学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

内藤昌編著『城の日本史』を読む

2019-02-18 08:21:57 | 読書感想
2月も半ばに入り、このところ晴れと曇りを繰り返すような日が続いていますが、特に晴れの日には戸外がだんだんと暖かくなってきたことを肌で実感します。このごろは慌ただしい仕事の毎日で、心も身体もそれなりにプレッシャーを受けていますが、順調に進んでいることがストレスの解消につながっているようで、風邪をかかることもなく過ごしています。

仕事を終えて帰宅してから、隙間の時間に読書をしています。先日は内藤昌編『城の日本史』を読みました。このブログでもときどき紹介していますが、私は城跡を巡り歩くことが好きです。ただ、私の場合、城跡にまつわる悲喜劇の物語を知ることや、目の前に広がる城跡の雰囲気を感覚として楽しむことが好きなのであって、実際に城が使われていた頃の各郭や門、堀、石垣などの役割やきわだっている点について余り知りませんでした。

この本は、世界史から見た日本の城について述べるところから始まり、各郭や門、堀、石垣などの詳しい解説はもちろん、日本名城譜として五稜郭から首里城までを個別に取り上げています。特に織田信長の築いた安土城には「唐様南蛮風」と特称することのできる「汎世界性」がある、との指摘は目からうろこが落ちました。また、堅い話だけではなくて「人柱伝説は史実として扱えない場合が多い」、「四以降の曲輪名称は寡聞にして知らない」、城で小鳥を飼育する理由は愛玩のためと夜襲に備えるためである、など、城にまつわるあらゆる話が書かれています。

普段の読み物としても楽しめますし、目次から引けば城郭の辞書としても使うことができるでしょう。さらに文庫本の大きさなので、実際の城跡をめぐるときに携えていくのも良いかもしれません。お城が好きな方にはおすすめの一冊です。


●内藤昌編著『城の日本史』講談社学術文庫、2011年

最新の画像もっと見る

コメントを投稿