石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

社会保障改革論議 その3

2011-11-27 22:49:10 | 活動レポート

おとといの新聞に、こんな記事が載っていました:

「来年度の年金0.2~0.3%減額見込み 物価下落で」(asahi.com 11.25)

"来年度分の年金が物価に連動して減額される見通しが強まった。今年の消費者物価指数がマイナスになりそうなため、年金も今年度より0.2~0.3%程度引き下げられる見込みだ。これとは別に、政府は年金が本来より多く払われている状態の解消も検討中。ただ、二重の減額には民主党内で慎重論がある。物価の動きは今後の年金改革に影響しそうだ。"

皆さんもご存じの通り、年金には、物価の変化に応じて給付水準を変動させる「物価スライド」という制度が組み込まれています。1月から12月までの1年間、物価がどう変化したかを計算して、それを年金額に反映させるわけですね。インフレの時、物価がどんどん上昇するのに年金額が一定では、年金の価値が相対的に低くなり、年金生活者は苦しくなってしまいます。物価スライドがあれば、物価が上がっても年金給付額も上がるので、生活レベルが維持出来るわけです。

一方で、デフレの時、つまり物価が下がる時には、年金給付額も下がることになります。モノやサービスの値段が安くなるので、年金額が下がっても生活水準は保たれる、という考えですね。

ところが、2000年度から3年間、物価が下がっていたにも関わらず、「景気低迷への配慮」という理由で特例を設け、年金支給額を引き下げなかったことがあります。これが、今、話題になっている「特例措置」の問題で、今の年金の支給額が本来より2.5%、高くなっているという問題です。

その後、政府はこの差額を回収するために、物価が上昇した時は支給額を据え置く(つまり物価スライドをそのまま適用しない)方針を決定したのですが、物価が上がる年がほとんどなかったために、過払いが続いてしまったのです。

民主党の年金WTでの議論の模様は、こちらを観てみて下さい。私もちらっと映っています:

 ・「民主 年金水準引き下げめぐり議論」(NHKニュースWeb 11月24日)

メンバーの多くは「引き下げやむなし」に傾いていますが、私は「年金でギリギリの生活をしている人にとって影響が大き過ぎるので慎重に」という立場。もしやるのであれば、低年金者に対する支援拡充を併せて実施すべきです。でないと、低年金の方々の生活がますます厳しくなってしまいます。

冒頭の記事で伝えられたように、来年度の年金は0.2~0.3%程度引き下げになります。その上で、特例水準の解消を含めると、1%以上の減額になります。月々数千円の減額が、困窮に直結する人は少なくありません。だからこそ、慎重な議論が必要なのです。

そもそも、物価スライドが導入された時、まさか将来、デフレが何年も続くなどという事態は想定されていなかった、つまり、年金給付額が何年も連続で下がっていくなんてことは想定外だったのではないかと思うのです。インフレになれば、現役世代の給料も上がり、保険料収入も上がるので、受給者の給付も引き上げられるという計算だったはずです。

とすると、特例水準の扱いだけに止まらず、そもそも物価スライドはどうあるべきか、さらには、給付抑制のために2005年から導入されたマクロ経済スライドのあり方についても、あらためて検討しないといけません。少子高齢化の時代に、現行の年金財政をどう均衡・維持させるかという議論と、全ての高齢者の安心生活を支えるという年金制度の目的をいかに確保するのかという議論を同時並行でやっていかなければならないというのが、今、私たちが置かれている状況なのですね。

年金の話、まだ続きます。