ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

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ガソリンは160円台突入? 電気・ガスも値上げ ニュース2本

2008-04-29 19:18:47 | Weblog
ガソリン、初の160円台突入も…各社が値上げ発表 2008年4月29日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080428-OYT1T00624.htm
毎日 http://mainichi.jp/select/today/news/20080429k0000m020119000c.html
産経 http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080428/env0804282045006-n1.htm
 石油元売り各社は28日、5月のガソリンなど石油製品の卸価格を、1リットルあたり30円前後値上げすると発表した。
 ガソリン税の暫定税率復活による税率上乗せ分(1リットルあたり25・1円)に加え、原油価格の高騰で3・7~7円の値上げが加わるためだ。
 レギュラーガソリンの店頭価格は、大型連休明けにも全国平均で初めて160円台に突入する可能性が出てきた。
 卸価格の値上げ幅は、暫定税率の上乗せ分を除けば、5月1日分から出光興産が7円、昭和シェル石油は5・2円、新日本石油は3・7円。ジャパンエナジーはすでに5円超を値上げする方針を表明している。
 レギュラーガソリンの全国平均店頭価格は、21日時点で1リットルあたり130・6円だが、各社の上げ幅は税率上乗せ分を合わせると28・8~32・1円になるため、昨年12月に記録した最高値(155・5円)を上回るのは確実だ。
 新日石の中村雅仁常務は28日の記者会見で、「店頭価格は160円を超える可能性が高い」との見通しを示した。

最大で電気159円・ガス166円も…7月から値上げ 2008年4月29日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080428-OYT1T00607.htm
朝日 http://www.asahi.com/life/update/0428/TKY200804280291.html
 電力10社と都市ガス大手4社は28日、それぞれ7~9月の料金を値上げすると発表した。
 標準的な家庭の場合、1か月あたりの値上げ幅は電気が60~159円、ガスは128~166円となる。
 燃料価格と為替レートの変動を3か月ごとに反映させる制度に基づく措置で、基準となる1~3月の原油や液化天然ガス(LNG)、石炭の価格が大幅に上昇したことが要因だ。
 4~6月の値上げを見送った北陸電力を除く13社は、2007年10~12月以降、4期連続の値上げ。中部、北陸、関西の電力3社と東邦ガスの上げ幅は、1996年にこの制度が始まって以来、最大となる。
 東京電力の上げ幅も、前期(4~6月)に次いで2番目の大きさだ。
 ガス4社の料金は現行の制度では最高になるなど、光熱費の上昇で家計への影響が懸念される。



 ガソリンですが、早ければ5月1日の0時を回った瞬間、多少遅れてもGW明けまでには、ガソリンスタンドが販売するガソリンの値段が1リットル当たり30円程度の値上げとなりそうです。
 それにしても店頭価格が160円ですか…(唖然
 今日のガソリンスタンドはかなりの混雑状態になったようですが、灯油缶にガソリンを入れようとして、引火しため缶をGSに投げ捨てて逃げる(すぐに店員が消し止めたとか…)という悪質な事件も発生しているようですし、くれぐれも無人スタンドで買い溜めなんて危ない真似だけはしないで欲しいと思います。

 一方、電力やガスも夏場の料金が、標準家庭で、1ヶ月あたり電気は60円~159円、ガスも128円~166円の値上がりになりそう…。
 どちらも節約するにも限度というものがありますし、地味に痛い値上げとなりそうです。

米コンチネンタル航空、ユナイテッドと合併せず

2008-04-29 19:12:19 | Weblog
米コンチネンタル航空、ユナイテッドと合併せず 2008年4月28日
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080428AT2M2800628042008.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080428-OYT1T00393.htm
朝日夕刊 http://www.asahi.com/business/update/0428/TKY200804280094.html
 米航空4位のコンチネンタル航空は27日、「ライバルとは合併しない」と発表した。同社に対しては米業界2位のユナイテッド航空が経営統合を持ちかけており、ユナイテッドの提案を拒否した格好だ。コンチネンタルは共同運航など経費削減に役立つ事業提携先は探すとしており、専門家の間では最大手のアメリカン航空が新たな提携相手に取りざたされている。
 コンチネンタルのラリー・ケルナー最高経営責任者は「現時点では合併で得られる効果より、危険にさらされるものの方が多い」と説明した。合併交渉を進めてきた相手の特定は避けた。同社は労使関係が良好なうえ、燃費の良い新型旅客機への切り替えで先行している。統合によりこうした利点が損なわれることを懸念したとみられる。
 一方、原油高騰で経営環境は厳しく、経費削減効果を引き出せるような事業提携は検討するという。


 米航空業界の再編ですが、ユナイテッドと一緒になると思われていたコンチネンタルですが、結局合併を断念したようですね。
 一方、コンチネンタルはアメリカンとの提携も考えているようで、そうなると梯子をはずされた形となるユナイテッドとUSエアウェイズが合併を模索することになるのでしょうか。いずれにせよ、一気に経営統合までいくかどうかは別にしても、単なる業務提携の段階を2段階も3段階も進めた、単なる共同購入だけでなく、飛行機の整備なども含めたかなり広範囲の業務提携が必要になるのではないかと思います。

学校図書館の図書購入費、2割強44億円が別の用途に

2008-04-29 19:08:49 | Weblog
学校図書館の図書購入費、2割強44億円が別の用途に 2008年04月22日
朝日 http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200804210275.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080421-OYT1T00603.htm
 公立小中学校の図書館の図書購入費として国が07年度、各自治体に財政措置した約200億円のうち、2割強の約44億円が他の目的に使われたとみられることが21日、文部科学省の初の調査でわかった。一般財源として一くくりで受け取るため目的外に使っても罰則はないが、文科省は「本は、調べ学習や、こころの教育にもつながる。本来の目的に使って欲しい」と、近くホームページで各自治体の予算措置率を公表し、取り組みを促す。
 約200億円のうち、各自治体が図書購入費として予算計上した額は約156億円で78%にとどまった。実際の計上額を国から受け取った額で割った「予算措置率」を都道府県ごとにみると、別の財源を加えて買っている場合もあり、(1)山梨139%(2)東京135%(3)愛知114%がベスト3。ワースト3は(1)青森38%(2)北海道43%(3)島根47%だった。
 国は07年度に「新学校図書館図書整備5カ年計画」を始め、予算を06年度の約131億円から約200億円に増やした。06年度の各自治体の図書購入費は約158億円と07年度の156億円とほぼ同じで、増額分が図書購入以外に使われたことになる。
 100%に達しない理由を尋ねたところ、小学校を設置している市区町村では、5.8%が「すでに目標を達成した」、2.9%が「校舎建築など施設整備に使った」などと回答した。「財政状況全般が厳しく、図書費の増額につながらない」といった答えもあった。
 予算措置率が0%だったのは、北海道中富良野町、青森県平内町、長野県北相木村の3自治体。このうち、平内町教委は朝日新聞の取材に、「一般消耗品や教材備品の項目で購入している」と説明している。


 国から公立の小中学校の学校図書館の図書費として予算計上されているうち、2割強の金額は実は他の用途に流用されていることが判明しました。
 それにしても、100%に達しない理由のうち、「すでに目標を達成した」とした5.8%などは、『だったら自主返納しろよ!』と文句の一つも言いたくなるのですが、まだ書籍の補修や司書のための人件費にでも充てていたというのならばまだしも、「財政難で他の使途に充てた」「校舎建築など施設整備に使った」などというのは、たとえ法令上は違反にならなくても、何のための図書費なのか、少し考えるものがありますね。
 先の「すでに目標を達成した」という自治体の場合、ひょっとすると、当の子供達が読みたいと思っている本があるのに『予算がない』を言い訳に、いつまでも新しい本を購入させていない可能性すらありますし、お金だけ支給して終わり ではなく、購入目録を提出させるなど、正しい用途に使われているかをチェックする仕組みが必要に思います。

「幻の駅」膨らむ代償 新幹線新駅の中止から半年 滋賀

2008-04-29 18:58:51 | Weblog
「幻の駅」膨らむ代償 新幹線新駅の中止から半年 滋賀 2008年04月28日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/0427/OSK200804270009.html
 「もったいない」を掲げた嘉田由紀子・滋賀県知事が06年7月の知事選で当選し、昨秋に中止が決まった同県栗東市の新幹線新駅。これに伴い、「新都心」を当て込んだ駅前の土地区画整理事業も中断となり、土地を取得した市には財政負担がのしかかっている。県側もその後、明確な打開策を打ち出せておらず、展望のない状況に、200人を超す地権者はいらだちを募らせている。
■債務残高114億円
 「不良物件と言わざるを得ない。融資は無理です」
 3月下旬、京都市内の銀行を訪れた栗東市の幹部に対し、銀行役員は言い放った。市に代わって新駅周辺の土地を先行取得した市土地開発公社が短期で借りた土地代金の一部(35億円)の借り換え期限が月末に迫っていた。「これほど厳しいとは」。半月で十数行を回った市幹部の表情がゆがむ。返済には、銀行から別に一時借り入れして補正予算を組み対応した。
 同市は新駅建設を前提に、03年から「栗東新都心」と名づけた土地区画整理事業に乗り出した。約50ヘクタールに企業や住宅などを呼び込む構想だった。同公社は03年度までの10年間で、うち5ヘクタールを約75億円で先行取得。しかし、新駅中止で期待された固定資産税などの市税は見込めず、地権者の移転補償費や年2億円の金利などを含めると、3月末の同事業の債務残高は114億円に膨らんだ。
 栗東市の人口は約6万4千人。企業からの税収に恵まれ地方交付税の不交付団体だが、06年度決算での市債残高は663億円で、財政規模の約3倍。一方で、財政調整基金の残高はわずか3億5千万円。そこに公社が先行取得した土地の買い戻しや、金利負担、地権者への耕作補償費などがのしかかる。市は今年2月、新駅中止の影響額は08年度当初予算ベースで約8億5千万円と発表した。公社などとの連結決算を求める自治体財政健全化法が導入され、市は不安を募らせる。

■「塩漬け」怒る地権者
 地権者がいる地元4自治会の一つ、下鈎甲(しもまがりこう)自治会の代表ら4人は23日、知事室を訪れ嘉田知事に詰め寄った。「土地を塩漬けにしたまま、いつまで放っておくのか」。区画整理事業の取り消しなどを求める申入書を手渡す代表に、嘉田知事は「出来るだけ速やかに対応します」「補償などは栗東市の対策を支援する」と答えるにとどまった。
 予定地は知事選以降、凍結され、駅前広場に接続するはずだった都市計画道路が30メートルほどで途切れている。計画地の約半分が、市街化調整区域から市街化区域に編入され、固定資産税も毎年じわじわと上がっている。
 県側は「一日も早い事態収拾を図る」とする一方で、「事業主体はあくまで栗東市」との立場を崩していない。地権者は238人に上り、予定地の今後については推進や、農地に戻すことを求める声など地権者の間でも意見が分かれる。調整は難航が予想される。事業の後処理には多額の費用が不可欠で、こうした支出に県民の理解が得られるかどうかは不透明だ。
 地権者側は中止が決まる前から「新駅に代わる有効な土地利用策と経済振興策を示してほしい」と嘉田知事に求めてきた。その方策を練る協議会を県と市が立ち上げたのは新駅中止決定から5カ月たった3月下旬。具体的な打開策は今も見えない。栗東市の国松正一市長は「知事が建設中止の政治決断をした以上、前面に出て最後まで面倒をみるのが当然の義務」としている。




