労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【メモ】介護離職 4 類型⇒介護離職を防ぐために

2024-04-03 | 書記長社労士 労務管理

 一般社団法人 日本経済調査協議会の介護離職問題調査研究会がまとめた報告書「『介護離職』防止のための社会システム構築への提言~最終報告書~企業への調査結果から」。⇒https://www.nikkeicho.or.jp/new_wp/wp-content/uploads/kaigo-saisyu.pdf
この報告書では、ケアマネージャーを対象としたアンケートの回答に記載された「介護離職となった方(ケース)の概要」(自由記述)を詳細に分析した結果、「介護離職における定義(類型化)」を 4 類型に分けることができるとした。

①両立困難型介護離職
 「家族介護者は仕事を続けたいが、要介護者のケア等でやむなく離職するケース」とし、仕事と介護の両立に課題が生じ、やむなく介護に専念することを選択してしまうケース。
 例えば、「1 人では歩行が安定しておらず、常時見守りが必要。毎日デイに行くが、送迎時間に家族が仕事で不在になってしまい、ヘルパーを入れるにしても単位オーバーで金額的にも負担が大きい。」「認知症重度となり、24 時間、常に目が離せなくなり、離職したケース。」などが挙げられる。

②職場起因型介護離職
 「職場環境による背景が大きく、介護者が介護をきっかけに離職するケース」とし、「介護」というリスクが生じる以前に、家族介護者が職場に対して「職場の人間関係でストレスがある」「上司と合わない」などの悩みを抱えている状況下に、タイミングとして「介護」に直面し、「離職」に至るケース。
 例えば、「介護者自身が会社で問題を抱えている中、親に介護が必要となり、「介護」を理由に休職→退職した。」などが挙げられる。

③孤立型介護離職
 「要介護者及び家族が介護保険サービスを拒否しがちであるために介護離職するケース」とし、要介護者もしくは家族介護者が介護保険サービス等の利用を拒み、外部からの支援に頼ることができず、「介護」に専念せざるをえないことで、「離職」してしまうケース。
 例えば、「利用者の息子への依存が強く、他人ではなく家族に世話をしてもらいたいとの思いが強い。」などが挙げられる。

④心情型介護離職
 「介護者の要介護者に対する心情的・義務的な背景を要因として離職するケース」とし、介護者の要介護者に対する「心情的」な側面が強く、自ら介護しながら時間を共にしたいという気持ちから「離職」にいたるケース。一部、がん末期の介護ケースも含まれると考えられる。「③孤立型介護離職」と比べると、家族介護者が前向きに「介護」に取り組む姿勢が窺える。
 例えば、「介護者も家族としての責務を感じ離職している。」「ターミナル期、夫のそばで過ごすため離職。」などが挙げられる。


 そして、中間報告書では介護離職を大きく 4 つに定義づけ(分類)したが、それぞれ仕事を辞める分岐点(時間)、ここでは「X 点」と規定するが、この時期をできるだけ引き延ばしていくことが、「介護離職防止」において重要なポイントであると考える、としている。
この「X 点」を右側に引き伸ばして「仕事と介護を両立する期間」を、できるだけ長くしていく方策を考えていくことが重要となる。

〇一概に「介護離職はダメ」というわけではない。
しかし「介護離職するしかないじゃないか」というのであれば、ほかに選択肢もあるはず。
その選択肢を介護者は見つけられない、わからない、探せない、結果「介護離職」という選択肢しか見えなくなっている。

〇「介護は家族がやるもの」「介護は最後の親孝行」などという考え方も、いまはまだ強く根付いているが、これが「アンコンシャスバイアス」である、ということに気付くことが、介護離職防止の第一歩。

〇介護離職防止対策、仕事と介護の両立、両立支援は「介護」の問題ではなく労働問題であり、介護と介護の両立支援はキャリア支援。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする