猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

チェイニー米副大統領来日

2007-02-24 08:26:02 | 日米同盟
 さる21日、米国のチェイニー副大統領が来日し、安倍総理大臣と会談した。日米同盟重視の立場をとる安倍総理がブッシュ大統領との首脳会談をまだ実現させていない(5月に予定)のは意外といえば意外だが、チェイニー副大統領の訪日により事実上の首脳会談が行われたと言えないこともない。
 会談の内容は、日米両国が先日の北朝鮮核開発に関する6カ国合意を評価し今後も日米が連携を強めていくこと、日本は米国のイラク政策を支持しイラク復興に今後も支援すること、米国は北朝鮮による日本人拉致問題への日本の立場を理解することなど、きわめて穏当なものであった。
 拉致問題では、チェイニー副大統領は横田夫妻とも面会した。中露なども「日本の立場を理解」などといっているが、あれは外交辞令である。それに対して、米国はやはり立場が異なるのではないか。もちろん我が国が同盟国だということもあるし米国の人権思想が根底にあるが、それだけでなく拉致問題を取り上げることで北朝鮮への安易な譲歩を出来なくする狙いがあるように思われる。94年の米朝枠組み合意の再来であるなどと批判されたが、必ずしも同じ状況ではないということである。
 また、日米豪の3カ国の協力関係の強化についても話し合われた。日米豪の間で外相・防衛相会議(2+2)のようなものを設置することが検討されているようである。この3国でアジア太平洋地域の平和と安定に寄与するという戦略は、奇しくもほぼ同時期に発表された新アーミテージ・レポートの内容と整合的である。なお、あまり知られていないと思うので紹介しておくと、オーストラリアは北朝鮮と意外と関係が深い。1970年代に一時期国交を持ちすぐに断交したが、2002年には再び外交関係が正常化されている。最近は、PSI参加国であるオーストラリアは大量破壊兵器拡散への懸念から北朝鮮に対する圧力を強めたり、逆に6カ国協議の進展を促すために対話路線をとってみたりと、硬軟織り交ぜた独自の対北朝鮮外交を繰り広げている。日米豪が密接に連携すれば、対北朝鮮政策でもオーストラリアを巻き込むことができるので、政策が重層的で厚みを増すことになり望ましいことである。



(参考記事1)
<拉致問題>日本の立場を理解 チェイニー米副大統領
(2月21日21時44分配信 毎日新聞)
 安倍晋三首相は21日、日本を訪問中のチェイニー米副大統領と首相官邸で会談した。イラク問題について、安倍首相は「イラクの復興と安定化への米国の努力を支持する。日本も航空自衛隊の活動やODA(政府開発援助)を通じてイラクを支える」と表明。インド洋での自衛隊の活動も継続する考えを伝えた。
 これに対し、チェイニー副大統領は「日本の貢献を評価している」と謝意を表明。同副大統領が22日にオーストラリアを訪問することを踏まえ、日米豪3カ国の協力関係の強化を確認し合った。
 一方、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の合意をめぐり、首相と副大統領は「正しい方向に向けた第一歩であり、日米間の連携が極めて重要だ」との認識で一致。副大統領は拉致問題について「拉致された人の悲劇の解決が共通の課題だ」と述べ、拉致問題が進展しなければ北朝鮮への支援をしないという日本の立場に理解を示した。
 また、安倍首相は「日米は価値観を共有するパートナーであり、今回の(副大統領)訪日は同盟関係をさらに強化する上で有意義だ」と述べ、米軍再編の着実な実施とミサイル防衛への協力の加速を約束。チェイニー副大統領は「米国は日本の安全保障に揺るぎない決意を持っている。日米関係は過去と比べ最もいい状態にあると信じている」と強調した。
 さらに首相と副大統領は、中国の不透明な軍備拡張や今年1月の人工衛星破壊実験に対する懸念を表明。中国が国際社会で責任ある建設的な勢力となるよう働きかけていくことで一致した。
 チェイニー副大統領は同日、米大使公邸で麻生太郎外相とも会談。麻生外相は6カ国協議について「非核化に向けて北朝鮮の具体的な措置を引き出すためには、圧力を継続しなければならない」と述べた。【中田卓二、大前仁】

(参考記事2)
拉致問題「共通の課題」=イラク増派へ支持伝達-首相、米副大統領と会談
(2月21日21時2分配信 時事通信)
 安倍晋三首相は21日夜、首相官邸で来日中のチェイニー米副大統領と約1時間会談し、日米関係やイラク情勢、北朝鮮をめぐる問題などについて意見交換した。首相は、ブッシュ政権のイラク増派方針を念頭に「イラク復興と安定化に向けた米国の努力を支持する」と伝えた。一方、副大統領は、拉致問題について「(日米)共通の課題だ」と述べ、解決への協力を確約した。
 会談で両氏は、先の6カ国協議の合意を「正しい方向への一歩」と評価。日米の連携や中国の役割が重要との認識で一致した。その上で、首相は「拉致問題の解決は日本として重要だ」と強調、この問題の進展なしには北朝鮮への経済エネルギー支援は行わないなどとする日本の立場への理解を求めた。

(参考記事3)
[チェイニー副大統領、横田夫妻と面会…拉致解決を重視]
(2月22日11時54分配信 読売新聞)
 チェイニー米副大統領は22日午前、都内の米大使公邸で、北朝鮮による拉致被害者家族会代表の横田滋さん(74)、早紀江さん(71)夫妻と面会した。
 副大統領は、早紀江さんが昨年4月、ブッシュ米大統領とホワイトハウスで面会したことに触れ、「この問題は大変重要。日本国民にとっても大変意味が大きい」と述べ、米国が拉致問題解決を重視する姿勢に変わりはないことを伝えた。
 早紀江さんは「日本だけではなく、韓国をはじめ多くの国から人々が連れ去られています」と訴え、米国の支援を求めた。
 副大統領はこの後、次の訪問先のオーストラリアに向け出発した。
 面会後、滋さんは、副大統領には13歳の孫娘がいることが話題に上ったことや、北朝鮮をテロ支援国家のリストから削除しないよう、ブッシュ大統領に求める手紙を託したことを明らかにした。早紀江さんは、「家族は長い間、苦しみ続けていることを伝えた。副大統領が耳を傾けてくれ、心強い思いがした」と話していた。

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2 コメント

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色んな意味で象徴的だったような・・・・ (tsubamerailstar)
2007-02-24 12:13:50
六者協議におけるライス流の協調路線に封じられたあてつけもあったんでしょうね。(汗)
それにしても、イラクに派兵した韓国をスルーして豪州へというのも象徴的に思いました。戦時統制権の委譲に関するニュースも先ほど見ましたが、米韓同盟の退潮も印象付ける格好となりましたね。
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燕様へ (猫研究員。=高峰康修)
2007-02-25 22:52:22
>それにしても、イラクに派兵した韓国をスルーして豪州へというのも象徴的に思いました。

韓国パッシングは明らかに意図的ですよ。同盟を維持する上で反面教師となる、絵に描いたような事例です。
「われらが防衛相」も当然のごとくパッシングされましたね。
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