細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『イリュージョ二スト』はタイムスリッパーだ。

2011年01月18日 | Weblog
●1月17日(月)13-00 築地<松竹本社試写室>
M-005『イリュージョニスト』L' Illusionniste (2010) pathe 仏
監督/シルヴァン・ショメ 脚本/ジャック・タチ ★★★☆☆
50年代後半に、フランスでヌーヴェルバーグの流行とは別に、ジャック・タチの奇妙な感覚は人気があった。
「ぼくの伯父さん」のシリーズは、どこか寅さんのように、世間を斜めに見る視線がおかしかった。
それは、あの時代に逆行したのではなく、フランス人がいつも持っている皮肉っぽい感性が横溢していた。
へそ曲がり、ではなく、アナキーでもなく、皮肉なユーモアに溢れて、とにかくのどかだった。
そのタチに原案をもとに、「ベルヴィル・ランデブー」のショメが創作したアニメーション。
時代の流れで人気のなくなった手品師の、そのドサ回りの旅路は、人間の高齢の行方にも似ている。
その姿は、惨めではなく、より孤高で洗練されていく。
わたしなどは、「カールじいさん」よりも、このタイプの方に共感できる。
この懐かしいシニシズムも、非常に同感で親しみが持てるから大好きだ。
しかし、それは同時にノスタルジーでもある。古風の美学である。
「手品師は、魔法使いじゃないンだよ」という彼は、人生をイリュージョンにしている。いいではないか。
ささやかながら、この感性には応援したい。

■ふらりとセカンド後方に上がった凡フライだが、野手の後方にポテンヒット。
●3月下旬、六本木ヒルズなどでロードショー

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