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コムスン:「介護」退場…残る制度問題 

2007-09-05 14:10:38 | Weblog
コムスン:「介護」退場…残る制度問題 2007年9月5日 毎日
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070905k0000m040165000c.html
 コムスンの在宅系事業の売却先が4日選定され、3カ月に及ぶ「騒動」は終止符を打った。設立は1959年だが、99年にグッドウィル・グループの子会社となって以来、CMを駆使して訪問介護事業のトップランナーに急成長したコムスン。その悪質さにより介護現場から退場し、施設系はニチイ学館に、在宅系は都道府県ごとに分割されて継承されることが決まったが、介護保険制度の抱えるさまざまな問題は残されたままだ。第2のコムスンを生む土壌は続いている。

◇報酬下がり競争激化…支え手も悲鳴
 「コムスンは特別だ。他の事業者にもある不正請求とは質が違う。これまで例を見ない悪質さだった」
 コムスンに対する処分を発表後、厚生労働省幹部はそう指摘した。
 不正請求を繰り返し、処分逃れのための事業所廃止届を次々と提出。それが本社指示で行われ、親会社「グッドウィル・グループ」の折口雅博会長も了承していた。
 しかし東京都が06年に実施した立ち入り検査では、コムスンだけでなく、訪問介護大手のニチイ学館やジャパンケアサービスでも不正請求が明らかになった。不正の総額は3社で計4億2646万円。背景には、経営を支える「介護報酬」の相次ぐ引き下げがある。
 高齢者の増加に伴い、介護保険の総費用が増え続けている。07年度予算で7兆4000億円。制度がスタートした00年度(3兆6000億円)の2倍以上だ。政府は給付費抑制のため、事業者へ支払う報酬の単価を03年度(平均2.3%減)、06年度(先行改定分も含め平均2.4%減)と2回にわたり引き下げた。また、06年の介護保険法改正では家事のサービスを制限。これらが事業者を直撃した。
 人件費の比率が高い訪問介護事業(在宅系)の収入は、ほぼすべてが介護保険からの給付に頼る。特に東京都内では「3社が激烈な事業展開をしていた。報酬改定でますます薄利になり、多売、拡大をせざるを得ない状況だった」(都幹部)という。
 一方、今回の騒動の最中に、低水準の給与にもかかわらず高い志で仕事に励むヘルパーたちが、周囲から悪事の加担者のように非難されるという出来事も起きた。
 介護労働者の月収は全労働者平均の6~7割。介護福祉士有資格者の4割が介護職に就かないなど人材難が深刻化している。年間離職率は2割と際立って高い。介護報酬抑制は介護職離れをより促しかねない。
 今後10年間に必要と試算されている新たな介護労働者は40万~60万人。
 コムスンの第三者委員会は4日、「譲渡先選定の最大の難関は介護を担う職員確保だった。厚労省は、報酬加算の工夫など、意欲ある介護職員確保のための措置を」との内容の要望書を厚労省に提出した。

◇「一網打尽」排除に賛否…連座制規定
 コムスン追放に力を発揮したのが、06年の介護保険法改正で新設された厳しい連座制などの規定だ。事業所は6年ごとの更新制となり、1カ所で不正があると、以後5年間は全国どこででも新規申請も更新もできなくなった。
 もともと00年4月施行の介護保険法は「性善説」に立ち、事業者を「事前」でなく「事後」で規制した。自治体への新規申請では、書類の不備がなければ受理された。このため当初から架空請求など不正が相次いだ。不正請求などが発覚して指定取り消しになった事業所は今年3月までに478カ所。ピークの03年度には105事業所が指定を取り消された。こうした現状から「巨悪」排除の切り札として設けられたのが連座制だった。
 広域で事業展開する介護事業者にとって連座制は脅威だ。
 ニチイ学館の寺田明彦会長は「ある事業所が指定取り消し相当の問題を起こしたら、地域住民や行政と良好な関係にある他県の事業所も一網打尽で廃業。(影響する範囲が)あまりに広すぎる」と疑問を呈する。
 また寺田会長は「事業所責任者の配置基準違反で報酬返還を求められることがある。利用者に対するサービスに何の落ち度がなくても、です。(法律に)大きな間違いがあるのではないか」と話し、「不適正」と「不正」を区別する法改正の必要性を訴える。
 「質の悪い事業者は淘汰(とうた)される。事業者を不正に走らせない仕組みづくりが重要」(厚労省の有識者会議での議論)が関係者の共通認識だが、規制のあり方が今後の焦点となっている。

