細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ソフィアの夜明け』はなかなか明けそうにない。

2010年09月25日 | Weblog
●9月24日(金)13-00 築地<松竹試写室>
M-116『ソフィアの夜明け』Eastern Plays (2009) ブルガリア
監督/カメン・カレフ 主演/フリスト・フリストフ ★★★☆☆
ブルガリアの首都ソフィア。
不況、貧困、麻薬、暴力、そして見えない未来。歴史的な格差社会の断層がある。
複雑な国の状況から、目的を見いだせない若者たちが街を徘徊している。
フリストはアートを目指すがいまは職工。古風な頑固親父とは断絶してひとり暮らし。
麻薬の後遺症でヤク漬けの日々で、ガールフレドにも冷淡だ。
弟が絡んだネオ・ナチの暴力団に襲われた事件で、知り合ったトルコの女性に恋をした。
映画はフリストの浮遊した、遅すぎる青春の徘徊を通じて、いまの社会の荒廃を見つめる。
とはいっても、反社会的なテーマではなく、あくまで根なしの人生を淡々と映写する。
アントニオーニの見た「さすらい」のように、社会は沈殿していく。
メロディのないロックの轟音。サッカー場のフーリガンたちの無意味な暴動。
それでもフリストは人生の可能性を探して、彼女のいるトルコに向かうラスト。
この映画完成直前に事故で死亡したフリストの魂のように、作品も唐突に終わるのが虚しい。
昨年の東京国際映画祭で3冠受賞の意欲作品だ。

■痛烈なショートゴロを野手が弾いて微妙なセーフ。
●10月、渋谷、イメージ・フォーラムでロードショー

コメントを投稿