ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

ピキット・ダレンガウェン村 帰還民のこどもたちによる平和の再構築。

2008年11月11日 | 紛争地の子どもたち
ゆきも@まにら

先月から北コタバト州ピキットで行っている「紛争下の子どもたちによる平和スペースの再構築」は、紛争が子どもに与える心理的・物理的な負の影響を緩和させることを大きな目的としていますが、だからといって、「子ども=ただ無力な犠牲者」というわけでは決してありません。

先月11日から13日にダレンガウェン村で行われた活動で、13歳から17歳のグループは、「自分」の経験を、「自分たち」の経験に置き換えて理解を深め、紛争の解決策に向かって取り組める仲間を作りました。仲間は、宗教や部族ごとにより断絶されるものではなく、イスラム教やキリスト教、先住民族の土着の信仰をもつ子どもたちなど様々です。



参加者はまず、自分の経験を絵や身体や言葉で表現しながらグループでシェアリング(出来事や感情を共有すること)することで、「自分一人の経験だけではない」ことを実感します。子どもたちは、独自の経験を涙や笑いを交えて話し終えると、「なぜ今もなお紛争が終わらないのか。」「なにがそうさせているのか。」を疑問に思い、みんなで意見を出し合って、「子どもの自分たちにもできること」を考えます。

ダウェンガウェン村は、ピキットの南部の7集落の集合体のうちの1つです。この7集落は、2003年に平和宣言の式典を行い、軍部や地域の政治家、MILF、学校の先生や生徒、教育省などの関係者すべてが「この7集落内では、今後一切暴力行為が行われないように前者が一致団結して平和を守ろう!」と誓った地域です。

子どもたちのシェアリングの一部をご紹介します。



(なぜ、平和宣言後も武力衝突が続いているのか。)
子どもA:色々なことについて、誤解があるからだと思う。
子どもB:土地争いが原因だ。
子どもC:政府や、MILFの間で、そして、文化や言葉の相違によって、きっと誤解が生じてこじれているんだわ。
子どもD:それぞれの人間の基本的人権がなおざりにされているからだと思う。
子どもE:ムスリムの中には、自分たちがもともとミンダナオ島の所有者だって思ってる人もいるからね。

また子どもたちは、何度も行き詰まりながらも続いている政府とMILF間の和平交渉について、「和平交渉は、戦争を継続することとはイコールであってはならない」「平和のために兄弟のような関係を築くことだ」という意見を持ち、冷静に事の進捗と内容を観察していることが分かりました。

今回のピキットでの衝突では、避難所では、キリスト教、イスラム教徒が隔てられたスペースで生活を送っており、集落に帰還してもこれまで通り、tri-people(3つの人々という意味で、イスラム教徒・キリスト教徒・先住民族が共生する状態をさす)であった昔に戻ることは難しいのではないか、が関係者の間で大きな心配事でした。

しかし、子どもたちから出る、「unity(融合・団結)」という言葉を聞いてほっとしました。わたしたちが、子どもたちの言葉から学ぶべきことはたくさんあります。今後、子どもたちが、一緒に「できること」を持ち寄る仲間を増やして、暴力や非正義に口を閉ざさない大人になってほしいと強く望みながら、ICANとバライは活動を続けます。

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3 コメント

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こどもたちの心は (Hiro)
2008-11-12 17:01:06
困難な生活の中にあっても互いを大切にし、協力しているこどもたちの姿に励まされます。同時に、それを見守ってくれている多くの関係者のみなさんの愛情にも敬意を抱きます。人は支えあって生きている限り、決して無力ではないことがよくわかります。
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pinsanのフィリピン・ナビゲータ (pinsan)
2008-11-17 15:54:59
今、フィリピン国有鉄道を書いています。
いい加減な記事は書けないので
素人には分かりにくい部分があり教えていただけないでしょうか。
フィリピン在住です。 
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Unknown (yukiyo)
2009-01-02 13:47:16
pinsanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。ただわたしたちも国有鉄道についてはまったく素人なので、ご期待には添えないと思います。。。すみません。ゆきよ@まにら。
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