◇業界「経営続かない」…抜本改革を
 「コムスンの在宅系サービス引き受けに名乗りを上げたのは、利用者のためではなく、ヘルパーが欲しいから」
 都内中心に訪問介護を展開するある企業は本音を明かす。高齢化が進むなか、「成長産業」と期待された介護ビジネス。だが、業者が直面しているのは深刻な人手不足や収益悪化で、抜本的改革を求める声も高まっている。
 介護保険制度の導入では、国の積極的な後押しもあって、異業種からの介護業界への参入が相次いだ。大手では、コムスンの親会社、グッドウィル・グループの本業は人材派遣。ニチイ学館は医療事務代行だ。居酒屋チェーンのワタミも介護事業を拡大している。ツクイのように、不況業種の建設業からも目立つ。全国の訪問介護の事業所数はNPO法人なども含め、介護保険制度スタート時00年の9833カ所から、06年は2万911カ所と2倍以上に増えた。だが、介護報酬引き下げなどで、「この制度の下で黒字を上げるのは不可能に近い」と、業者からは悲鳴が上がる。
 コムスンから210億円で老人ホームなどの施設系事業を買い取ることが決まったニチイ学館。部屋代や食費などで保険外収入が見込める施設系は、訪問介護などの在宅系より採算性が高いとされる。だが、「次の改定では施設系の報酬が引き下げられるはず」(介護大手)と、高値での買い取りに冷ややかな目も向けられている。
 ジャパンケアサービスは、在宅系で最も多い13都道県での引き受けが決まった。だが「06年の報酬改定で当社の経営は厳しい打撃を受けた」と対馬徳昭会長。自らが会長を務める業界団体は、厚労省に報酬引き上げを要請しているという。



 コムスンの訪問介護事業所が16事業者に分割譲渡される事が決まりましたが、その一方で介護市場独特の問題を指摘した記事があったので紹介します。
 やはり一番大きいのは介護報酬の問題。厚生労働省は介護給付費総額を抑えるために、介護報酬を2度に渡って大幅に引き下げましたが、日本経済の回復と共に、相対的に他の職種の求人条件が良くなり、介護福祉士有資格者の4割が介護職に就かないなど人材難が深刻化(働く側から見れば、介護労働者の月収は全労働者平均の6~7割程度。これだけ格差があれば、最初から介護職に就きたくてこの世界に入った人はまだしも、他に就職先がなくて仕方なく介護職についていた方はまず転職するでしょうね…)。一部には外国人労働者の導入という意見もあるようですが、この報酬格差を何とかしない限り、仮に外国人労働者を受け入れても不法滞在化するリスクの方が余程高いように思います。

 連座制も現行の運用では問題がありますね。元々は介護保険が導入された当時、悪質な業者を排除する仕組みがなかったために、不正請求が頻発。その反動もあり、このような厳しい制度が導入されたようですが、現行制度では事業所数の多い介護事業者程、一旦不正があった時の影響度が大きいですし、コムスンが取り消し処分を受ける直前に事業所を廃止しようとしたような(他の業界から見れば、あまりにも露骨な処分逃れも)、この事業所だけではなく、他の事業所まで5年間新規申請ができなくなってしまうことを恐れてのことではないでしょうか。
 例えば、連座制を継続するにしても、『同一県内の事業所に限る』とするとか金融庁の処分のように『違反した事業所は○年間の業務停止、その他の事業所は○週間の業務停止 当然、違反事業所の同一県内での新規申請は認めない』といった段階的な処分を課すことも検討しても良いと思います。

 いずれにせよ、利用者に迷惑をかけないことが大前提になってきますし、勿論あまりにも悪質な業者は排除する仕組みが必要ですが、次の大改正までに、制度の運営についても見直しを行い、変えていくべきところは変えていく姿勢も必要かと思います。

コムスン在宅介護事業、16事業者に譲渡…県ごと分割

2007-09-05 14:06:23 | Weblog
コムスン在宅介護事業、16事業者に譲渡…県ごと分割 2007年9月5日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070904i115.htm?from=main1
毎日http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070905k0000m040079000c.html
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070904AT1D0406R04092007.html
朝日 http://www.asahi.com/life/update/0904/TKY200709040409.html
 不正により介護事業からの撤退が決まった訪問介護大手「コムスン」(東京都港区)の事業譲渡を巡る問題で、同社は4日、訪問介護などの在宅系サービス事業を「ジャパンケアサービス」(同豊島区)など計16事業者に譲渡することを決めた。
 譲渡は都道府県ごとに分割して行われ、年内にも完了させる意向だ。
 同日、譲渡先の審査・選定にあたる「第三者委員会」(委員長=堀田力・さわやか福祉財団理事長)が、公募に応じた企業、医療法人など252事業者の中から選定。これを受けてコムスンが決定した。
 譲渡されるのは、訪問介護、訪問入浴、訪問看護、デイサービスなどの介護保険事業所1268か所(6月末現在)と、障害者福祉サービスや介護タクシーなど介護保険事業以外の855事業所(同)。従業員は約1万9000人。利用者は約7万5000人(介護保険事業のみ)。
 最も多くの地域の事業を引き受けるのは、訪問介護準大手のジャパンケアで、東京都など東日本の13都道県で事業を継承する。
 次いで多いのが「セントケア・ホールディングス」(同中央区)で、12県。また、275と、コムスンの事業所数が全国で最も多い大阪府は、地元企業である「日本ロングライフ」(大阪市)に決まった。
 選定基準について、同委員会は、<1>24時間介護など、安定的にサービスを提供する能力がある<2>必要な人材供給能力がある<3>法令順守に務めている――などを挙げた。
 堀田委員長は、「地域に密着した事業者を優先したが、地域に条件を満たす事業者がない場合、大手が引き受けることになった」と説明した。
 コムスンは今後、受け入れ事業者と価格交渉などを行い、まとまり次第、事業を引き継ぐ。また、24時間対応の訪問介護や離島・山間部へのサービス提供など、採算が取りにくい事業が確実に行われているかどうかをチェックする第三者機関を新たに設ける方針だ。
 同社の大半の有料老人ホームとグループホームは業界最大手のニチイ学館(東京都千代田区)への売却が決まっているため、コムスン撤退に伴う譲渡問題は一応解決することになる。




 コムスンの解体に伴い、大半の有料老人ホームとグループホームは業界最大手のニチイ学館への売却が決まっていましたが、このたび訪問介護事業についても、16法人への売却が決まったようです。
 都道府県別に見ると、
ジャパンケアサービスが、『北海道、岩手、秋田、山形、福島、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、石川、福井』の13都道県。セントケアが、『宮城、茨城、山梨、静岡、和歌山、徳島、香川、愛媛、佐賀、長崎、大分、宮崎』の12県。ニチイ学館が、『長野、岐阜、愛知、京都、兵庫』の5県。サンキ・ウェルピィが『鳥取、島根、岡山、広島、山口』の5県をそれぞれ引受。青森は青森介護サービスが、群馬はケアサプライシステムが、富山は社福射水万葉会が、三重は共栄が、滋賀はしみんふくし滋賀が、大阪は日本ロングライフが、奈良は信貴山病院が、鳥取はハピネライフケアが、高知は社福ふるさと自然村が、福岡は麻生メディカルサービスが、熊本は熊信企画が、鹿児島と沖縄は医療法人徳洲会が引き受けたようです。
 選任基準も、地元で引き受けられそうなところがあれば、優先して引き受けさせ、そうでないところは大手が引き受ける形になったようで、グループホーム事業・老人ホーム事業を引き受けたニチイ学館は少な目の5県。ジャパンケアサービスが東日本を中心に、サンキ・ウェルピーが鳥取以外の中国地方を、残りをセントケアが引き受けたといった形でしょうか。
 大阪は当初はニチイ学館で内定していたようですが、未定だった九州・四国などを4日に最終調整した結果、全国的に売却先の地域バランスを考慮せざるを得なくなり、急遽地元業者である日本ロングライフに入れ替えたという経緯もあるようです。

