では前回に続いて、社会保障改革論議の途中経過を。今日は、懸案の年金について。
現在、政府・与党でそれぞれ行っている年金改革の議論については、メディアでよく取り上げられているので、フォローしている方も多いのではないかと思います。特に、先般、「厚生年金の支給開始年齢の更なる引き上げ」が議論された時には、かなりの反響がありました。これについては、その後、今すぐ引き上げるべきではないということで一旦、落ち着いた形になっていますが、現行制度のままでいく限り、必ずまた俎上に上るでしょう。
今、実際に民主党の年金WTで議論しているのは、6月30日に閣議決定された「社会保障と税の一体改革成案」に含まれている年金の項目で、「現行制度の改善」として挙げられている諸点。それを、具体的にどう、2012年通常国会提出法案に盛り込むべきという点を議論しています。
問題の論点は、以下の通り。
- 最低保障機能の強化(低所得者・低年金者や障害基礎年金への加算、受給資格期間の短縮)
- 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大
- 第3号被保険者制度の見直し
- 在職老齢年金の見直し
- 産休期間中の保険料負担免除
- 被用者年金の一元化
- 高所得者の年金給付の見直し
- マクロ経済スライド
- 支給開始年齢引き上げ
- 標準報酬上限の引き上げ
皆さんはどの項目に一番、興味があるでしょうか?
例えば、今、非正規労働者として働いていて厚生年金の適用を受けておらず、国民年金に加入している皆さんは「短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大」の行方が気になるところでしょう。現状、厚生年金保険の適用基準には「4分の3基準」というものがあって、「通常の就労者の所定労働時間、所定労働日数の概ね4分の3以上」である短時間労働者には厚生年金の適用が義務づけられていますが、それ以下の場合は適用しなくていいことになっているのです。
この点が今、議論になっているのは、非正規雇用の拡大によって「厚生年金の適用対象者が減少する一方、賃金労働者の国民年金加入が拡大し、低年金や無年金の問題や、国民年金財政の悪化にもつながっている」という懸念があるからです。
今回は、(1)短時間労働者に対する厚生年金の適用を拡大すべきか否か、(2)拡大すべきである場合、どこまで拡大すべきか、という二つの点が論点になっているわけですね。で、今のところの議論は、(1)については賛否両論有り、(2)については、おおむね「2分の1(週20時間)」が目安になっています。
拡大に否定的な議員の意見は、「企業、とりわけ中小零細企業への影響が大きい。導入するにしても、中小零細企業は適用除外にするか、経過措置を講じるべき」「そもそも、労働者自身が必ずしも適用拡大を望んでいないのではないか。年金保険料を負担するよりは、当座の現金収入が必要だから。」「3号被保険者の場合はとりわけインセンティブが低く、導入するなら3号被保険者制度の改正も併せてやらなければ意味がない」というようなものです。
私は、「絶対に適用拡大するべき」であり、「2分の1(20時間)と言わず、全ての賃金労働者への適用を検討すべき」という立場です。加えて、「3号被保険者制度」の問題についても、もはや廃止も含めた抜本改正の時期に来ていると考えています。労働者として働く人が、労働時間や日数の違い、結婚して企業勤めの配偶者が居るか否か、などの要素で差別されるべきではないからですね。
この立場で今後の議論にも臨んでいきますが、今のところ形勢はやや不利という感じです。何とか、2分の1(20時間)までの拡大は勝ち取りたいのですが。
その他の論点は、今後に続きます。