猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

特別会計合理化に向けて骨子決定

2005-11-13 06:04:45 | 構造改革・地方分権
 ご承知の通り、小泉自民党は、郵政解散時に「郵政改革は構造改革の本丸」というスローガンを掲げていた。正直に白状すると、論理が粗雑に過ぎるとして私はそれについては懐疑的に見ていた。しかし、実際に構造改革が猛烈な勢いで進展しつつあるのだから、批判するほうが間違っていたとしかいいようがない。今までの政治では予測も出来なかった構造改革の一つに、徹底的な特別会計合理化がある。自民党の「特別会計見直しに関するプロジェクトチーム」は、特別会計制度の改革の方向を示す「整理合理化計画」の骨子を年内に決定することなどを盛り込んだ基本方針を決めた。どれだけ徹底できるかはまだなんとも言えないが、政府系金融機関の統合をめぐる議論を見ていると、やはり期待が持てそうに感じられる。今後とも要注目である。
 特別会計とは、教科書的に言えば、国または地方公共団体の会計において一般会計とは別に設けられる独立した財団的な組織体のことである。事業ごとに独立した予算が形状されるというわけである。これは、本来は単一予算主義の原則に固執すると、かえって個々の事業の損益や資金の運営実績などが不明となり、好ましくない場合があるので、それを避けるため、特定の事業について一般会計から切り離すというのが趣旨である。
 しかし、容易に予測される通り、特別会計はチェックが甘くなりがちであり、役割を終えた特別会計の整理統合は進んでこなかった。さらにはその歳入が一般会計から繰り入れられることがあるなど、本来の趣旨から逸脱した運用がなされていることもある。そういうわけで、特別会計にメスをいれるのは大変に重要な構造改革なのである。自民党プロジェクトチームの基本方針は、現在31ある特別会計について、個別に点検し(1)存在意義がない場合には廃止(2)事業を国で行う必要がない場合は、独立行政法人化か民営化を図った上で廃止(3)特別会計として区分経理をする必要がない場合には一般会計に統合
 参考までに、国における31の特別会計をあげておく。その歳出平成17年度においては約412兆円(重複を除くと約205兆円)である。これに対して一般会計は約82兆である。特別会計がいかに肥大化しているか明白である。

<事業特別会計>=特定の事業を行うもの 25種類
・国有林野事業特別会計
・地震再保険特別会計
・厚生保険特別会計
・船員保険特別会計
・国民年金特別会計
・労働保険特別会計
・農業共済再保険特別会計
・森林保険特別会計
・漁船再保険及漁業共済保険特別会計
・貿易再保険特別会計
・国営土地改良事業特別会計
・道路整備特別会計
・治水特別会計
・港湾整備特別会計
・空港整備特別会計
・登記特別会計
・特定国有財産整備特別会計
・国立高度専門医療センター特別会計
・食糧管理特別会計
・農業経営基盤強化措置特別会計
・特許特別会計
・自動車損害賠償保障事業特別会計
・自動車検査登録特別会計
・産業投資特別会計
・都市開発資金融通特別会計

<資金特別会計>=特定の資金を保有してその運用を行うもの 2種類
・財政融資資金特別会計
・外国為替資金特別会計

<区分経理特別会計(又は単純特別会計)>=特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区別して経理する必要がある場合 4種類
・交付税及び譲与税配付金特別会計
・国債整理基金特別会計
・電源開発促進対策特別会計
・石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計


(参考記事)
[年内に合理化の骨子決定 特別会計改革で自民方針]
 自民党の「特別会計見直しに関するプロジェクトチーム」は11日、特別会計制度の改革の方向を示す「整理合理化計画」の骨子を年内に決定することなどを盛り込んだ基本方針を決めた。
 骨子を基に合理化計画を策定し、計画に沿って改革が推進されているかを定期的に点検する方針も併せて明示した。
 基本方針は現在31ある特会について、個別に点検し(1)存在意義がない場合には廃止(2)事業を国で行う必要がない場合は、独立行政法人化か民営化を図った上で廃止(3)特会として区分経理をする必要がない場合には一般会計に統合-との指針を明記した。
 特定財源についても「経済社会情勢の変化に応じた柔軟な資源配分の余地が限定され、財政が硬直化する恐れがある」として、財政資金の有効活用の視点から見直すと指摘した。首相が見直しを指示した道路特定財源を念頭に置いているとみられる。
 特定事業を実施する目的で一般会計と区別して設けている特会は、道路、空港など社会資本整備や、社会保険、食糧管理といった分野に分かれている。2005年度予算の歳出規模は一般会計約82兆円に対し、31の特会の重複を除く合計額は約205兆円に達する。
(共同通信) - 11月11日11時37分更新


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
特別会計って何? (世の中考房)
2005-11-18 23:00:31
先の日曜日(11/13日)6CH?で、みのもんた氏が特別会計の問題を指摘していました。「総額200何兆円云々」と。また同日、NHK日曜討論で(何方だったかしら?)「総額400兆円云々」と。そして、あなた様のこの記事、「重複を除く合計額は約205兆円云々」。

本件について全く無知な私、益々分からなくなってきました。そこでGoogle検索して見ました。URLは下記。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo151.htm

以下がその抜粋。



”「しかし、実際には、31特会の予算規模はあわせて387兆円、特会同士の重複部分などを除いても207兆円にのぼり、例外のはずの特会が、一般会計の5倍近い規模に膨らんでいる。さらに、特会の収入のうちの47兆円は、一般会計からの繰り入れでまかなわれ、一般会計歳出の6割近くを使っている。」

・・・・・・・・・中略・・・・・・・・

◆「特会とばし」「隠れ借金」…あぶり出す

 ■国民の監視

 企業の決算では、グループ全体の業績を示す連結決算が主流となっている。連結決算ならば、グループ内の一部の企業に損失を隠すなどして、業績をごまかすことができないからだ。

 国もこの手法を導入し・・・・中略・・・・ずさんな実態が明らかになれば、予算編成作業にも反映できる。”



おやおや、毎年、予算予算といって語呂合わせまでしてマスコミが口にしていた70兆だの80兆だのという数値は一体なんだったのでしょうね???????? 特別会計の存在とその性格を知っている国民はどのくらいいるのか、マスコミに調べてもらいたいですね。そして大いに問題点を国民に明らかにして欲しい。

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世の中考房さまへ (猫研究員(高峰康修))
2005-11-18 23:40:55
コメントありがとうございます。

語弊を恐れずに言えば、一般会計が表向きの財布、特別会計が「へそくり」とでも申せましょうか…。これだけ莫大な金額になっては「特別」でもなんでもないんですよね。もちろん全額無駄遣いしてるというわけではないのですが、かなり不明朗な使われ方をしていることは想像に難くないです。実は財政赤字よりも重大な問題かもしれません。今後とも是非この問題に関心をもって、納税者の一員として監視してください。
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特別会計 (世の中考房)
2005-11-19 08:24:10
ありがとうございます。

本件、正に財政赤字より大きな問題ですね。この問題に比べたら郵政民営化など問題のモの字にもはいらない。民間企業で改善といったら少なくても目標20%以上、達成10%以上です。200兆の実質10%は20兆。20%は40兆ですね。今後、何らかの増税は不可避と思っていた一人ですが、こんなことでは、増税の前にまず国家予算の構造改革ですね。今後、特別会計に注目してゆきたいと思います。ありがとうございました。
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貴職ブログへのリンク (世の中考房)
2005-12-12 11:41:38
本日の私のブログでこの欄へリンク晴らせて頂きました。31個の特会の項目がクリアに出ていて、とても分かりやすかったので。
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