切手シリーズ その9。日本は人物を描いた切手が少ないことはこのブログで紹介してきたが、特に皇室や総理大臣などの切手が少ない。例えばイギリスの通常切手にはエリザベス2世の肖像がしばしば使われ、今もシルエットは必ず付いている。アメリカの切手も一昔前は代々の大統領の肖像が載せられ、ケネディ大統領の切手もあった。
まず、皇室の方だが、明治・大正・昭和天皇の肖像が載せられた切手はない。もちろん、例えば立太子礼や天皇御結婚、即位⚫️周年といった記念切手は数多く発行されている。何しろ初めて発行された記念切手は1894年3月発行の『明治天皇銀婚』を記念したものである。しかし、図案は『オスメスのツルと菊花紋章』である。
皇族の肖像が記念切手になったのは次に発行された1896年8月の『日清戦争勝利』記念でこれには有栖川宮と北白川宮の肖像が使われている。
しかしその後の『大正天皇大礼』(1915年)『裕仁親王(のちの昭和天皇)立太子礼』(1916年)『皇太子ご成婚』(1923年、不発行切手)『大正天皇銀婚』(1925年)『昭和大礼』(1928年)など何回も皇族の行事に記念切手は発行されたが、御所の風景や冠、鳳凰、紋様などが描かれたに過ぎない。これは皇族の肖像が付いた切手に黒い消印が押されることが耐えられないからと言われている。
これを打ち破った画期的な記念切手が1959年4月に発行された『皇太子(明仁)ご成婚』の10円と30円の切手で皇太子(現在の天皇)ご夫妻の肖像が、描かれている。これは1993年に発行された『皇太子(浩宮)ご成婚』でも引き継がれている。
一方、総理大臣であるが、地方切手で伊藤博文没後100年が出されたことがある。あとは日米修好通商条約100年で岸信介の肖像が使われているくらいである。