「きちんと牢屋に入ってもらう」 年金横領で舛添厚労相

2007-09-05 14:03:30 | Weblog
「きちんと牢屋に入ってもらう」 年金横領で舛添厚労相 2007年09月05日 朝日
http://www.asahi.com/politics/update/0904/TKY200709040422.html
 「横領したような連中はきちんと牢屋(ろうや)に入ってもらいます。今からでも刑事告発してやろうかと思って」。社会保険庁や市区町村の職員が過去に年金保険料や給付などを計3億4000万円着服していた問題で、舛添厚生労働相は4日の閣議後の記者会見で怒りをぶちまけた。横領職員らの処分状況調査の徹底も指示した。
 社保庁職員による横領が判明したのは50件、1億4000万円あまりに達したが、刑事告発したのは27件にとどまる。舛添氏によると、処分の公表を始めた98年以降の20件はすべて刑事告発したが、それ以前は十分な資料も残っていないという。「ひどい話。めちゃくちゃなんです。私がそのとき大臣だったら、もっと厳しく処分していただろう」と述べ、97年以前の処分状況の調査を指示した。
 怒りの矛先は、社保庁を上回る2億円の横領が明らかになった市区町村にも。市区町村職員の処分や刑事告発の実態は分かっていない。舛添氏は「いい加減にしか処分していないなら、話にならない。泥棒したやつがぬけぬけと役場で仕事をしていていいんですか」と話し、増田総務相と6日会談し、首長に刑事告発を促すよう要請する。

社保庁、調査やり直し 年金横領、刑事告発も 2007年9月5日 産経
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070904/fks070904004.htm
 社会保険庁と自治体の職員が年金保険料など総額約3億4300万円横領していた問題について、社会保険庁は4日、「調査が不十分」とする舛添要一厚生労働相の指示を受け、平成9年度以前の懲戒処分や刑事告発の状況など調査のやり直しに着手した。どのような刑が確定したのかなどを明らかにし、司法処分がなされていないケースについては必要に応じて刑事告発を行う。自治体職員については、舛添氏が増田寛也総務相と近く会談し、市区町村に厳正処分を求める。
 舛添氏が調査のやり直しを命じたのは、社保庁が3日に公表した調査結果は、横領職員の処分内容や刑事告発の有無、どのような判決が下ったか-などが不明なため。
 社保庁が横領事件の公表を始めたのは平成10年度以降だったことに加え、今回の市区町村の調査は記録が残っていたケースのみをまとめたもので、実際の件数や被害額はさらに多数に上るとの見方が出るなど、調査のずさんさに批判が集まったこともある。
 舛添氏は4日の会見で「平成9年度までは公表しないからといって、公表しなくてもデータはあるのかと聞いたら、『ない』という。そういうところが社保庁は感覚がずれている」と批判。「どういう処分が出たのか、懲役何年なのか。資料の公表とはそういうことだ」と指摘した。
 社保庁は4日、舛添氏の指示を受けて(1)懲戒処分の内容(2)刑事告発の日付(3)判決結果(4)横領金の弁済状況-など詳細調査の具体的な段取りや作業スケジュールの検討を開始した。司法処分がされていないケースについては、時効などを考慮しながら必要に応じて刑事告発を行う。
 一方、自治体職員の横領については、社保庁から市区町村への協力要請には限界があることから、舛添氏が増田氏に対し、総務省主導で社保庁と同様に徹底解明を行うよう要請する。舛添氏は会見で「(市町村が処分を)やっていなくて宙ぶらりんなら、首長が告発するよう総務相に申し入れる」とした。
 3日の社保庁調査では、昭和37年の社保庁発足以降の横領は99件で、このうち1000万円を超す巨額横領が7件に上るなど、悪質な例も少なくない。

