細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『グランド イリュージョン』を見ていて、映像に騙されることの是非。

2013年09月29日 | Weblog

9月25日(水)13-00 九段下<角川映画試写室>

M-121『グランド イリュージョン』Now You See Me (2013) summit entertainment / KO paper production

監督・ルイ・レテリエ 主演・ジェシー・アイゼンバーグ <116分> 配給・角川書店 ★★☆

俗にいう手品師の話だ。が、この映画ではプロの奇術師たちがグルになって詐欺まがいの大泥棒をするのだ。

映画というのは、要するに、スクリーンで映写される画面だけでのことで、われわれはそのストーリーの面白さを勝手に想像している。

凶悪な殺し屋は、実際には殺人を犯していないし、マット・デイモンは<エリジウム>には行っていない。これは、映画のマジック。

しかし、トランプの奇術師は、その手さばきのカードの動きで、見ているわれわれを錯覚させる。その技量が鮮やかなのだ。

この映画のジェシーも、トランプ奇術が得意だ。そして、タイトルのように「さあ、わたしのテを、よく見ていて」という。

ところが、実際には、見せていない別のテで、われわれを欺くのだ、それが「ミス・ディレクション」。つまり錯覚なのだ。

さて、この映画のジェシーは同じ奇術師仲間を集めて大掛かりな窃盗詐欺をするのだが、それが大げさすぎて付いていけなくなる。

要するに「オーシャンズ11」のように、仲間を集めて他人の大金をマジックのように奪ってしまうのだが、それにしてもホラ話が大袈裟だ。

その犯行を、老ベテランのモーガン・フリーマンと、マイケル・ケインが凝視しているのだが、まんまと騙されてしまうのだ。

ひとつのトリックによる事件ならば、こちらもフォローできるが、なぜか場所を変えて、どんどん派手な犯行を繰り返すのでウンザリしてくる。

監督はアクション系のひとなので、仕掛け花火のように音と光で我々を翻弄するのだが、一体これって、何のためにやってるのかが、どうも難解なのだ。

だから、これが、映画のマジックなんだ、と言われてしまえば、それまでのお話。お粗末な印象だった。

ああ、あのジャン・ギャバンの名作と同じタイトルで「大いなる幻影」なんて、よく言ったもの。それもマジックのつもりなのだろうか。

 

■大振りと見せかけてドラックバントにしたが、ピッチャーへの小フライ。

●10月25日より、全国ロードショー(らしい)  


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