなかった。一方で、中間報告では、米陸軍新司令部の設置などキャンプ座間の機能強化が盛り込まれたため、地元自治体が強く反発。日本政府は、最終報告に返還を盛り込むよう、米側と交渉していた。
 地元からは、相模総合補給廠内を通過する形で小田急多摩線と県道をJR相模原駅に延伸してほしいとの要望が強い。このため、日本政府は中間報告後の交渉で、特にこれに関連した敷地の返還を求め、米側も地元への配慮から方針を転換した。このほかの一部敷地についても日米共用とし、有事の際には米軍が優先使用するものの、平時は市民に開放する方向で調整している。
 キャンプ座間については、日本側が5ヘクタール強の返還を求め、米側も一部を返還することには応じた。しかし、一部返還しても座間市が米陸軍新司令部の設置を容認しないとの見方があり、米側は最小限の返還に抑える意向とされる。
 ハワイでの審議官級協議では、8、9日に日米の役割任務分担について意見交換した。9日には沖縄県以外の基地再編案について協議し、10日に沖縄県の米海兵隊削減や基地整理統合を話し合う。協議を受け、両政府は今月末にも外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)を開き、最終報告を取りまとめる予定だ。
(読売新聞) - 3月11日10時39分更新


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