猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

農協改革は必要だ

2005-12-01 01:32:35 | 構造改革・地方分権
 「郵政民営化の次は農協解体か」これは、農水族議員や農業団体幹部の偽らざる心境であろう。それに対する答えは「農協改革は必要だ」である。
 農協というのはすごい組織である。何がすごいかといって、信用・共済・経済の3部門を一手に引き受けているのだ。すなわち、金融関係・保険関係・販売及び購入関係である。農家に半ば無理やり融資して、不要な高価な農作業機械を購入させている例など、以前からしばしば指摘されているところである。考えてもみていただきたい。例えとしてどのぐらい適切か分からないが、自動車販売業者が銀行と保険会社を兼ねていたら弊害が大きそうなことぐらい素人目にも明らかであろう。また「資材購入などの赤字を共済、信用事業で穴埋めするのは経理の流用だ」という規制改革会議の指摘も至極もっともなことである。こういう非効率さが、我が国の農業の衰退を進め、食糧安全保障にとっても悪影響を与えている上に、WTOの農業交渉での我が国の立場を弱いものにしている。
 農協はいずれ3部門に分割されるべきである。また、販売業務からは撤退させて市場の機能がもっとよく働くようにしなければならない。農業に市場の原理をもっと持ち込もうと言うと、すぐに食糧安全保障とか水田の持つ環境保全機能を持ち出してきて反対されるが、何も全てを市場に任せて荒らされ放題にするわけではない。このまま放置して農協と農業が心中することのほうが大問題である。
 残念ながら、規制改革会議が12月にまとめる報告書では、農協改革は盛り込まれない方向である。農業団体や自民党の農水族議員らの反発が強いためである。いずれ、遠くない将来に、国鉄改革の中曽根、郵政民営化の小泉のような強いリーダーシップを持った指導者により改革されなければなるまい。いつの間にか牛肉とオレンジの輸入自由化を実現してしまった竹下登タイプでもいいが…。


(関連エントリー)
『WTO閣僚会議で日本は厳しい立場―農業改革は不可避』(2005/10/10)


(参考記事)
[農協改革、自民など反発で見送る方向
 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は28日、12月にまとめる報告書で、農協の組織分割などを柱とした「農協改革」に踏み込むことを見送る方向で最終調整に入った。
 農業団体や自民党の農水族議員らの反発が強く、改革案の策定が困難となったためだ。報告書は、市場化テストを活用した官業開放や医療機関の情報公開など限定的な内容になる見通しだ。
 推進会議の「主要課題改革推進委員会」は28日、農水省と協議した。委員側は「資材購入などの赤字を共済、信用事業で穴埋めするのは経理の流用だ」と主張、組織分割の必要性を訴えたが、農水省側は「農協は3事業を一括して行っている『法人』だ。穴埋めには当たらない」と反論した。
 宮内議長は委員会後の記者会見で、「(農協改革は)各分野の中で最も意見の隔たりが大きい」と述べ、報告書への盛り込みを断念する考えを示唆した。
 推進会議が7月にまとめた中間報告原案は、農協改革について、資材購入や農産物販売などの事業が「高コスト体質にある」と指摘。農協を信用(金融関係)、共済(保険関係)、経済(販売・購入関係)の3事業に組織分割することや、現在は赤字の販売部門からの撤退などを検討するよう求めていた。
 これに対し、自民党などから「政府は郵政民営化の次に、農協解体を改革の標的にしている」(参院議員)などと反発が強まった。このため、推進会議は9月にまとめた提言では、農協改革には言及しなかった。
(読売新聞) - 11月29日3時22分更新


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