学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

モリエール『病は気から』

2015-11-01 10:39:39 | 読書感想
実家へ向かう電車のなかで、軽めの読書を楽しみたいと思い、図書館からモリエールの『病は気から』を借りて読みました。

この本は、体調に神経質な主人アルガンを中心に繰り広げられる笑劇です。

登場人物たちはそれぞれが個性的に描写されていて、その言葉の掛け合いが魅了のひとつといえるでしょう。

医者がアルガンに絶交を突き付けた際に、ありえないような病症の脅し文句を羅列する場面。

何かと体調を気にするアルガンを制すべく、医者に化けたトワネットの振る舞いと「肺臓」の一言の連鎖。

劇は全体を通してユーモアやアイロニーに溢れていて、人間という存在の滑稽さを浮き彫りにしてくれるようです。


モリエール(1622~1673)はフランスの劇作家で俳優でもありました。

巻末に書かれた解説には、自らの病をも劇の題材に変えて『守銭奴』、『病は気から』などを創作したそうです。

そうして、モリエールは『病は気から』の第4回公演を終えると、病が悪化し、そのまま逝去しました。

自らの病を客観的にとらえ、それをユーモアに織り交ぜながら作品を創作した点では、俳人正岡子規に気質は似ているのかもしれませんね。
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