禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか NHK出版新書 更科 功 (著)
人間は自分たちが進化の先端にいて特別な存在として頂点に立っていると思いたくなるものですがネアンデルタール人の方が脳の体積が大きかったりと単純な進化的な優劣だけでは説明がつかないことも多く、その点に着目して人類が近類から生き延びてきた理由を探っていく本です。 脳の飛躍が起こった起点は果実食でのエネルギーの供給、深い眠りを樹上生活ベースで手に入れていたこと、石器を使い肉食を始めたことや火を道具として使い始めたことが挙げられています 。この本で特に注目しているのは意識のレベル。意識レベルが逆に高すぎると生存競争と繁殖に対しては不利とのことで知性の追加で出てきた意識が重要なファクターになり、ネアンデルタール人との差を生んだ可能性があるというのが筆者の予測です。それも必然ではなく”たまたま”生き残っただけで、場合によってはネアンデルタール人が地球上に文明を築いたかもしれない。「いまわれわれがあるのは、優れていたわけではない。単なる偶然・幸運なのだ」 というのがポイント。ここら辺はホモサピエンスの方が集団的行動に長けていたなどの予測も聞いたこともありますが本書での予測を含め、まだまだ推測の域は出ないものなのだということなのでしょう。 意識というのは人間が持つものとして知性と異なる要素として捉えられていたのは自身としては初めてで新鮮でした。 AIの発達に伴い、脳の役割がさらに高みを目指すのかそれとも退化に向かうのかわかりませんが自分は後者の方を危惧しています。
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