猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

2006年版外交青書のツボ(というほどのものでもないが…)

2006-04-16 04:29:44 | 外交・国際問題全般
 14日の閣議に、麻生太郎外相から2006年版外交青書が報告され、同日、外務省はこれを発表した。外交青書とは、いうまでもなく前年一年間の外交活動を総括した外務省の定期刊行物である。他の役所では「白書」なのだが、外務省だけは「青書」である。
 こういう文書は直接自分で目を通すのが一番よいのだが、取り急ぎ各種報道からそのごく一部を、日米関係・北東アジア関連に絞ってまとめておきたい。内容は、政府の活動報告なので目新しいものはあまりないのは当然である。

【日米関係】
・『世界の中の日米同盟』という位置づけで、国際社会の諸課題に取り組んでいる
・在日米軍再編と牛海綿状脳症(BSE)問題への対処が極めて重要であった

【中国関連】
・中国の軍事力増強について「なお不透明な部分がある」と懸念→より一層の透明性の向上を求めていく
・個別の分野での意見の相違(靖国や歴史認識や領土問題など)が日中関係全体の発展に支障になってはならない→重層的な対話の枠組みを通じて、相互理解と信頼の増進に努めていく
・東シナ海の石油ガス田開発問題については、共同開発の可能性も視野にれつつ、中国側との対話を通じた解決を引き続き目指していく考え
・中国の経済発展は日本にとって「好機」→中国の(経済的な)台頭を歓迎
【北朝鮮関連】
・日本人拉致事件は具体的な進展が得られないまま一年以上経過→「非建設的な対応に終始した」と北朝鮮を批判、今後も対話と圧力を基本に粘り強く対応していく
・北朝鮮による通貨偽造や資金洗浄(マネーロンダリング)などの不法活動について米国など関係国と緊密に情報交換
・船舶油濁損害賠償保障法の改正で日本に入港する北朝鮮籍船舶数が「大幅減少につながった
・北朝鮮の核問題は「日本を含む北東アジア地域の平和と安定に対する直接の脅威であり、核拡散防止条約(NPT)を中心とする国際的な不拡散体制に対する深刻な挑戦→6カ国協議を通じ平和的解決を追求する

(補足説明)
 中国に関しては、軍事的には脅威である一方、経済的には表面上はパートナーに近い存在であるという位置づけである。
 北朝鮮に関しては、船舶油濁損害賠償保障法の改正をもって経済制裁の一環と認識していると考えられる。



(参考記事1)
[18年版外交青書 中国軍事力「なお不透明」]
 麻生太郎外相は十四日の閣議に昨年一年間の外交活動を総括した「平成十八年版外交青書」を報告した。青書は十八年連続で国防費を10%以上伸ばしている中国の軍事力増強について「なお不透明な部分がある」として懸念を表明し、より一層の透明性の向上を求めていくとしている。
 中国が小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由に首脳会談の再開を拒否していることについて、「個別の分野での意見の相違が日中関係全体の発展に支障になってはならない」とし、重層的な対話の枠組みを通じて、相互理解と信頼の増進に努めていくとした。
 また、東シナ海の石油ガス田開発問題について、「共同開発の可能性も視野にれつつ、中国側との対話を通じた解決を引き続き目指していく考えである」とした。
 日米関係に関しては、「同盟国として『世界の中の日米同盟』との考え方の下、国際社会の諸課題に取り組んでいる」としたうえで、「在日米軍再編と牛海綿状脳症(BSE)問題への対処が極めて重要であった」と指摘した。
 北朝鮮については、日本人拉致事件が「具体的な進展が得られないまま一年以上が過ぎた」と指摘。また、「北朝鮮による通貨偽造や資金洗浄(マネーロンダリング)などの不法活動について米国など関係国と緊密に情報交換をしている」としたうえで、船舶油濁損害賠償保障法の改正で日本に入港する北朝鮮籍船舶数が「大幅減少につながった」とした。
 さらに、北朝鮮の核問題について「日本を含む北東アジア地域の平和と安定に対する直接の脅威であり、核拡散防止条約(NPT)を中心とする国際的な不拡散体制に対する深刻な挑戦」と強い懸念を示した。
(産経新聞) - 4月14日15時55分更新

(参考記事2)
[北の核「直接の脅威」、拉致問題でも批判…外交青書]
 外務省は14日、2005年の外交活動をまとめた「2006年版外交青書」を発表した。
 北朝鮮の核問題について、「日本を含めた東アジア地域の平和と安定に対する直接の脅威」と懸念を示したうえ、「6カ国協議を通じ平和的解決を追求する」と強調した。
 日本人拉致問題では、「非建設的な対応に終始した」と北朝鮮を批判した。
 小泉首相の靖国神社参拝で冷え込んだ日中関係については、「個別の分野での意見の相違が、日中関係全体の発展の支障になってはならない」と指摘し、「重層的な対話の枠組みを通じ、相互理解と信頼の増進に努める」と関係改善への意欲を表明した。
 18年連続で10%以上伸びている中国の国防費に関しては、「不透明な部分があり、一層の透明性の向上を求めていく」との方針を示した。
(読売新聞) - 4月14日11時8分更新

(参考記事3)
[対北、「対話と圧力」で粘り強く=中国の経済発展を歓迎-外交青書]
 麻生太郎外相は14日の閣議で、2005年の外交活動をまとめた「2006年版外交青書」を報告した。北朝鮮との関係について、昨年11月の日朝政府間協議の再開や、今年2月の北京での包括並行協議開催など「一定の前進」があったとしながらも、拉致問題では具体的進展はなかったと指摘。今後も「対話と圧力」を基本に「粘り強く対応していく」との方針を示している。
 小泉純一郎首相の靖国神社参拝で冷え込んだままの日中関係では、中国の国防費増額など軍事動向について「透明性の向上を求めていく」としている。一方で中国の経済発展は日本にとって「好機」と位置付けた上で、「中国の台頭を歓迎」すると青書で初めて明記。「日中関係を未来に向けて発展させていくという日本の基本方針に揺るぎはない」とし、協力関係強化の重要性を訴えている。 
(時事通信) - 4月14日9時0分更新


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