業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

ケアプラン料 2

2007年08月25日 | 事例検討
透析ナースがトシオさんから今回の送迎車ドライバーとのトラブルの詳細を聞いたところ、トシオさんの訴えはこうでした。
○団地のゴミ出し日でエレベーターがなかなか来ず、7:50に団地の下に下りて行くことが出来ずたったの1,2分遅れた
○たった1,2分遅れただけなのに、ドライバーから『もっと早く降りて来い!』と頭ごなしに怒鳴りつけられた
○自分はひがしクリニックには何の不満もないが、ドライバーに腹が立った。ドライバーは自分を人間扱いしていない。
そして
「わしゃ頭に来たんじゃい!我慢出来ないのじゃい!
次回からみなとクリニック透析センターに病院を替わるんじゃい!!」
という結論に達した、というんです。

もちろんトシオさんの言っていることはすべてウソです。
視覚障害2級のトシオさんですから、常人のように急ぐことが出来ないとか、多少言葉の取り違えもあるでしょうが、いくらなんでもドライバーに対する訴えはあんまりです。
しかしトシオさんは半年前にも、調理をお願いしていたヘルパーさんに対して
「コム○ンのヘルパーがあまりにも砂糖を使うので、自分は糖尿病だから味付けに気をつけてくれと頼んだのに、『文句言うな!あんたなんかこれでも食っとけ!』と出て行った」
「写経のヘルパーは1度来ただけで『2度と来るか!』と出て行って次の日来なかった」
などと真っ赤なウソをつきまくっていたお人です。
被害妄想にもホドがあります。
発展妄想にも限度があります。
作話にしても、もう少しマシな話を作れと言いたいです。

トシオさんが
「透析施設を変わる」と言い出したのは何もこれが初めてではありませんし、クリニックとのいざこざも初めてではありません。
透析開始3回めには
明日の透析は休むんじゃい!」と言い出して森師長(森の神)に捨てられかけていますし、送迎が早すぎるだのなんだのと文句ばっかりタレてばかりでいいかげんスタッフもブチ切れかけてたところなんです。
今度ばかりは森の神もお許しにならないだろうと私は思いましたが、これまでの経緯からみて、トシオさんがただ単にゴネているだけだということは明らかなんです。
自分を大事に扱ってもらいたいとか、同情してほしいとか、ヨメとの不和の八つ当たりをしたいとか、そういうことなんです。

私は森の神に呼び出されました。
森の神はやはり
「ご本人が他所に(透析を)移ると言っている以上こちらに引き止める意思はありません。ご本人のご希望通り、早速みなと透析センターに紹介状を書きます
ハリケンさんももうとりなしたり引き止めたりしてこれ以上トシオさんを付け上がらせなくていいですよ」
と、とりつくシマなしです。
しかし、森の神も
「あれ(トシオさんの態度や行動)はね、私たちにダダをこねているだけなのよ。みなと透析センターであの人の面倒がみれるとは思えないし、ウチから他所に移ったりして、後悔するのはトシオさん自身だもの。まあ、他所でそれに気付くことも本人のためよ。放っときなさい」
と、トシオさんのことを理解しておられるんです。
--------------だったら、と言いたいけど、私には言えませんでした。
森師長のお言葉に、ただ医療機関として示しをつけなくてはとか、ルールを守らないなら罰を与えるとか、そういう痛いムードをヒシヒシ感じながらも、私にはどうすることも出来ません。
だって私は一介のケアマネで、クリニックの方針や体制に口出しは出来ません。
森の神にたてついたりしたら生命だって危険に晒されるのですから。
----------では、私はどうしましょう。
私はトシオさんの為には、ここで透析を受けられるのがいいと思いますが、クリニックにご迷惑をかけるのであればもう紹介状を書いていただくしかないのですね。

そう私が言うと、森の神は
「ええ、もう主治医の秩父山先生(仮名)には私からそうお願いしてありますので」
と言われ、本来のお仕事に戻られました。


私はその足でトシオさんのベッドへ行き、
「トシオさん、とっても残念ですが、秩父山先生がもう紹介状を書いておられるそうです」
と声をかけました。
トシオさんはぶつぶつと、ドライバーとのいざこざの作り話を聞かしてくれたり、もうどうでもいいんじゃい、透析を移るんじゃい、と意地を張ってました。
私はやれやれと思いつつも、
「そうですか、ドライバーとの会話のあたりのことは、私が他の人たちから聞いた話とはだいぶ違うようですが、トシオさんにとっては不愉快だったり腹に据えかねたりしたんでしょうから、それが原因でここを移られると言われるんなら仕方ないですね。じゃ、自立支援診療受給者証の書き換えの問題もありますので、私からはトシオさんのナマホの担当の山田さん(仮名)に早速連絡しておきますし、秩父山先生にもあらためて紹介状をお願いしておきますね」
と言い置いて、透析センターから出て行こうとしました。
トシオさんは私の背中に向かって、それでいいんじゃい!などと捨てゼリフを吐いてましたよ。

はあああぁぁぁ、仕方ないか。
ため息をつきながら透析センターを出て行こうとする私を

「ハリケンさん、ハリケンさん」

と、呼び止める人がありました。
それは江古田さん(仮名)という透析ナースと、主治医の秩父山先生でした。





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