すぐに報告しようと思いつつ、なかなかブログに書けなかったのでやや時機を逸してしまいましたが・・・
5月28日(月曜日)にスイス・ジュネーブで行われた国際労働機関(ILO)の事務局長選挙で、労働界出身のガイ・ライダー氏が当選を果たしました(パチパチ)。労働界出身者がILO組織のトップである事務局長に就任するのは、1919年のILO創設以来初めてのことで、歴史的な快挙です!
(連合第9回定期大会で挨拶するガイ・ライダー氏。ITUC書記長当時。出典:連合ホームページより)
今回の選挙は、現ファン・ソマビア事務局長が、任期途中の2012年9月末で退任する意向を表明したことに伴い、その後任を決めるためのもの。立候補者は、なんと9人。出身地域で言うと、ヨーロッパからガイ・ライダー氏を含む4人、アフリカから3人、米州から1人、アジアから1人(マレーシア)という構成でしたが、労働界出身者はガイ・ライダー氏ただ一人。当然のことながら、国際労働運動は連携・協力して、ガイ・ライダー氏の当選に向けて世界規模で応援活動を展開してきたと聞いています。
選挙は、誰かが過半数の得票を得るまで、最も得票の少なかった候補が脱落しながら続けていくという方式で行われました。一回目の投票で一人、二回目に二人、三回目にも二人、四回目に一人、五回目に一人と脱落して行って、最後に残ったのがガイ・ライダー氏とフランスのジル・ド・ロビアン候補。六回目が決選投票となり、結果、ガイ・ライダー氏が30票、ロビアン候補が26票で、ガイ・ライダー氏の勝利が確定したわけです。
投票が行われたILO理事会は、投票権のある正理事の構成が政府側28人、労働側14人、使用者側14人の計56人で、過半数は29。結果だけ見ればギリギリの勝利ですが、バックとなる労働者側は満票でも14票。使用者側が最終的にどういう投票行動だったのか分かりませんが、労働界出身のガイ・ライダー氏に投票した人はそれほど多くないはず。つまり、政府側28票の半数前後がガイ・ライダー氏支持に回ったと考えられるわけで、最後まで残ったロビアン候補がフランス政府の全面的な応援の下に選挙を戦ったことを考えると、これはやはり凄い結果です。
連合も、早速お祝いの談話を出しています:
ILOの記者発表はこちら:
私が1992年から1994年にかけて、国際自由労連(ICFTU)アジア太平洋地域事務所で勤務していた頃、ガイ・ライダー氏はすでにICFTUジュネーブ事務所で活躍中。当時から「いつか大物になる!」と予感させる人物でしたが、その後、ICFTU(ITUC)書記長になり、そしてついにILO事務局長に! ということで、個人的にも大変嬉しいニュースです。
労働界出身で、誰よりも三者構成主義の大切さ、社会正義の必要性を知っているガイ・ライダー氏が事務局長に就任することで、ILOが新たなステージに進み、グローバル化が進む世界の中でこれまで以上に大きな役割を果たしてくれることを期待したいと思います!
【参考:ガイ・ライダー次期ILO事務局長略歴(ILOニュースより】
- 1956年 英国リバプール生まれ、ケンブリッジ大及びリバプール大卒
- 1985年 国際商業事務専門職技術労働組合連盟(FIET、現UNI)工業部会書記
- 1988年 国際自由労連(ICFTU)ジュネーブ事務所副所長、1993年同所長
- 1998年 ILO労働者活動局長
- 1999年 ILO事務局長官房長
- 2002年 ICFTU書記長
- 2006年 国際労働組合総連合(ITUC)書記長
- 2010年 ILO国際労働基準及び労働における基本的原則・権利担当総局長(現在に至る)