石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

情報労連愛知県協の代表者会議で

2011-11-13 22:51:58 | 活動レポート

土曜日、名古屋に行ってきました。

この日のイベントは、情報労連・愛知県協議会の単組代表者会議。会議冒頭の政治学習会の講師として呼んでいただいて、約1時間、情報通信政策の動向や国政の状況などについてお話してきました。

そして質疑応答の時間。今日はもう間違いなくあの質問が来るだろうな~と思っていたら、案の定でした。そう、TPPについてです。しかも、今日はとっても具体的な質問が一つ:

「TPPについていろいろと懸念が示されていますが、電気通信分野にはどのような影響があるのでしょうか?」

そうですね、電気通信分野の交渉が一体どうなるのか、どのような影響があるのか、これは情報労連の皆さんにはとても関心のあるところでしょう。

このブログでも何度か触れたように、日本はまだ交渉に参加しているわけではありませんから、TPPの分野別交渉の個別具体的な中身は「明確には分からない」というのが今の状況です。ただし、交渉に参加をしている国々からの個別の情報収集や、各国がこれまでに締結・交渉をしている地域・二国間貿易協定の中身などの分析などによって、各分野でどういう事項が交渉のテーブルに上がっているのか、上がる可能性があるのかが検討されているわけです。

その意味では、電気通信分野の交渉についても中身がはっきりしている訳ではありませんが、これまでの様々な自由貿易交渉の経緯からいって、市場への参入規制や外資規制の撤廃または緩和、相互接続の義務化、接続条件の公平性確保や反競争的行為の禁止などが交渉の焦点になると考えられています。

では、これらが日本にどういう影響を及ぼすのか?

実は、日本は電気通信分野においてはすでにかなり高いレベルの自由化を達成しています。むしろ、TPP交渉に参加をしている国々の方が規制レベルが高く、もし電気通信分野で高いレベルの自由化(例えば現在の日本のレベルぐらいで)が実現されれば、国内の事業者にとっては海外進出の機会が拡大することになると思われます。

つまり、電気通信分野については、交渉を通じて各国の規制に穴を空けることを積極的に狙っていいわけですね。日本に影響の大きい他の分野を守るための交渉材料としても使われるかも知れません。

ちなみに、一部で「電波オークションが義務づけられる!」という懸念が表明されているようですが、これまで関係国が締結・交渉しているFTA等で電波オークションが規定されている例はないとのことです。ではTPPでその可能性があるかと言うと、全く否定は出来ませんが、相当に難しいだろうというのが現時点での見解です。

というのも、電波オークションというのはあくまで電波免許の割り当ての手法ですから、電波免許の割り当てそのものに外資規制を持っている国は、外資にもオープンな電波オークションなどとても受け入れられないと思われるからです。また、日本ではすでに、次世代の第4世代携帯(4G )の免許割り当てに向けてオークション制度導入を検討していますから、仮に交渉の俎上に上っても、影響はあまり大きくなさそうです。

もちろん、地方公共団体の調達のあり方など、間接的に影響が出そうな分野もありますから、今後とも、注意深く全体の議論の推移を見守っていかなければならないのは確かです。

以上、電気通信分野に関するTPP交渉の展望でした。今後、交渉に参加すればよりはっきりした中身が分かってくると思いますので、しっかりと中身を見ながら情報提供していきます。