こんにちは馬頭です。夏の暑さも和らいできたかと思えば、台風がやってきてジメジメした日々が続いており、気持ちが中々晴れた気になりません。
さてさて、今回はそんな晴れない気持ちも「ホカっ」とするようなお話をしましょう。久留米駅と大分駅を結ぶ久大線と城野駅(福岡県小倉南区)とを結ぶ日田彦山線の分岐点となっている日田市の「夜明駅」に10月下旬に「夜明の鐘」が設置されることになりました。
「夜明駅」はその駅名から1970年代に切符を求める人で賑わい、当時の新聞によると1975年には2万6123枚の切符が売れたたそうです。また、1981年にはあの映画「男はつらいよ」の第28作の舞台にもなりました。
そんな一大ブームにもなった「夜明駅」ですが、いまでは無人駅となり老朽化が進んだことにより昨年の4月に新築されました。そのことからも、またこの駅を訪れる観光客の方などが増えてきたそうです。そこで訪れる観光客の方々に楽しんで頂けるようにと夜明振興協議会は今年の春に廃校となった「旧夜明小学校」でチャイムとして使われていた梵鐘を夜明駅のシンボル「夜明の鐘」として駅前に設置することにしました。
この梵鐘は高さ42cm・最大径25cm・重さ10kgで大正11年に有志が鋳造し、大正後期~昭和30年代に夜明小で木槌でたたくチャイムとして使われていたそうです。
私たち文化財にたずさわる者は「古くなったものを後世に残す」ことを使命とし仕事に取り組んでいますが、ただモノを残すために保存処理や環境整備をしただけでは、この先100年、千年と残っていくモノとはならないと思います。そのモノを後世に残すためには、そのモノを大切に思う人の気持ち、それを伝えていくことが古いものを後世に残していく秘訣だと思います。そのために必要なのが、「夜明の鐘」のような「活用」だと考えます。
夜明振興協議会は「夜明の鐘」の設置のほかに合唱曲「夜明けの詩が聞こえる」の製作や地元の醸造元に「夜明の鐘」名の焼酎や日本酒の製造依頼などをおこなっています。
お役御免となった梵鐘が地域の活性化として「活用」されることで、この「夜明の鐘」が多くの人に親しまれ、そして次の世に伝えていって頂ければと思います。
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