舛添厚労相「現金贈った側も調査」・前九州厚生局長問題 2007年9月4日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070904AT1G0400R04092007.html
 厚生労働省の松嶋賢・前九州厚生局長(59)が社会福祉法人の前理事長から高級車や現金を受け取っていた問題で、舛添要一厚労相は4日、閣議後の記者会見で、「現金を贈った側も調査する」と近く前理事長側から事情を聴く方針を示した。厚労省は既に前局長から事情を聴いている。
 舛添厚労相は「(補助金を社会福祉法人に交付したのは)前局長に職務権限がない期間だが、職務権限を持っていた後輩や同僚に影響力を行使しなかったかどうか、権限を持っていた部局にいた職員に聞き取りをしている」と述べ、不正行為がなかったかどうか調べていることを明らかにした。
 前局長は既に退職しているが、舛添厚労相は「前局長が現職だったら受けたであろうと予想される処分に見合う厳しい処分を考えている」と強調した。


 不祥事続きの安倍政権では、元気なのはこの厚生労働相の舛添氏だけですね…(苦笑
 前の柳沢氏は、前半は失言ばかりが目立ち、後半はその反動かやたら言動が慎重になり、結局厚生労働大臣としての職務を十分にこなしていたとは言えないのではないかと思うのですが、これだけ物事をはっきり言うタイプの政治家ならば、仮に将来的に民主党と連立政権を組むことになっても、引き続き厚生労働大臣を任せられそうですし、一気にこれまでのウミを洗い出してくれるのでは…と期待したくなります。
 この年金問題 ウミを出し切るには相当の困難が予想されますが、是非とも成し遂げて欲しいですね。

安倍首相「綱紀粛正、結束を」・政治とカネ

2007-09-05 14:00:57 | Weblog
安倍首相「綱紀粛正、結束を」・政治とカネ 2007年9月4日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070904AT3S0400K04092007.html
 安倍晋三首相は4日の閣議後の閣僚懇談会で「閣僚は所管する行政分野で厳正中立を旨とし、いやしくも国民の信頼を損なうことがあってはならない」と強調した。遠藤武彦前農相が補助金の不正受給問題で辞任したのを受け、綱紀粛正を徹底する狙いだ。これに先立つ自民党役員会で首相は「ともかく大変な国会なので一致結束して立ち向かおう」と結束を呼びかけた。
 首相は閣僚懇で「今後とも肝に銘じて、緊張感を持って公正な行政運営にあたってほしい」とも語った。
 閣議後の記者会見では、閣僚らから政治資金収支報告書への領収書添付について「1円以上」とする政治資金規正法改正を支持する意見が相次いだ。内閣改造後も続出している「政治とカネ」を巡る問題に前向きな姿勢を示すものだ。ただ、自民党の麻生太郎幹事長は4日の記者会見で、臨時国会での法改正を「確約できない」との見解を表明。10日の臨時国会召集を前に政府・与党内の足並みはそろっていない。

「1円領収書」、自民が再び議論・麻生幹事長が方針 2007年9月4日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070904AT3S0400P04092007.html
 自民党の麻生太郎幹事長は4日の記者会見で、領収書添付を義務付ける支出の基準を「1円以上」に厳格化する政治資金規正法再改正案について「もう1回きちんと整理し、各党とも話し、詰めねばならない」と述べ、党改革実行本部(武部勤本部長)を中心に議論をやり直す考えを明らかにした。同日の総務会でも杉浦正健、深谷隆司両氏が「慎重に対応することが大事だ」と慎重論を主張した。
 麻生氏はまた、同日の役員会などで各議員事務所などの会計責任者への研修を検討する方針で一致したことを明らかにした。事務所経費の不適切な処理問題が相次いでいることを受けた措置。


 これだけ政治家のお金に絡む不祥事が続出すると安倍首相の『綱紀粛正・結束』発言も任命権者としての面目が丸つぶれで、全く説得力がありませんし、傍目には、『ナルシストの安倍さんが、またなんか叫んでいる』といった程度の印象しか与えていないような気がしますね…(苦笑
 一方、麻生幹事長は全ての領収書の添付を事実上強要する形になってしまう政治資金規正法再改正案の見直しに再度言及。まあ気持ちはわからなくもありませんし、個人事業主さんが顧客先を訪問する時の電車賃などは、手帳に記録する程度の証明で税務署に経費として大らかに認められている中、政治家だけに、数十円単位の出費の領収書を求めることが本当に適当なのかという議論もあるのかな…とは思います。
 とはいえ、これだけ政治家の金銭スキャンダルが続出する(現に今日も鴨下環境相絡みの政治資金の不透明な流れが大騒ぎになっていますね…)と、さすがに今のままというわけにもいかないでしょうし、1円単位は無理でも例えば1000円を超える場合は規制の対象にするなど、何らかの規制強化は避けられないのではないでしょうか。

鴨下環境相、資金団体「借入金800万円」説明できず

2007-09-05 13:57:28 | Weblog
鴨下環境相、資金団体「借入金800万円」説明できず 2007年9月5日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070905it01.htm
 鴨下一郎環境相(58)(衆院東京13区)の資金管理団体が8年間にわたり、政治資金収支報告書に1000万円と記載し続けてきた借入金が、借入時の収支報告書では200万円しか記載されていなかったことが、読売新聞の調べで分かった。
 差額の800万円について、鴨下氏の事務所は「借入金額を裏付ける書類が残っておらず、分からない」としており、明確に説明できていない。鴨下氏本人は「ずさんと言われれば、甘んじて受けなければならない。反省している」と話している。
 政治資金規正法では、政治資金の透明性を確保し、政治活動の公正さを検証できるようにするため、政治団体の収入や支出だけでなく、所有不動産や負債など資産の記載を義務付けている。借入金は、借りた年に収支報告書の「収入」欄に記載し、100万円以上の残高や借入時期を「資産等」欄に書かなければならない。返済すれば、「支出」欄に記載の必要がある。
 鴨下氏の資金管理団体(現・政策パラダイム研究会)の1998~2005年の収支報告書の「資産等」には、96年8月に同団体が鴨下氏個人から借りたとする1000万円が記載され続けている。ところが、96年の収支報告書の「収入」に記載されている借入金は、200万円だけだった。
 鴨下事務所は当初、読売新聞の取材に対し、最近の収支報告書の記載に沿って「96年の借入金も1000万円だった可能性が高い」としていた。しかし、96年の収支報告書に書かれていた200万円との差額800万円は、どこにも記載がなく、支出の時期も使途も書かれていない。
 同事務所は4日になって、「確たる証拠は手元にないが、使途不明金はありえず、当時の借入金は200万円だった可能性が高い」として、収支報告書の借入金額を1000万円から200万円に訂正する意向を示した。だが、200万円が事実なら、鴨下氏からの借入金は8年間にわたり、実際より800万円も多く記載されていたことになる。
 鴨下氏が衆院議長に提出した資産等報告書によると、鴨下氏の貸付金残高は00年6月に820万円、03年11月と05年9月はゼロとなっている。資金管理団体の借入金が1000万円でも200万円であっても、収支報告書の記載とは大きく食い違っている。
 鴨下氏は4日の取材に「ずさんというそしりは甘んじて受ける。申し訳ない。根拠が十分ではないが、質問には精いっぱい答えているつもりだ」と話した。

借入金問題、鴨下環境相「詳細に調べ説明する」 2007年9月5日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070905i103.htm
 鴨下環境相の資金管理団体の不透明な借入金問題で、鴨下氏は5日朝、都内で記者団に「事実関係について詳細に調べて、皆さんに報告したい」と述べ、同日中にも記者会見などで説明する考えを示した。
 与謝野官房長官は鴨下氏から事情を聞く方向だ。野党は、与野党逆転した参院への問責決議案提出を視野に、鴨下氏が説明責任を果たせない場合、安倍首相に更迭を要求する方針だ。
 同団体の鴨下氏からの借入金は、1996年の政治資金収支報告書には200万円と記載されていたが、98~05年には1000万円となっており、鴨下氏側はなぜ800万円の差が出たかを説明できていない。
 これに関して、鴨下氏は「200万円の借り入れがあって、その後にたぶん、報告書の錯誤があり、1000万円の記載が間違いだったという認識だ。ひとたび記載ミスがあると、ずっと同じ形で計上していたことは深く反省する」と述べた。「多少ルーズにやっていたことは確かにあると思うので、(報告書を)訂正すべきところは訂正する」と語った。
 鴨下氏は「きちんと説明して、納得いただけるかどうかに全力を尽くしたい」と述べ、現時点で閣僚辞任の考えはないと強調した。
 大野松茂官房副長官は5日午前の記者会見で、鴨下氏から電話で事情を聞いたとしたうえで、「借入金残高の記載を誤ったと聞いている。また、資産等報告書を作成した者と資金管理団体との連絡が十分でなかったため、資産等報告書にも記載されなかった。事務的なミスだ」と述べた。
 与党からは「臨時国会に影響が出ないよう、対応してもらいたい」という声が上がっており、鴨下氏の説明次第では、進退問題に発展する可能性がある。
 これに対し、民主党の鳩山幹事長は5日午前、都内で記者団に「国民が納得するように説明できなければ辞めてもらうしかない」と述べた。山岡賢次国会対策委員長は「直ちに辞任すべきだ。まずは国会で説明を求めていく。説明が通らなければ、問責に値する」と述べた。