 私から見れば、そもそも米原と京都の間が68キロしかないのに、新幹線の新駅を作るという発想そのものが無謀だと思いますし、仮に新駅を作ったところで、のぞみ(ひかりも?)が止まらない駅にどの程度の需要があるのか、県内で一番乗降客の多い大津駅からも遠く離れた場所に新駅を作ることに一体何の意味があるのか などなど激しく疑問だったのですが、人口が増加しているこの地域の交通アクセスは京都方面への普通列車を充実させればよいとして、問題は、新駅ができることをあてにして、既に借り入れを行って街づくりをし始めている自治体や利害の絡む地権者あたりでしょうか…。
 もっとも、だからといって、嘉田知事にあたるのは、筋違いもいいところ。
 『市街化調整区域から市街化区域に編入され、固定資産税も毎年じわじわと上がっている。』といっても、言い換えれば宅地転用が容易になった(人口が急増しているなら、マンション経営という発想もあるのではないでしょうか)ということでしょうし、効率よく稼げるかどうかは要は工夫次第。栗東氏国松市長の『知事が建設中止の政治決断をした以上、前面に出て最後まで面倒をみるのが当然の義務』に至っては責任転嫁も甚だしく、これが市の最高責任者の言うことか? と呆れ果てて文句を言う気にもなれませんね。

 大阪でも彩都構想が暗礁に乗り上げていますが、それ相応のリターンを期待するなら、リスクも背負うのが投資家の当然の義務。『そこまで責任負えるか!』というのが正直な印象です。

ジェネリック使わないと生活保護ダメ? 厚労省の無神経な通知

2008-04-29 18:45:40 | Weblog
ジェネリック使わないと生活保護ダメ 厚労省通知 2008年04月29日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/0429/TKY200804280368.html
 生活保護を受けている人に価格の安い後発医薬品(ジェネリック)を使わせるため、先発品を使い続ける場合は保護の停止を検討するよう、厚生労働省が各都道府県への通知で求めていたことが明らかになった。しかし、批判を受けて厚労省は28日、通知を撤回する方向で検討に入った。
 厚労省は医療費の抑制のため、後発品の使用を促進している。今月1日付の通知で、「(生活保護の)受給者は医療費の自己負担がないため、後発品を選択するインセンティブが働きにくい」と指摘。医薬品の使用状況を調べ、正当な理由なく価格の高い先発品を使い、後発品への変更指示に従わなかった場合は「保護の停止または廃止を検討する」としている。
 舛添厚労相は28日の参院決算委で「とにかく生活保護の方、後発品にしなさい、ととれる文章使いがあった。書き換えさせている」と表明。厚労省は通知を撤回し、受給者にも先発品の使用を認める通知を出し直す方向だ。



 ん…。毎年医療費が膨らみ続ける中、少しでも医療費負担を減らしたい厚生労働省の言い分もわからなくもないのですが、そもそも生活保護の受給者が(実質負担なしで医療を受けることができる)医療扶助の給付を受けようとする場合は、福祉事務所等が発行する「医療券」等を持参することが原則となっていますし、診療報酬の請求も一般の方とは別のレセプトを使っているようなので、何も受給者のプライドを傷つけるような通知をださなくても、医療機関相手に指導を徹底(例えば生活保護受給者のレセプトの認容基準を、ジェネリックの普及状況を見ながら、段階的にジェネリック推奨にしていくように仕向けるなど…。)すれば、当の病院の側が危機感を抱いて、ジェネリック医薬品の利用を当の受給者に熱心に勧めてくれると思うんですけどね…。
 なんで、わざわざ受給者を不安に陥れるような通知を出したのか、理解できませんし、この一件を見ているだけでも、いかにお役所が自分達の都合しか考えていないかを露骨に示す格好の事例だと思います。

