石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

ILO議連第6回勉強会より

2011-11-30 23:51:58 | 活動レポート

今日のお昼、ILO活動推進議員連盟(ILO議連)の第6回勉強会を開催しました。

 

もともと12時に開会する予定で参加者の皆さんに集まっていただいていたのですが、ナンと、午前中の参議院本会議が押しまくり。結局、終わったのが12時15分で、直嶋会長はじめ、私たち参議院議員が会場に到着したのは12時25分。司会進行役がいないまま、今日の講師であった長谷川真一ILO駐日代表に自ら仕切って講演を始めて貰うという異例の展開になってしまいました。ん~、やっぱり国会開会中のお昼というのは、何かと想定外の事態が発生するのでやりにくいです・・・。

と、気を取り直して長谷川代表の講演に注目!今日は、来たる12月4日から京都で開催される第15回アジア太平洋地域会議のテーマと主要議題について説明をいただきました。

 

今回の地域会議は、2006年に韓国・釜山で開催された第14回地域会議以来、5年ぶり。日本では、1953年と1968年に次ぐ3回目の開催になるそうですが、前回から数えると実に43年ぶりの開催になります。

参加者は、アジア太平洋諸国地域(アラブ地域を含む43カ国)から、労働大臣等の政府代表、そして労使の代表など約500人です。また、関係する国際機関の代表や、NGOの代表なども参加します。労働・雇用分野の地域会議としては最大級ですね。

会議全体を通じてのテーマは「ディーセント・ワークを伴う持続可能な未来の構築」となっています。ILOがめざす「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」をアジア太平洋地域全域で実現していくために、各国におけるディーセントワークの現状など、ILO活動に関する課題を幅広く議論し、今後4年間のアジア太平洋地域での活動方針を決定することが目的です。

議論の中心は、12月5日と6日に行われるテーマ別分科会。以下の3つのサブテーマに基づいて、参加者による熱心な議論が展開されることになります:

  1. マクロ経済政策、労働政策、社会的保護政策の調整
  2. 生産的な雇用、持続可能な企業、技能開発
  3. 労働における権利と社会対話

 

いずれも大変興味深いテーマですが、私個人としてはやはりテーマ3「労働における権利と社会対話」に注目です。アジアの経済成長が続き、世界の成長エンジンとしてもてはやされる一方で、労働者の権利や労働条件の切り下げ競争(いわゆるRace to the bottom)はさらに激しさを増しています。アジア太平洋地域全域で国際労働基準、とりわけ中核的労働基準を確保して、労働者が労働組合を通じて社会対話に参加できる仕組みを確立することこそが、地域の持続的な成長と社会的発展につながるのです。もちろん、日本にとっても利益は大きいですね。

ということで、私自身は議論に参加できないのが残念ですが、どういう結論がまとめられるか、楽しみにしておきたいと思います。

なお、12月5日には、日本政府主催のサイドイベント「自然災害危機対応~雇用政策を中心に~」も開催されるそうです。東日本大震災の教訓を踏まえて、被災地域でどう雇用を復興政策の中心に据え、生活再建を果たしていくか、アジアの他の国々での自然災害の経験も交えて議論が行われます。こちらも興味深いですね。

以上、今日のILO議連の勉強会の模様でした。議連としても、12月3日の土曜日に、ILOのファン・ソマビア事務局長と京都で会合を行います。今後の連携強化に向けて、いろいろとお話してきたいと思っています。また報告をお楽しみに!


