細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『<劇場版>ムーミン・南の島で楽しいバカンス』のオフ・ビートなおかし味。

2015年01月22日 | Weblog

1月19日(火)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-007『<劇場版>ムーミン・南の島で愉しいバカンス』"Moomins on the Riviera " (2014) Handle Production Oy / Picktack Cie フィンランド

監督・ハンナ・ヘミラ 原作・トーベ・ヤンソン <77分> 配給・ファントム・フィルム 

ことしは原作者トーベの生誕100年なそうで、この劇場用のアニメーションも、それを記念しての長編ワイド。世界各地にファンの多いシリーズで、日本にもムーミン・ショップもある。

つまり歴史的には、多くのディズニー・アニメのキャラクターとは、ある種、対極に位置したようなキャラクターで、とにかく歴史的にも人気のキャラクターである。らしい。

というのも、わたしはアニメ映画は嫌いではないが、とくに<ムーミン>を意識して見たのは初めてで、マニアックなファンの前では、語る資格はない。すみません。

ただ、多くの楽天的なディズニー・アニメのキャラクターとは違って、たしかに対極的ともいえる北欧フィンランドの風土を得たこのキャラクターは、いかにも異質でもどかしくて面白い。

それは孫悟空や桃太郎、いや「ドラえもん」と同様に、この悠長なメタボリック体質は、やはり北欧特産の風味を持っていて、不思議におかしい。これが彼ら好みな体質なのは、興味がある。

さて、今回は<劇場用>といっているだけに、テレビ・シリーズとは違って、ワイド・スクリーン・サイズで、あのムーミン一家がバカンス旅行をするというので、当方も参加してみた。

しかしこの邦題にはギミックがあって、「南の島」には行っていない。たしかに原題にあるように、これは<南仏リヴィエラ>が舞台。だから、あのヒッチコックの「泥棒成金」の保養地が背景となる。

オールドファンには、あのダニー・ケイが出演した「夫は偽物」のタイトルが、まったく同じで「オン・ザ・リヴィエラ」なのだから、<南の島>とはほど遠いギャンブルの歓楽街が背景なのだ。

ハーフトーンの明るい中間色を基調にした画質は、それだけでディズニーの極彩色とは対極にあって、「くまのプーさん」よりも、地味な透明感のある画調は、いかにもジミで好感がもてる。

ただしお話は、ま、ムーミンの絵本の愛読者には毎度の展開なのだろうが、ムーミン初体験のわたしなどには、かなりオフ・マイナーでシニカルに見える。つまり<爆笑コミック>ではない。

これが北欧ならではのデリカシーであって、北欧の文化や風土のファンにとっては、非常に愛着のある<ムーミン・ワールド>なのだろう。だからこそ個性的でブラックなユーモアに彩られていてオカしい。

 

■強打と見せかけてのプッシュバントが、サードの後方にヒット。 ★★★☆

●2月13日より、全国ロードショー 


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