「最低や」に怒り内妻バラバラ殺人、被告に懲役9年

2008-04-29 18:38:38 | Weblog
「最低や」に怒り内妻バラバラ殺人、被告に懲役9年 2008年04月28日
朝日夕刊 http://www.asahi.com/national/update/0428/NGY200804280008.html
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080428/trl0804281620017-n1.htm
 内縁の妻を殺害し、遺体をばらばらにして山中に埋めたとして、殺人罪に問われている大阪市生野区新今里、無職森準一被告(59)に対する判決公判が28日、津地裁であった。山本哲一裁判長は「強い殺意による残虐かつ悪質な犯行」として、懲役9年(求刑懲役12年)を言い渡した。
 判決によると、森被告は内妻の永田春美さん(当時40)=三重県名張市=が他の男性と交際したことに憎しみを募らせ、98年6月ごろ、三重県伊賀市内にある永田さん経営のスナックで口論となった際に「あんたなんか最低や」などと言われて腹を立て、両手で首を絞めて殺害。遺体を同市内の養豚場跡地に車で運んで電動式草刈り機で切断し、両手足はごみ焼却場に遺棄し、頭や胴体は同県亀山市の山林に埋めた。



 三橋歌織被告の判決と同じ日に、津地裁でも、内縁の妻を殺害し、遺体を切断して山中やごみ焼却場に捨てたという衝撃的な事件の地裁判決があり、こちらは懲役9年が課されたようです。
 う~ん。私には(三橋被告が懲役15年なのに、こちらの被告が懲役9年となった件について)なぜ同じような残虐かつ悪質な犯行で隠蔽工作を行いながら、刑の重さが6年も違うんだろうという素朴な疑問を感じずにはいられません。
 まあ、求刑の段階で12年だったので、それ以上の刑を課すことは、余程のことがない限りないとは思いますが、こちらは事件の残虐性を考えると、あまりにも刑を課す期間が短いのでは…という印象をどうしても受けてしまいました。

渋谷の夫殺害事件、三橋被告に懲役15年判決

2008-04-29 18:25:43 | Weblog
渋谷の夫殺害事件、三橋被告に懲役15年判決 2008年4月29日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080428-OYT1T00263.htm
朝日 http://www.asahi.com/national/update/0428/TKY200804280184.html
   http://www.asahi.com/national/update/0428/TKY200804280042.html
毎日http://mainichi.jp/select/today/news/20080428k0000e040013000c.html
 東京都渋谷区の自宅マンションで2006年、夫の三橋祐輔さん(当時30歳)を殺害し、遺体を切断して捨てたとして、殺人などの罪に問われた三橋歌織被告(33)の判決が28日、東京地裁であった。
 公判では、犯行時の責任能力の有無が最大の争点となったが、河本雅也裁判長は「殺害行為は、被告がその意思や判断に基づいて行ったもので、犯行時に被告には完全責任能力があった」と述べ、懲役15年(求刑・懲役20年)を言い渡した。
 三橋被告については精神鑑定が行われ、検察、弁護側双方の鑑定医2人が、殺害時は心神喪失状態で責任能力はなかったとする鑑定結果を出していた。
 判決はまず、精神鑑定について「精神障害の有無や、それが犯行時の被告の意思、判断に与えた影響などについての参考意見」とし、「責任能力は犯行時の行動や動機などを総合的に判断するもので鑑定結果には拘束されない」と述べた。
 その上で、判決は「被告は短期精神病性障害を発症し、犯行時、幻覚症状が生じていた」とする二つの鑑定について、信用できるとしたが、一方で、〈1〉殺害時に夫の頭部を集中的に殴るなど意識ははっきりしており、当時の行動や心情を記憶している〈2〉犯行後に遺体を捨てるなど、発覚を防ぐ目的にかなう行動をし、被害者が生きていることを装う隠ぺい行為もしている――などと指摘した。
 判決は、こうした被告の行動を重視し、「殺害行為は、被告の意思に基づくもので、当時の精神障害は犯行の実現に影響は与えていたものの責任能力に問題を生じさせるほどのものではなかった」と判断した。
 公判では、犯行の背景に夫の暴力があったかどうかも争点となったが、判決は「結婚直後から暴行を受け続け、離婚に応じない夫の態度を見て絶望的な気持ちになり、とっさに殺意を抱いたことに影響している」と述べた。最後に判決は「無防備の被害者を殴打して殺害し、遺体を切断した犯行は余りにも残酷で、刑事責任は重い」と、懲役15年を選択した理由を述べた。
 判決によると、三橋被告は06年12月、渋谷区の自宅マンションで、祐輔さんの頭をワイン瓶で殴って殺害し、遺体をのこぎりでバラバラに切断して捨てた。

