ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

大きな平和、小さな平和

2012年10月16日 | 紛争地の子どもたち
こうじ@コタバト

ミンダナオの平和をめぐる動きで、大きな一歩が踏み出されました。
10年以上にわたり、和平交渉を続けてきたモロイスラム解放戦線(MILF)とフィリピン政府が、和平文書の基本枠組みに合意しました。10月15日にも署名される合意書により、最終的な和平協定締結に向けて交渉は大きく進展することになります。


和平の枠組み合意を伝えるマニラの日刊新聞

しかし、最終的な和平協定に行きつくかどうかはまだ予断を許しません。和平後に作られる自治政府の枠組みやその権限については、まだ大きな隔たりがあるからです。

2012年7月に、MILFはコタバト市近くのダラパナン基地で3年ぶりの総会を開きました。MILFの発表では50万人が集まったと言われています。フィリピン政府交渉団、国際停戦監視団、停戦交渉にオブザーバー参加している日本を含む外国の代表も出席しました。この席でMILFのムラッド議長は、和平に向けた動きを歓迎しながらも、「もしここで合意ができなければ、いつでも戦いに戻る」という指摘をすることも忘れませんでした。

9月の初め、ICANの建設した校舎の引き渡しと、これまでの平和研修の成果が形になったことを宣言する「平和の学校宣言式典」に、MILFの代表も招待することになりました。地域の司令官に「平和宣言」に加わってもらえるように、副議長のジャファール氏に了解を求めました。


ジャファール氏(左)と面会するICANスタッフ

ジャファール氏は、次のように言いました。「私たちは平和を望んでいる。ICANが平和を創ろうと努力している姿勢にも敬意を表する。だから式典には代表を送って活動へのサポートを表明したい。しかし、私たちの地域司令官が『平和宣言』に署名することはできない。なぜならMILFとフィリピン政府の間の和平合意なしに、どんな地域の平和宣言も効果はないからだ。私たちの和平合意を期待をもって待っていてほしい。」

ジャファール氏は、国レベルでの大きな平和が達成されない限り、地域レベルの小さな平和は達成されない、と言います。しかしこれまでのミンダナオの紛争が示すように、地域レベルの小さな紛争があることが、大きな武力衝突の火種となっている現実もあります。


武器をもって地域の中を移動するMILFの兵士


国道を守る政府軍の装甲車

大きな平和が小さな平和を保障するものであるのと同時に、小さな平和は大きな平和を保障するものでもあります。ICANが子どもたちや先生、地域の人々とともに作り上げようとしているものは、大きな紛争の火種となる小さな紛争を防ぐための「平和の文化」の確立です。子どもたちの教育の機会を奪い、子どもたちの日々の生活に不安を与えるような地域レベルの紛争を予防し、子どもたちが落ち着いて将来を考え、未来に向けて希望を描けるような地域社会の在り方を模索しています。


研修の中で、自分たちが望む平和な地域社会の様子を描いた絵について説明する子どもたち。誰もが、紛争がなく、平和の中で安心して勉強できる日が来ることを願っています。

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