猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

普天間飛行場の空中給油機、移駐先は岩国 訓練は分散

2006-04-16 17:44:04 | 日米同盟
 普天間飛行場返還問題における最大の課題である飛行場自体の移設先は名護市のキャンプシュワブ沿岸埋め立て案の修正案で合意が確実であるが、残されたもう一つの重要課題である同基地所属の空中給油機KC130の移駐先が決定した。その概要をご紹介する。
 実は、KC130の移駐先が決まらないことには、普天間飛行場返還は実現できないと言っても過言ではなかった。というのは、キャンプシュワブ沿岸に新たに建設するのはあくまでヘリポートだからだ。12機のKC130の移駐先は結局岩国に決まった。岩国には隊舎や家族住宅も建設して部隊の拠点とする一方、飛行や離着陸訓練などの運用は鹿屋基地を中心に行う「分散案」を米側が受け入れたということである。訓練時は、移動訓練の形をとるのだろう。すなわち、ローテーションでKC130数機と整備担当などの後方要員を鹿屋に移動させ、シュワブに移駐するヘリコプター部隊に給油を行うという形である。
 経緯をもう少し詳しく説明しておくと、次の通りである。そもそも、平成八年のSACO(沖縄特別行動委員会)最終報告では、KC130の岩国基地への移駐を明記していた。ところが、昨年十月の日米両政府の米軍再編に関する合意では、鹿屋基地への移駐を「優先して検討」と変更していた。しかし、鹿屋基地は手狭で拡張も困難ということから、米国側が道路などのインフラ面で鹿屋移駐に不満を示し、岩国移駐に戻すよう求めていたのである。そういうわけで、軍事面での合理性を考えれば、やはり岩国に落ち着かざるを得なかったと言えるだろう。
 普天間飛行場返還問題に関してはこれでほぼ片がついた。96年の橋本・クリントン合意以来実に10年である。こんな迷走は二度と繰り返してはならない。日米同盟の信頼関係にいささかでもひびが入るような事態になれば、我が国の安全保障にとって取り返しのつかないことである。
 なお、今回の合意を受けて、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が五月二日にワシントンで開催する方向で最終調整に入ったとも報じられている。ただし、残る難問として、海兵隊のグアム移転費用の分担問題がある。これについては、このブログでも改めて取り上げることになると思う


(参考過去ログ)
『普天間移設、2本の滑走路をV字型に配置する修正で合意』


(参考記事)
[普天間飛行場の空中給油機、移駐先は岩国 訓練は分散]
(朝日新聞 2006年 4月15日 (土) 21:45)
 在日米軍再編の一環として協議されている米軍普天間飛行場(沖縄県)の空中給油機の移駐先について、日米両政府は岩国基地(山口県)とするとともに、訓練は同基地のほか、海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)とグアムに分散させる方針を固め、15日、関係自治体に説明した。司令部機能や隊員の住宅などの拠点は岩国基地に置くことになる。
 13、14両日に開かれた日米の外務・防衛当局の審議官級協議で合意し、防衛施設庁が15日、岩国市、鹿屋市などに説明した。
 これによると、両政府は12機の空中給油機KC130の移駐のほか、(1)岩国基地の大型輸送ヘリコプターCH53D8機をグアムに移す(2)厚木基地(神奈川県)の空母艦載機C2A輸送機2機を岩国基地に移す――ことでも合意した。
 昨年10月の米軍再編中間報告では、空中給油機の移転先は「鹿屋基地が優先して検討される」とされていたが、その後、米側が岩国基地への変更を求めていた。岩国基地にはこのほか、米空母艦載機部隊が移ることになっており、輸送機の追加移転により、移転する艦載機は計59機になる。
 これに対し、岩国市の田中英雄・市長職務執行者は「一方的な話であり、その点は誠に遺憾。中間報告の内容の大きな変更で、後日、詳細な説明を聞きたい」とする談話を出した。山下栄・鹿屋市長は15日夕、市役所で会見し「私の(移転反対の)姿勢は変わらないが、地域に与える影響などを検証し、市議会や市民に改めて意見を聞き対応したい」と語った。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
鹿屋は前向きだったようですね (tsubamerailstar)
2006-04-16 19:01:59
産経がいつだか詳細に特集組んでいましたが、中々思惑通りにはといったところですね。(汗)

第一回の「2プラス2」ってクリストファー国務長官にペリー国防長官と懐かしいですね。日本側は江藤防衛庁長官だったかな?そして外相は紅の傭兵!(爆)

(ペリー元国防長官はアーミテージ氏の超党派アジア戦略研究会の面子の一人のようです)



グアム移転費用は最終的には首相の鶴の一声になるのかもしれませんが、産経の正論で「米国が日本に駐留しているのだから、幾らか金出すついでにグアムに自衛隊も駐留して演習でもやったらどうか?」という意見を見ました。中々面白い発想ではありますが。



PS:昨日の台湾会合で「ホントかよ?」という話を聞いたのですが、某落書き帳に後ほど書いておきます。

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嗚呼鹿屋 (PJ)
2006-04-17 12:35:08
鹿屋はこの先10年は陸の孤島決定です。

鉄道も無い。道路もクネクネ。バスも無くなるらしいです。増えるのはパチンコ屋さんばかり。気の毒に。気の毒に。気の毒に。

でも今回の市民からの批判を受けて、次回は頑張るかもしれませんね。・・・無いんだけど、次回は。

何はともあれ早く自衛隊が肩身の狭い思いをしないで充実できるようになって欲しいです。
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コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-04-17 23:22:49
>tsubamerailstarさま

>産経の正論で「米国が日本に駐留しているのだから、幾らか金出すついでにグアムに自衛隊も駐留して演習でもやったらどうか?」という意見を見ました。



これはなかなか名案ですね。柔軟な発想が求められるところです。

あーっ、台湾研究会行けなかった…。次回はいつなんですか?「落書き帳」見に行きます!



>PJさま

陸の孤島…。ノイジーマイノリティの声が通ってしまったというべきか。

>自衛隊が肩身の狭い思いをしないで充実できるようになって欲しいです

これは大変重要な観点です。
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