明けましておめでとうございます!!馬頭です。本年も何卒よろしくお願いいたします。1月に入ってドンドン寒さが増してきていますね。去年を表す漢字一文字が「暑」でしたが、さすがに冬は寒いんですね・・・。
今回は、去年から弊社が携わらせていただいている保存修復業務の紹介をさせていただきます。現在、大分市のワサダタウン近くの七瀬川公園の隣にあります「高瀬石仏(国指定史跡)」で覆屋設置などの大規模な保存修復が行われています。
弊社も、この保存修復事業に携わさせていただいており、連日作業に取り組んでいます。
「高瀬石仏」は胎蔵界大日如来像を中心に如意輪観音像、馬頭観音像、大威徳明王像、深沙大将像の石仏像が龕内に彫られている史跡です。制作年代は平安時代後期の12世紀後半と推定されており、きれいな彩色が施されていることからも大分県内を代表する磨崖仏の一つとしてあげられています。
※国指定史跡 高瀬石仏
今回の保存修復では、龕を雨、風などから防ぐことを目的とした覆屋の設置をはじめとし、龕内外の石の強化、石仏のクリーニングなどが行われます。
※保存修復中の現在の高瀬石仏外観の様子
今回は、高瀬石仏の保存修復レポートの第1弾として「打音調査」についてご紹介します。
龕内外は雨などの水による影響や植物などの影響など様々な要因により、石の劣化が進んでいました。この劣化を防ぐために樹脂などによる強化処理を行うのですが、その前に劣化箇所の確認を行っていなければ的確な処理を進めることはできません。
そのために今回行ったのが、「打音調査」です。劣化があきらかな箇所は目視でも確認することができますが、見た目では分からない箇所でも岩面から浮いている箇所や泥が固まっているだけで壁面に同化してしまっている箇所もあります。
そういった箇所を見分けるために岩面を叩いて音の違いを聞き分ける調査方法です。
健全な岩面では「カチカチ」(表現が下手ですみません・・・)といった詰まったもの叩いたような音がして、堅いものを叩いたような感触が伝わってきます。
一方、岩面から浮いてしまっている箇所などでは、「ゴポゴポ」や「コンコン」といった中に空洞があるようなものや軽いものを叩いたような音と感触が伝わってきます。
こういったものを聞き分けて劣化箇所のマッピングを行い、それを基に強化処理を行っていくことになります。
※打音調査の様子
今回は、「打音調査」についてご紹介しましたが、引き続き作業のレポートを掲載していきたいと思います。また、現地でも作業員が修復内容などご説明させていただきますので、ぜひご見学にいらしてください。