障害者福祉の1割負担、86%が「見直しを」 2006年10月10日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/1010/003.html
障害者自立支援法で今年4月から福祉サービス費用の1割が原則自己負担になったことに対し、障害者世帯の86%が「利用料制度の見直し」を求めていることが障害者支援団体の調査で分かった。外出時に付き添うガイドヘルプやショートステイ(短期入所)などの利用を控える動きも出ており、「このままでは負担し続けられない」との声が半数にのぼった。
大阪市の「大阪障害者センター」が7月から9月にかけて、全国21都道府県の障害者やその家族2296世帯を調べた。
4月以降、施設利用や福祉サービスに対する自己負担額が月1万~3万円増えた人が全体で45%。3万円以上も1割だった。世帯主の年収が80万円に満たない低所得層でも、負担増が1万~3万円の人が3割を超えた。
負担増に対応するため、ガイドヘルプを減らした人は32%、ショートステイを減らした人は25%。病院への通院回数を減らした人は全体で5%だったが、年収80万円未満では12%にのぼり、年収が低い人ほど通院を控える傾向が強い。
制度に対する要望(複数回答)では、「利用料見直し」が最も多かったが、「事業所がつぶれないよう配慮してほしい」も55%あり、通い慣れた施設の存続を望む声の強さもうかがえる。
厚生労働省は、自己負担導入で障害者が施設を選ぶようになれば施設間競争が促され、低価格で質の高いサービスが実現するとしているが、調査を分析した山本敏貢・大阪千代田短大教授は「多様なサービスを提供する事業者はすぐには参入しにくく、その間に低所得の障害者ほど負担が重くのしかかっているのが現状」と指摘している。
障害者に対する給付は、これまでは措置制度の下、所得に応じた極めて低い負担で済んだ(作業所は負担なしで利用できた)のですが、多様なサービスの提供の名の元に、介護保険と同様に1割負担を導入することが決められた段階で、おそらくこのような必要なサービスまで受けられない弊害が起こるのではないかと、以前から危惧していました。
ただ、介護保険の場合は、基本的には年金生活者が対象で、年金額もサラリーマン経験のある方なら厚生年金からも支給される(今受給されている方で40年近く勤務された方なら、国民年金よりも厚生年金からの支給額の方が多い場合がほとんど)ため、1割負担といっても、その1割負担が家計にどれだけ響いてくるかは、その家庭によっても異なりますが、障害者の場合は、そもそも厚生年金に加入する働き方をしているケースの方が珍しいので現実はより深刻。
実際、障害者の収入といえば、障害基礎年金(1級は月額約8.2万円、2級は約月額6.6万円)とお小遣いとしか言えない程度の月1万円前後の作業所での工賃しか得られませんし、その中から約3万円の利用料と食費が請求されれば、生活が成り立たないのは明らか。現実的な対応として1割負担の全部又は一部を負担する自治体もあるようですが、本来こういった社会保障は国が面倒を見るべき性質のものですし、競争促進以前に、こういった社会的弱者が迫害される問題の方が大きいのではないかと思います。
作業所に通ったら、却って負担が増えてしまうというのでは、障害者の働く意欲を奪いかねませんし、せめて年収のボーダーラインをもう少し現実的な路線に引き直すことはできないのでしょうか。
http://www.asahi.com/life/update/1010/003.html
障害者自立支援法で今年4月から福祉サービス費用の1割が原則自己負担になったことに対し、障害者世帯の86%が「利用料制度の見直し」を求めていることが障害者支援団体の調査で分かった。外出時に付き添うガイドヘルプやショートステイ(短期入所)などの利用を控える動きも出ており、「このままでは負担し続けられない」との声が半数にのぼった。
大阪市の「大阪障害者センター」が7月から9月にかけて、全国21都道府県の障害者やその家族2296世帯を調べた。
4月以降、施設利用や福祉サービスに対する自己負担額が月1万~3万円増えた人が全体で45%。3万円以上も1割だった。世帯主の年収が80万円に満たない低所得層でも、負担増が1万~3万円の人が3割を超えた。
負担増に対応するため、ガイドヘルプを減らした人は32%、ショートステイを減らした人は25%。病院への通院回数を減らした人は全体で5%だったが、年収80万円未満では12%にのぼり、年収が低い人ほど通院を控える傾向が強い。
制度に対する要望(複数回答)では、「利用料見直し」が最も多かったが、「事業所がつぶれないよう配慮してほしい」も55%あり、通い慣れた施設の存続を望む声の強さもうかがえる。
厚生労働省は、自己負担導入で障害者が施設を選ぶようになれば施設間競争が促され、低価格で質の高いサービスが実現するとしているが、調査を分析した山本敏貢・大阪千代田短大教授は「多様なサービスを提供する事業者はすぐには参入しにくく、その間に低所得の障害者ほど負担が重くのしかかっているのが現状」と指摘している。
障害者に対する給付は、これまでは措置制度の下、所得に応じた極めて低い負担で済んだ(作業所は負担なしで利用できた)のですが、多様なサービスの提供の名の元に、介護保険と同様に1割負担を導入することが決められた段階で、おそらくこのような必要なサービスまで受けられない弊害が起こるのではないかと、以前から危惧していました。
ただ、介護保険の場合は、基本的には年金生活者が対象で、年金額もサラリーマン経験のある方なら厚生年金からも支給される(今受給されている方で40年近く勤務された方なら、国民年金よりも厚生年金からの支給額の方が多い場合がほとんど)ため、1割負担といっても、その1割負担が家計にどれだけ響いてくるかは、その家庭によっても異なりますが、障害者の場合は、そもそも厚生年金に加入する働き方をしているケースの方が珍しいので現実はより深刻。
実際、障害者の収入といえば、障害基礎年金(1級は月額約8.2万円、2級は約月額6.6万円)とお小遣いとしか言えない程度の月1万円前後の作業所での工賃しか得られませんし、その中から約3万円の利用料と食費が請求されれば、生活が成り立たないのは明らか。現実的な対応として1割負担の全部又は一部を負担する自治体もあるようですが、本来こういった社会保障は国が面倒を見るべき性質のものですし、競争促進以前に、こういった社会的弱者が迫害される問題の方が大きいのではないかと思います。
作業所に通ったら、却って負担が増えてしまうというのでは、障害者の働く意欲を奪いかねませんし、せめて年収のボーダーラインをもう少し現実的な路線に引き直すことはできないのでしょうか。