NTT労組データ本部分会役員のみなさんが国会見学に(事務所だより)

2011-11-29 19:19:23 | 雑記

 

 

 

午前中、NTT労組データ本部分会役員のみなさんが国会見学に来てくださいました。

本日、吉川さおり議員が所属する総務委員会が開かれていたため、委員会傍聴と国会見学のセットでのスケジュールとなりました。

この委員会傍聴・・・実は初めての体験。先輩秘書に教わりながら手続きなどを学びました。

時間の関係で本日は10分程度の傍聴になりましたが、総務委員会での論議もようを肌で感じることができたようで、参加者からは「これからがおもしろい論議だったのに…残念」との声も・・・。

各種委員会のスケジュールは直前まで決まらないので、申し込み段階で希望されると困るのですが、今回のようなアレンジができる国会見学もいいものだなぁと思っています。

そして、国会見学の片付けがおわり、事務所へ戻ると「プレス民主」が届いていました。

中をみてびっくり!議員の写真とともに「第三次補正予算が成立」の記事が掲載されているではありませんか。

▲プレス民主12月2日号

国会見学へお越しいただいた皆さんへ配布できず、残念。この場で紹介させていただきます。

 


今日の参議院ODA特別委員会より

2011-11-28 23:00:59 | 活動レポート

今日の午後、今臨時国会で初めて、参議院の「政府開発援助等に関する特別委員会(ODA特委)が開催されました。

議題は「ODAの現状と今後のあり方について」で、今日は参考人質疑。始めに参考人のお二方に意見陳述をいただき、それに対して各党から質疑を行うという形で進行しました。

今日お出でいただいた参考人の方は、次のお二人です:

  • 下村恭民 参考人(法政大学名誉教授)
  • 坂元浩一 参考人(東洋大学国際地域学部教授)

お二方とも、ODAのあり方についてこれまで数々の提言をされておられます。今日は短時間ではありましたが、提出いただいた資料も含めて、とても参考になる意見や問題提起をいただきました。

さまざまな論点がありましたが、その中で私が特にポイントだと思ったのは、以下の四点です:

1.ODAと国益との関係は悩ましい:

ODAの総額が大きく減少(ピーク時から半減してます)して、危険水域ギリギリまで来ている状況(国民一人あたりのODA額はOECD諸国の中で最下位グループ)の中で、ODA総額を維持・増強するためには、ODAの意義と必要性に対する国民の理解と協力を得る必要があります。ではそのために、国益とのリンクを強調し、強化していくべきか否かについては、お二人の意見は異なっていたように受け止めました。この点は、民主党内にも両論あり、今後さらに議論を深めていかなければならない点です。

2.メディアが社会的責任を果たすべき:

ODAは、国内では「本当に役に立っているのか?」という疑問の目を向けられていますが、被支援国では「大変感謝されて」います。アフリカを中心に中国ODAマネーの台頭が著しく、条件を付けない多額のODAを投下しながら一方で自国の利権をあからさまに獲得しようとする中国に対し、日本の「自立支援型ODA」が高く評価されている、ということですね。しかし、日本ではそういう事実をメディアがきちんと伝えてくれません。まさに、国益につながる話を、メディアには社会的責任としてきちんと伝えて欲しいわけです。

3.誰のためのODAか?:

これは、実はお二人方明確な答えはなかったのですが、ODA評価の大切な指標の一つである「実効性・有効性」をチェックする際、一体「誰の評価を尊重すべきか?」という問題があります。国家元首の評価か、議会か、政府高官(官僚)か、現地企業か、地方の権力者か、はたまた国民か?私は当然、評価者は国民であるべきで、受益者であるべき現地住民に日本のODAの効果を確認しなければ、本当の評価は出来ないと思うわけです。しかも、日本政府が直接それをやるのは難しく、適切でもないので、ここで民間セクターとの連携が重要になるわけですね。要は、住民のエンパワーメントにつながるODAでなければ意味がないのではないか、ということです。この点は、上記の国益の増進との関係が課題になりますね。

4.二国間ODAと多国間ODAとの連携が必要:

これは特に坂元参考人が取り上げていた課題ですが、日本は伝統的に二国間のODAと多国間のODAとの連携をほとんど取っていません(と思われているだけ?)。多国間のODAというと、代表的なものを国連やその専門機関を通じた開発協力です。例えば、国連では4~5年前から「ONE UN(一つの国連)」という取り組みを進めていて、一つの国に対する開発協力を全ての国連機関が協力して共同で企画・遂行していく流れに移行しています。その開発プログラムには全てのドナーや二国間ODAが連携することが望ましいわけで、そうすると日本のODAのあり方も大きく変容する可能性があるわけです。この点は、坂元参考人からも言及がなかったので、今後、検討課題として取り上げていきたいと思います。

 

ということで、参考人のお二人の意見陳述や、その後の質疑を聞きながらさまざまな論点や課題を整理することが出来ました。これをベースに今後の委員会論議に臨んでいきたいと思います!


社会保障改革論議 その3

2011-11-27 22:49:10 | 活動レポート

おとといの新聞に、こんな記事が載っていました:

「来年度の年金0.2~0.3%減額見込み 物価下落で」(asahi.com 11.25)

"来年度分の年金が物価に連動して減額される見通しが強まった。今年の消費者物価指数がマイナスになりそうなため、年金も今年度より0.2~0.3%程度引き下げられる見込みだ。これとは別に、政府は年金が本来より多く払われている状態の解消も検討中。ただ、二重の減額には民主党内で慎重論がある。物価の動きは今後の年金改革に影響しそうだ。"

皆さんもご存じの通り、年金には、物価の変化に応じて給付水準を変動させる「物価スライド」という制度が組み込まれています。1月から12月までの1年間、物価がどう変化したかを計算して、それを年金額に反映させるわけですね。インフレの時、物価がどんどん上昇するのに年金額が一定では、年金の価値が相対的に低くなり、年金生活者は苦しくなってしまいます。物価スライドがあれば、物価が上がっても年金給付額も上がるので、生活レベルが維持出来るわけです。

一方で、デフレの時、つまり物価が下がる時には、年金給付額も下がることになります。モノやサービスの値段が安くなるので、年金額が下がっても生活水準は保たれる、という考えですね。

ところが、2000年度から3年間、物価が下がっていたにも関わらず、「景気低迷への配慮」という理由で特例を設け、年金支給額を引き下げなかったことがあります。これが、今、話題になっている「特例措置」の問題で、今の年金の支給額が本来より2.5%、高くなっているという問題です。

その後、政府はこの差額を回収するために、物価が上昇した時は支給額を据え置く(つまり物価スライドをそのまま適用しない)方針を決定したのですが、物価が上がる年がほとんどなかったために、過払いが続いてしまったのです。

民主党の年金WTでの議論の模様は、こちらを観てみて下さい。私もちらっと映っています:

 ・「民主 年金水準引き下げめぐり議論」(NHKニュースWeb 11月24日)

メンバーの多くは「引き下げやむなし」に傾いていますが、私は「年金でギリギリの生活をしている人にとって影響が大き過ぎるので慎重に」という立場。もしやるのであれば、低年金者に対する支援拡充を併せて実施すべきです。でないと、低年金の方々の生活がますます厳しくなってしまいます。

冒頭の記事で伝えられたように、来年度の年金は0.2~0.3%程度引き下げになります。その上で、特例水準の解消を含めると、1%以上の減額になります。月々数千円の減額が、困窮に直結する人は少なくありません。だからこそ、慎重な議論が必要なのです。

そもそも、物価スライドが導入された時、まさか将来、デフレが何年も続くなどという事態は想定されていなかった、つまり、年金給付額が何年も連続で下がっていくなんてことは想定外だったのではないかと思うのです。インフレになれば、現役世代の給料も上がり、保険料収入も上がるので、受給者の給付も引き上げられるという計算だったはずです。