舛添厚労相:鴨下環境相の借入金問題「説明が必要」 2007年9月5日 毎日夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070905k0000e010017000c.html
 舛添要一厚生労働相は5日午前、鴨下一郎環境相の資金管理団体の借入金問題について、「きちんと国民に説明できるかどうかだ。できなければ何らかのけじめをつけざるを得ない。(政権への影響は)非常に深刻だ」と述べた。東京都内で記者団の質問に答えた。



 政治家に絡むおカネの不自然な取引きがまたまた出てきたようで、鴨下一郎環境相の資金管理団体が、8年間にわたり、政治資金収支報告書に借入金が1000万円と記載していたにも関わらず、借入時の収支報告書では200万円しか記載されておらず、差額の800万円の行方が争点に…。この件については日経も報道していなかったようで、どうやら読売の単独スクープ状態だったようです。
 それにしても、返答が「借入金額を裏付ける書類が残っておらず、分からない」とは随分いい加減な対応 (昼のニュースでは鴨下氏側は、単なる『事務記載ミス』としているようですが、本当のところはどうなんでしょうね…。) ですし、この件について、厚生労働大臣に就任した舛添氏は、『何らかのケジメはつけなければならない』としていて、事実の推移次第では、大臣職の辞任の可能性も決して少なくないのでは…と思うのですが、もしそうなると、(気が早いようですが)今度は後継者選びが大変でしょうね。

 ちなみに、先々代の(環境大臣の)小池百合子氏は守屋次官との確執もあり、安倍改造内閣が出来る直前に自ら防衛大臣職を返上しましたし、そうなるとやはり若林さんが、今回も農相と環境相を兼任するといういびつな形になるのでしょうか???
 ちなみに、歴代の環境大臣のうち、大木浩氏は既に政界を引退、いまさら森・第一次小泉内閣時代の川口順子氏を引っ張り出すとも思えませんし、もし小池氏の前任者である鈴木俊一氏が引き受けてくれなければ、この杞憂も現実のものとなる可能性も決して否定できないと思います。
 あまり特定の大臣ばかりを優遇すると、今度は同じ自民党内での不満も高まりかねないと思うのですが、本当に必用な人脈のない安倍さんのことだけに、結構そのシャレにならない強引な人事になりそうな嫌な予感がします。

小林温参院議員が辞職、公明・松氏が繰り上げ当選へ

2007-09-05 13:47:23 | Weblog
小林温参院議員が辞職、公明・松氏が繰り上げ当選へ 2007年9月4日
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070904AT3S0401604092007.html
毎日夕刊 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070905k0000m010112000c.html
産経夕刊 http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070904/skk070904007.htm
 7月の参院選で当選した自民党の小林温参院議員(神奈川選挙区)は4日午後、出納責任者が公職選挙法違反容疑で逮捕、起訴された責任をとり議員辞職願を江田五月参院議長に提出し、許可された。公選法の規定に基づき、同選挙区(改選定数3)で次点だった公明党の松あきら氏が繰り上げ当選となる。
 小林氏は4日夕、横浜市内で記者会見し、辞職理由について「2人の起訴を重く受け止めた。裁判の結果を待てば国政の停滞を招くことになる。現時点で自ら辞職を決断した方がよいと判断した」と語った。

