細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『アレキサンドリア』の悲劇も遥かなる歴史の彼方。

2011年01月19日 | Weblog
●1月18日(火)13-00 六本木<シネマート試写室>
M-006『アレキサンドリア』Agora (2009) MOD pro. スペイン
監督/アレハンドロ・アメナーバル 主演/レイチェル・ワイズ ★★★☆☆
ローマ帝国末期、西暦4世紀のエジプト、アレキサンドリアの混乱を描いている。
神を信じ、科学の進化を否定するキリスト教信者と、地球の自転を信じる女性科学者の亀裂。
それをユダヤ教や、イスラム教の信者や奴隷たちの混乱が火種となって、悲劇を生む。
いまだに戦乱の耐えない宗教戦争の原型が描かれるが、監督は極力、シンプルに整理した。
地中海周辺の複雑な宗教問題に明るい方には、すこぶる興味深いテーマだろうが、
知的に雑事を整理したために、どうも善悪の対立も明快ではなく淡白な歴史劇に見えたのが残念。
華美な虚飾を排除したセット美術には、これまでにない魅力はあったのだが、ドラマは不発。
ヒロインのレイチェルは、控えめでいい演技なのだが、共演する面々に個性が弱く引き立たない。
やはり、こうした歴史ものには、もっと悪どいキャラクターが見たくなる。
現代的解釈はいいが、勧善懲悪も必要だろう。
自国スペインでヒットしたのは、当然、歴史的認識の差なのだろうなーーー。

■振りの割には、渋い当たりのレフト前ヒットだが、・・・。
●3月5日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー

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