とすると、特例水準の扱いだけに止まらず、そもそも物価スライドはどうあるべきか、さらには、給付抑制のために2005年から導入されたマクロ経済スライドのあり方についても、あらためて検討しないといけません。少子高齢化の時代に、現行の年金財政をどう均衡・維持させるかという議論と、全ての高齢者の安心生活を支えるという年金制度の目的をいかに確保するのかという議論を同時並行でやっていかなければならないというのが、今、私たちが置かれている状況なのですね。

年金の話、まだ続きます。


社会保障改革論議 その2

2011-11-26 23:20:38 | 活動レポート

では前回に続いて、社会保障改革論議の途中経過を。今日は、懸案の年金について。

現在、政府・与党でそれぞれ行っている年金改革の議論については、メディアでよく取り上げられているので、フォローしている方も多いのではないかと思います。特に、先般、「厚生年金の支給開始年齢の更なる引き上げ」が議論された時には、かなりの反響がありました。これについては、その後、今すぐ引き上げるべきではないということで一旦、落ち着いた形になっていますが、現行制度のままでいく限り、必ずまた俎上に上るでしょう。

今、実際に民主党の年金WTで議論しているのは、6月30日に閣議決定された「社会保障と税の一体改革成案」に含まれている年金の項目で、「現行制度の改善」として挙げられている諸点。それを、具体的にどう、2012年通常国会提出法案に盛り込むべきという点を議論しています。

問題の論点は、以下の通り。

  1. 最低保障機能の強化(低所得者・低年金者や障害基礎年金への加算、受給資格期間の短縮)
  2. 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大
  3. 第3号被保険者制度の見直し
  4. 在職老齢年金の見直し
  5. 産休期間中の保険料負担免除
  6. 被用者年金の一元化
  7. 高所得者の年金給付の見直し
  8. マクロ経済スライド
  9. 支給開始年齢引き上げ
  10. 標準報酬上限の引き上げ

 

皆さんはどの項目に一番、興味があるでしょうか?

例えば、今、非正規労働者として働いていて厚生年金の適用を受けておらず、国民年金に加入している皆さんは「短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大」の行方が気になるところでしょう。現状、厚生年金保険の適用基準には「4分の3基準」というものがあって、「通常の就労者の所定労働時間、所定労働日数の概ね4分の3以上」である短時間労働者には厚生年金の適用が義務づけられていますが、それ以下の場合は適用しなくていいことになっているのです。

この点が今、議論になっているのは、非正規雇用の拡大によって「厚生年金の適用対象者が減少する一方、賃金労働者の国民年金加入が拡大し、低年金や無年金の問題や、国民年金財政の悪化にもつながっている」という懸念があるからです。

今回は、(1)短時間労働者に対する厚生年金の適用を拡大すべきか否か、(2)拡大すべきである場合、どこまで拡大すべきか、という二つの点が論点になっているわけですね。で、今のところの議論は、(1)については賛否両論有り、(2)については、おおむね「2分の1(週20時間)」が目安になっています。

拡大に否定的な議員の意見は、「企業、とりわけ中小零細企業への影響が大きい。導入するにしても、中小零細企業は適用除外にするか、経過措置を講じるべき」「そもそも、労働者自身が必ずしも適用拡大を望んでいないのではないか。年金保険料を負担するよりは、当座の現金収入が必要だから。」「3号被保険者の場合はとりわけインセンティブが低く、導入するなら3号被保険者制度の改正も併せてやらなければ意味がない」というようなものです。

私は、「絶対に適用拡大するべき」であり、「2分の1(20時間)と言わず、全ての賃金労働者への適用を検討すべき」という立場です。加えて、「3号被保険者制度」の問題についても、もはや廃止も含めた抜本改正の時期に来ていると考えています。労働者として働く人が、労働時間や日数の違い、結婚して企業勤めの配偶者が居るか否か、などの要素で差別されるべきではないからですね。

この立場で今後の議論にも臨んでいきますが、今のところ形勢はやや不利という感じです。何とか、2分の1(20時間)までの拡大は勝ち取りたいのですが。

その他の論点は、今後に続きます。