●11月17日(月)13-00 外苑前<GAGA試写室>
M-129『シン・シティ/復讐の女神』" Sin City : a dame to kill for " (2014) dimension films / aldamisa entertainment
監督・ロバート・ロドリゲス+フランク・ミラー 主演・ミッキー・ローク <103分> 提供・アピネット+ギャガ ★★★☆☆
ちょうど10年ほど前に公開されてマニアの間で評判になったフランク・ミラーのグラフィック・ノヴェル「シン・シティ」の、これはエスカレートした3Dのエピソード2だ。
「スーパーマン」や「バットマン」の健全マーヴェル・コミックスのライバル的な存在の、ブラック・ヒーローに徹する企画で、徹底的に暗黒な邪悪の世界を描くのがポイント。
極悪には、それ以上の邪悪で立ち向かうというコンセプトの、この作品には正義や幸福などは通用しない。その徹底した極道ぶりが滑稽なくらいにエスカレートして突き走る、その豪放さが愉しい。
ま、要するに、ブラック・コミックの、あのチープな感覚を、徹底的にアニメーション処理にしたスクリーンは、まさにあのザラザラした紙質のトラッシュ・ペーパーを再現して嬉しくも貴重。
もともとチャンドラーやハメットの探偵小説なども、このテのモノクロームの動画感覚で街の不良たちに親しまれたのが発端で、あのいかにも寂れた暗黒街美学が徹底しているのがユニークでいい。
だからアクション・シーンやカー・チェイスから銃撃までが、あの派手なコミック感覚でブローアップされていて、この低俗趣味に共感するひとには絶品であり、そうでない趣味の人には悪臭ものなのだ。
この地獄のシン・シティに現れたジェシカ・アルバは、ブルース・ウィリスの亡霊の復讐のために、謎の酔っぱらいのミッキー・ロークのバックアップを得て、悪徳上院議員の組織をやっつけるのだ。
単純明快なリベンジ話を、ロドリゲスはいくつかのエピソードを交えながら、曲者のバイ・プレイヤーたちでバトンタッチして描く手法は、一種のオムニバス・コミックのようで面白い。
多くの有名な俳優が、まるでカメオ出演のように登場するので、あのジョン・ヒューストンの「秘密殺人計画書」のようで、まるで隠し芸大会のようだ。
その中でも、ダイナーのウェイトレス役で顔を出す<レディ・ガガ>には笑ってしまった。
全編グリーンバックで撮影されたというだけに、暗黒なシーンは、まるで下品な人工着色の幼稚なコミック・マガジンのセンスなので、これは映像学生には、大いに勉強になる素材なのだ。
■セカンドベース直撃の低いライナーが左中間に転々のヒット。
●2015年1月10日より、新宿ピカデリーなどでロードショー
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