責任能力「鑑定結果十分に尊重すべき」…最高裁が初判断 2008年4月26日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080425-OYT1T00849.htm
 犯行時、被告に善悪を判断する能力(責任能力)があったかどうかを調べる精神鑑定で「責任能力なし」とされながら、裁判官が有罪としたのが妥当かどうかが問われた裁判の上告審判決が25日、最高裁第2小法廷であった。
 古田佑紀裁判長は「鑑定医の公正さや能力に疑いがあるなど、特別な事情がなければ、鑑定結果を十分に尊重すべきだ」とする初判断を示し、被告の責任能力を認めて有罪とした2審・東京高裁判決を破棄、審理を差し戻した。
 上告していたのは、東京都内で2003年、昔の勤務先の経営者を殴って死なせたとして傷害致死罪に問われた塗装工の男性被告(39)。判決によると、被告は事件当時、経営者からバカにされるなどの幻覚や幻聴に襲われ、犯行に及んだ。
 1審・東京地裁は「心神喪失状態で、責任能力はなかった」とする鑑定結果を重視し、無罪とした。控訴審の精神鑑定でも同様の鑑定結果が出されたが、東京高裁は、被告が普通の社会生活を送っていたことや犯行後に自首したことなどを理由に、責任能力を認め、懲役3年としていた。
 この日の最高裁判決は、「責任能力の判断は裁判所に委ねられる」としながらも、「鑑定結果を採用できない合理的な事情がない以上、鑑定を十分に尊重すべきだ」と指摘。二つの鑑定結果に反する2審判決を違法とした。
 刑法は、責任能力のない心神喪失者の行為は罰せず、責任能力が低下した心神耗弱者については刑を軽減すると規定している。




 この事件については、セレブ妻の狂気の犯行として、ワイドショーや週刊誌などでもかなり派手に取り上げられましたが、結局被告には懲役15年の判決が下されました。
 私は、DVに晒されていた被告が、思わずワイン瓶で殴って殺害したところまでは、同情の余地もなくもないと思いますが、その後遺体をバラバラに切断して捨てたり、さらに後被害者の遺体確認の時にも、夫の母親に電話で「警察で夫でないと確認した。別人で良かった」と証拠隠滅を図る行為を行ったことから、検察・弁護側双方の鑑定医2人が、『殺害時は心神喪失状態で責任能力はなかった』とした鑑定内容をそのまま裁判の判断に適用することに疑問を抱いていましたし、被告が(罪の重さはともかく)有罪となったのは妥当だと思いますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。

 ちなみに、私はこの判決にはセンセーショナルな事件とは別の意味でも注目していたのですが、というのも、実はこの判決の直前(25日)に、『被告に善悪を判断する能力(責任能力)があったかどうかを調べる精神鑑定で「責任能力なし」とされながら、裁判官が有罪としたのが妥当かどうか』かを問う上告審判決があり、『鑑定医の公正さや能力に疑いがあるなど、特別な事情がなければ、鑑定結果を十分に尊重すべき』とする判断が下されただけに、(事件の経緯も似ていますし)ひょっとするとこの判断が三橋歌織被告にも適用されてしまうのでは…と正直かなり懸念していたのですが、裁判所は、「殺害行為は、被告の意思に基づくもので、当時の精神障害は犯行の実現に影響は与えていたものの責任能力に問題を生じさせるほどのものではなかった」といささか苦しい判断で刑を課したようですね。
 先の最高裁の判断が、あまり厳格に運用されるようだと、本来裁くべき人まで裁かれずに無罪になる可能性すらあると思うのですが、もし被告が控訴したら、高裁(あるいは最高裁)は、この責任能力についてどう判断していくのでしょうか。今後の判決にも大きく影響しかねないだけに、今後どのような法判例が蓄積されていくのか気になるところです。