うすい灰色の空は私の心持であり、雨は涙に、煉瓦に落ちた雫は血に見える。心境の変化によって、物の見方も変化する。人間は、良くも悪くも。
栃木県立美術館の「長重之展 時空へのパッセージ」を見た。しかし、私はいつの間にか長の絵に死神の影を探していた。そうして《破局》の前に立ち止まった。天井から見下げる構図。画面全体は黒で覆われ、極めて暗い。椅子に腰掛けた男性が朱色のテーブルに手を伸ばしている。テーブルには頭くらいの大きさの拳銃がある。銃口は男性とは逆方向に向けられている。男は拳銃で何をしようというのだろう。自らを撃つのか、それとも彼女を撃つのか。それとも私自身を撃とうとしているのか。キャプションのタイトル下に小さく「The end」と英文表示がされていた。「end」はいい。もう先がないという結論が保障されているのだから。
静かに美術館を出る。雨音が一層増している。私は独り歩き出した。あるべきはずの苦味を感じながら。
栃木県立美術館の「長重之展 時空へのパッセージ」を見た。しかし、私はいつの間にか長の絵に死神の影を探していた。そうして《破局》の前に立ち止まった。天井から見下げる構図。画面全体は黒で覆われ、極めて暗い。椅子に腰掛けた男性が朱色のテーブルに手を伸ばしている。テーブルには頭くらいの大きさの拳銃がある。銃口は男性とは逆方向に向けられている。男は拳銃で何をしようというのだろう。自らを撃つのか、それとも彼女を撃つのか。それとも私自身を撃とうとしているのか。キャプションのタイトル下に小さく「The end」と英文表示がされていた。「end」はいい。もう先がないという結論が保障されているのだから。
静かに美術館を出る。雨音が一層増している。私は独り歩き出した。あるべきはずの苦味を感じながら。
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