ホテル転々、1カ月 辞職の小林氏に力強さなし 2007年09月05日 朝日
http://www.asahi.com/politics/update/0904/TKY200709040406.html
 出納責任者らが逮捕されてから1カ月。以来表舞台から消え、再び姿を見せたのは議員辞職を表明する記者会見の席だった。参院選神奈川選挙区で再選された自民党の小林温(ゆたか)氏(43)。ホテルを転々としながら、辞職を決意したのは4日朝という。辞職を表明するその姿には、「IT国家をめざす」と力強く語った若手政治家の面影はなかった。
 県警が出納責任者ら3人を逮捕した8月7日以降、小林氏は直後の参院本会議を欠席するなど公の場から姿を消した。
 関係者によると、横浜市内や東京都内のホテルを転々とし、ごく近い知人や党幹部らと会ったり、電話で話したりしていたという。
 辞職を決意したのは「今朝だった」。しかし、連絡を取り合っていた支持者は4、5日前、電話の向こうで小林氏が「もう腹を決めた」と言い、「後援会がしっかり組まれていなかった。6年間何をやってきたのか」とこぼすのを聞いた。
 時代の先端を行くIT企業の元社長。選挙戦でも電子メールやインターネットで情報収集やスケジュール管理を行い、携帯サイトで有権者の声を集め、「日本を世界最先端のIT国家にしたい」と訴えていた。
 しかし、内実は福島県出身の落下傘候補。地縁、血縁のない土地で、これまで自民党の集票マシンとなってきた企業や団体も以前のように運動員を出さなくなり、陣営では常に運動員不足に悩んでいたという。
 小林氏は8月29日に、出納責任者らが起訴されたときも、自らの口で進退を語らなかった。
 しかし、3日、補助金不正受給問題で遠藤農林水産相が辞職。4日朝、神奈川県選出の国会議員が集まった席で、ある議員は「できれば3日のうちに(辞職表明の)会見を開きたかった」という自民党神奈川県連会長の菅義偉・党選対総局長の言葉を聞いたという。「3日のうちに辞職すれば、ダメージも抑えられたかもしれなかったからか」とみている。
 「自民党は何をしているのか」。夏祭りや盆踊りの会場で、支持者や有権者から批判にさらされてきた県議ら県内の地方議員たちからも、辞職による早期決着を求める声が出ていた。議員辞職を知った同党県議は「冷静に考えれば、起訴されたときが辞職のひとつの節目だった」と振り返る。
 「申し上げたいことはたくさんあった」。小林氏は会見で言ったが、その内容は語らなかった。



 先々月末の参議院選挙で当選したばかりの議員が、当選してからわずか1ヶ月余りで議員職を辞職するとなると、『えっ???』と思いますが、実はこの小林温参院議員。出納責任者らが、『大学生ら24人に、小林議員への投票を依頼するビラ配りなどの選挙運動をした報酬として、1人1万~12万円の計153万円を渡した』ようで、もし、逮捕された出納責任者の有罪が確定すれば、小林氏の当選が無効になる可能性があったこともあり、先手を打ったようです。
 もっとも、このまま粘ったとしても、投票日から3ヶ月以上を経過してから辞任すると今度は補選を行わなければならず、そのまま補選をおこなっても議席を民主党に持っていかれるリスクが高く、だったら連立与党である公明党の松氏を繰上当選させた方が得策という思惑もあったようで…。いずれにせよ事実が確認された以上、遅かれ早かれ氏の辞任は避けられなかったように思います。
 一方、その小林議員ですが、8月7日に出納責任者ら3人らが逮捕されてからはホテルを転々として、マスコミから逃げ回っていたようで…(呆
 もし当人にやましいところがなければ、マスコミに正々堂々と受け答えするのが政治家としての勤めだと思いますし、少なくとも再選してからの議員報酬は(ほとんど仕事らしい仕事をしていないのですから)全額返還するのが筋なのでは…と個人的には考えているのですが、こんないい加減な人が、これまでも6年間も国会議員として勤務して高い報酬を得ていたかと思うと、どうしても感情的に納得がいかないものがあります。
 既に議員を辞職することを決めたとはいえ、野党は遠藤農相に続く現役議員の不祥事について、厳しく追及してきそうですね。