ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

マニラ台風災害について(4) -マラボンでの診療活動ー

2012年08月27日 | 災害の影響を受けた子どもたち
ゆきよ@まにら。

今回の大雨はルソン島の多くの地区を水浸しにしました。



マニラ首都圏マラボン地区は今回の大雨で、2階にいても腰から胸あたりまで水が来る被害を受けました。数日近くの学校や教会に避難して、食料も十分にとれない中眠れぬ日々をすごし、今も家の中の泥を掻き出している状況です。現在子どもたちの間に咳がとまらない風邪が蔓延し、汚染された水の中に長時間いたことによる皮膚病も多く発生しています。

災害から約1週間後の様子。








この日は、マラボンの川沿いの地域で保育所などを運営しているパートナーNGO(AKCDF)と協働し、診療活動を行いました。











AKCDFの保育所の中で、診療を行いました。保育所の外も順番を待つ人々であふれていました。




順番を呼ばれた人々が中で炊き出しの食事をいただきながら待ちます。




ここは日頃保育所として使われている場所です。この女性は保育所の教師で、彼女も洪水のときは水が迫ってきて家にいられなくなり、この保育所に避難して数日すごしました。この日は、被災者の彼女たちも一緒に診療を手伝いました。


患者さんはほとんど子どもばかり。赤ちゃんもいました。




この女の子も咳がひどく診察を受けました。自宅は腰まで水に浸かりました。






7歳の子を連れてきていた母親は、洪水の日は2階で胸まで水が来たのであきらめて逃げて避難し、1時間くらい離れたところに住んでいる彼女の実家に2週間暮らしていたと話してくれました。子どもたちは、強く雨が降ると非常に不安がるようになったそうです。生活用品がすっかり水に流されたり、濡れてしまって大変だが、娘の学用品だけは、天井近くにひっかけて逃げたのが、濡れずにすんだのをとても喜んでいました。このような災害のせいで、避難生活をすることによって、子どもたちが健康を害したり、学校に行けなくなり勉強に支障がでてしまうことを非常に気に病んでいました。

今回の救援活動ではアイキャンやAKCDFのスタッフのみならず、アイキャンで保健や医療の研修を受けてきたパヤタスごみ処分場の住民、若者たち、路上の若者たちもこの非常事態に駆けつけ、被災者自身たちも活躍をしました。患者さんのそばでサポートしている女性は、AKCDFの地域のお母さんです。


診察を終えた患者さんに薬を渡して説明しているのは、パヤタス出身のお母さん。パヤタスでは診療活動をヘルスボランティアのお母さんたちで運営しているので、診療には慣れています。その横で、パヤタスの若者が補助しています。












この子もパヤタス出身の若者。保健研修に参加して身に着けた血圧測定の技術を生かして働きました。


同じくパヤタス出身の女の子。研修で身に着けた技術を生かしてパヤタスの診療も手伝ってきましたが、今回パヤタスの外ではじめて診療の手伝いをしました。患者さんに問診しています。




黄色のシャツのアイキャンスタッフ看護師が、テキパキと若者たちを指導しながら、スムーズに診療をまわしていきます。






もうひとりの看護師のアイキャンスタッフ。






路上の若者とパヤタスのお母さんが一緒に患者さんの体重や体温を測定しました。






この子も路上の子です。AKCDFが準備してくださった炊き出しの配布を手伝いました。


診療を終えて薬をもらった被災者の方々。










被災した親子と一緒にAKCDFのポールさん。ポールさんの後ろの壁には、赤字で「すべての子どもは平等に『権利』を持っている」と書かれています。




パヤタスのお母さんたや若者たち、路上の若者たち、そして川沿いのコミュニティに住むこの台風の被災者たちのことを、「受益者」と呼ぶ人たちがいます。しかし、事業地にいるのは、「益を受けようとする人たち」ではなく、「自らの生活を良くしていこうと一生懸命努力している人たち」、そして自分の置かれた状況の困難さを横に置き、「少しでも困っているいる人たちに手を差し伸べようとする人たち」であることに、気が付かされます。アイキャンやAKCDFのようなNGOを通じて、少しでも困難な状況が改善され、その人たちが次にさらに困難な状況に置かれた人たちとともに行動していく。私たちの日々の活動は、目の前の人たちの苦痛を取り除き、夢をともにみるだけではなく、さらにその先の人たちにつながるためにある活動だと実感した日でした。

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