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風
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つい昨日まで
いたような気がする夏
いつのまにか
すり抜けていってしまった
山の上で
透明の風になって
夢見る少年の肩を押す
彼は無心に走る
垣根を越えて
紅萩の花をこぼし
馬ごやしの枯れた匂いを吸い込み
もくもくと走る
昆虫の羽根の
軋む音に驚きながら
やがて少年は
自分が風になってゆくのを感じた
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芝生にねっ転がりながら
青い空を見ていると
ふと夢うつつの中で
ドラマが始まってしまう
空を飛びたい
その夢が忘れられなくて
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今日の写真は・・・
ススキの穂先で
風を見ているバッタ
肌の色が
少し赤味を増してきているバッタ
緑色だったのがやがて
赤味を帯びた色に変わります